すみだモダン×スタイルストア

社会課題の解決を目指して。おいしさと喜びに加えて「きっかけ」を提供する

2023年01月18日更新

アサヒグループジャパンが、墨田区内の国産Tシャツメーカーと共に取り組んだ『森のタンブラーとサステナブルなTシャツを活用した「美しい地球の保全」を訴求する活動』が2021年にすみだモダンに認証されました。そんなアサヒグループジャパンから誕生したアサヒユウアス株式会社は環境へ配慮した森のタンブラーや森のマイボトルの販売以外にも、様々な社会課題に対して積極的に取り組みを行っています。

今回はそんなアサヒユウアス株式会社の大野理美さんに、会社誕生の経緯と現在販売している製品や、行っている取り組みについてお伺いしました。

より継続した取り組みを目指して会社設立

ーアサヒユウアス株式会社について教えてください。

アサヒユウアスは2022年1月にできたばかりの新しい会社です。もともとアサヒグループがCSR活動の一環として森のタンブラーの販売などを行っていたのですが、より継続的に地域のためになる取り組みを行うべく、アサヒユウアス株式会社が誕生しました。

ー現在はどのような製品を販売されているのでしょうか。

森のタンブラー森のマイボトル、カップ自体が食べられる「もぐカップ」、麦わらストローを販売しています。

森のタンブラーともぐカップはイベントなどでプラスチックカップの代替品、森のマイボトルはペットボトルの代替品として紹介しております。また、麦わらストローもプラスチックストローの代替品として提案しており、折れない限りは複数回使用していただける特徴を持っています。

ープラスチック消費削減を目的とした製品販売以外にも行われている取り組みはありますか。

廃棄せざるをえない食材を使ったサステナブルクラフトビールの製造を行っています。地元墨田区でも、コーヒーショップで製造上どうしても余ってしまう「コーヒーエキス」を活用したり、パン屋でこれまで廃棄していた「パンの耳」を活用してサステナブルクラフトビールを醸造しました。墨田区内の公園で販売し、地元の方に楽しんで頂くイベントも行いました。

ービール製造の取り組みにはどういった思いが込められているのでしょうか。

アサヒグループは食品メーカーだからこそ、向き合わないといけない社会課題がたくさんあると考えています。これまで食品メーカーとして「おいしさ」や「喜び」を提供してきましたが、これからはそれに加えて、消費者の皆さんが何か行動するきっかけを提供できたらと思っているのです。

「中身だけではなく容器にも責任を持ちたい」が開発のきっかけ

ーそもそも、森のタンブラーはどのようなきっかけから生まれたのでしょうか

技術者が開発をする際に、中身だけではなく容器にも責任を持って開発したいと思うようになったことがきっかけです。初めは環境負荷が低減できる方法を個人で模索していたのですが、技術交流会でパナソニックの技術者と出会い、パナソニックにはプラスチックと植物由来の素材を混ぜ込む技術があることを知り、一緒に開発を進めていくことが決まりました。

ー開発にはどれくらいの期間がかかったのですか。

森のタンブラーは約1年かけて開発されました。2019年に発売されたのですが、まだまだSDGsやエシカル消費が話題になる前のことでしたね。

森のマイボトルは、やはり蓋ができる入れ物がほしいということで約2年かけて開発されました。森のマイボトルはペットボトルの代替品として使っていただける環境を考慮した製品ですが、それ以外にも国産間伐材を活用するなど、素材自体もCO2削減につながる工夫がされています。

地域との共創で生まれる取り組みの数々

ー製品開発において大事にされていることなどはありますか。

すぐになんでも手に入る便利な世の中ですが、1つのモノを長く使うことについて考えるきっかけ作りができたらと思っています。また、製品を通して知らなかった問題や課題に目を向ける機会が作れたら嬉しいです。

森のマイボトルには国産間伐材を使用していますが、日本の間伐材は森の中で放置されているか、焼却されているかのいずれかという現状があります。日本には森林がまだたくさんありますが、それを保護する後継者がいないという問題を抱えています。日本の国の豊かさを守ることに森のマイボトルが貢献できたら、そして森のマイボトルを通してこの問題について知っていただく機会を設けることができたら嬉しいです。

ーアサヒユウアスを通して日本の現状について知らないことを知る機会が増えそうですね。

そうなれば嬉しいです。実際にアサヒユウアスはモノを販売する会社ではなく、地域と一緒に共創して、パートナーと一緒に地域課題の解決を目指した事業展開を続けています。

墨田区での共創以外にも、埼玉県狭山市の茶農家と連携し、ビールの開発以外にも、狭山茶を使ったビールの開発も行っています。狭山茶は日本の三大銘茶ですが、静岡や京都に比べたら知名度が低いのが現状です。狭山茶の魅力をより多くの人に知ってもらうきっかけを作ることで地域の産業を元気にできたらと思っています。

その他にも、ペットボトルのキャップリサイクル率が8%という現状を受けて、キャップの回収を行う活動を狭山の小中学校で開始。また、レッツアップサイクルチャレンジとして東急プラザ銀座にキャップの回収ボックスを置く活動も行っています。こういった取り組みにも引き続き取り組んでいきたいです。

2年目は、点から線へ繋いでいく

ー最後に、今後の展望についても教えてください。

この1年間でたくさんのパートナーさんと共創という形で商品を作ったり、新しい取り組みを始めたりすることができました。0→1ができた1年だったと思うので、これからは1→2を目指したいです。この1年で取り組んできたことはまだ小さな点の状態だと思うのですが、それが徐々に広がり、線になったらいいなと思っています。

そのためにも継続性が持てるようしっかりとした土台作りを、地域のため、循環型社会のためにやっていきたいです。

ー長い道のりのように感じますが、これからが楽しみですね。

アサヒグループにはローカルSDGsリーダーがいます。彼らが各都道府県に訪問し、地方産業の盛り上げに繋がることを伝えながら一緒にできることを提案するなど、関東を中心に少しずつ取り組みが広まっています。

また、個人のお客様にご購入いただく他にも、企業様がノベルティやイベントグッズにアサヒユウアスの製品を選んでいただけることも増えてきました。たくさんの方の協力と支援を受けながら、より多くのきっかけを作ることを目標に引き続き頑張ります。

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文・構成/松本佳恋

このコラムを書いた人

スタイルストア 編集室

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