インタビュー&ゲストコラム
SHAQUDAデザイナー寺内さんが、旅先から連れ帰った愛用品たち
SHAQUDAデザイナー・寺内ユミさん
へのインタビュー。
第1回は、SHAQUDAというブランドに
ついて、第2回は、当店でもお取り扱い
しているボディブラシについて、お話を
伺ってきました。
最終回となる今回は、寺内さんの
愛用品をご紹介させていただきます。
年に2回は旅に出るという寺内さん。
旅先で見つけて持ち帰り、大切に
使っているものがたくさんあるのだとか。
また、ご自身の作品もデイリーユース
されているそうです。
「インタビューの際は、愛用品を
3つくらいご持参いただけますか」
とお願いしたところ、ありがたいことに
大きなスーツケースにたくさんのものを
詰めていらしてくれました。
魅力的な愛用品の数々をご覧ください。
イギリスで見つけたビンテージのポット
イギリスで出会ったこのポットは、
もともとは船内で使うために量産
されたマシンメイドのもの。
なにげなく手に取った本に載って
いるものと同じポットが同じお店
で商品として販売されれていて、
「私を呼んでいる!」と思わずには
いられず、セットで購入したそうです。
デンマークで一目ぼれしたジオメトリックアート
デンマークのギャラリーで一目
ぼれしたというアート作品。
「モノトーンの幾何学的な模様
に惹かれて即購入。そんな偶然の
出会いも旅の醍醐味です」(寺内さん)
各国で買い集めた普段使いのキッチンアイテム
キッチンアイテムは、使いやすさを
追及したら、旅先から持ち帰ったもの
ばかりになったそう。
カラートーンもそろっていて、素敵な
キッチンの風景が目に浮かぶようです。
右側の大きな黒いお皿のようなものは、
韓国のスーパーマーケットで購入した
チヂミ鍋。熱伝導がよく、使いやすいと
のことで、寺内家ではフライパンとし
て日々つかわれています。
その上にのっているのは、
・宮島のしゃもじ
・地元の木材でつくられた久米島のスプーン
・パリで購入した茶こし
そして右上の大きなお鍋は、フィンランド
で購入したサルパネヴァ・キャセロール。
「日本でも買えるのに、どうしても
欲しくて!重たい思いをして持って
帰ってきちゃいました」と笑いなが
ら教えてくださいました。
この鍋では、シチューや煮込み料理を
つくることが多いそう。
取っ手になっている木の柄は取り外し
でき、蓋の中央にあるくぼみに
引っかけて開けることができるという
便利さもお気に入りのポイントなのだとか。
これらを使いこなす寺内さんは、
なかなかのお料理上手なのではないか
とひそかに思っています。
女性たちがつくる1点もののテキスタイル
左はミャンマーの女性たちが1枚1枚
手織りしたテキスタイル。
80年前に織られたビンテージ品です。
右はインドのベンガル地方に伝わる
手刺し布。細かな白い模様は、白い
糸で施した刺繍だそう。この地方で
は子どもの頃から日常的に刺繍をす
る文化を持っています。
丁寧につくられたこの2つのテキスタ
イルは、愛用品というよりは観賞用。
「大切すぎて使えない」そうです。
種子島の伝統工芸品「種子鋏(たねばさみ)」
種子島でつくられるこちらのハサミは
地元の金うち職人さんがつくる伝統工芸
品。大ベテランでも1日10挺しかつくれ
ないということから、手間をかけてつく
られていることがわかります。
シャキっと切れる鋭い切れ味とともに、
シンプルで無駄のないフォルムも気に
入っているそう。
寺内さんにとってこのハサミは
仕事で行き詰ったときや、アイデアを
浮かばせたいときなどに使うカンフル
剤的な存在でもあります。
ゆらめく水面を表現した鎌倉彫のお皿
旅から連れ帰ったもの以外にも、
ご自身の作品もデイリーユースして
いるという寺内さん。
こちらは、鎌倉彫のお皿「MINAMO」。
職人さんによる彫刻で、水面(みなも)
が浮かぶ様子を表現しています。
本漆のしっとりとした質感とも相まっ
て、どんな料理をのせてもサマになり
ます。
「あるとき、お店でこのお皿から離れ
られなくなったお客様がいらっしゃい
ました。”モノに心が宿っている”と
いうことを実感した瞬間でした」
そんなエピソードも持つ、寺内さんに
とって忘れられない1枚でもあります。
江戸切子のグラスを現代風にアレンジ
こちらも寺内さんの作品ですが、
なんと、素材が耐熱ガラスという
使い勝手のよいグラスたち。
そして、彫り方も特徴的です。
一般的な江戸切子は1つのグラスを
直線的に渡って彫るのに対し、
こちらは放射線状に彫りを進める
技法であえてつくってもらったそう。
その名も「GEKKOU」。
グラスからもれる光のゆらめきの
美しさにうっとりしてしまうそう。
耐熱なので、あたたかいお茶をもOK。
お茶からあがる湯気も情景の一部
として楽しむことができます。
平和を実感するためのペーパーウェイト
「Hope for Peace」というイベント
のために制作したというペーパー
ウェイトです。
ペーパーウェイトとして使うだけで
はなく、オブジェとして窓辺に飾る
使い方もおすすめだそう。
小さな家の中に浮かぶボタンは、
かつて軍服用につくられていたもの。
兵士の軍服にはならず、残ったボタン
を平和の象徴として表現しています。
透明度の高いクリアなアクリルは、
日本の高い技術力の賜物。
窓辺の光を浴びてつくりだされる
家とボタンの影をながめるたびに、
平和について考えるきっかけに
なっているそうです。
スタイリッシュなプロダクトを多数
生み出している寺内さんが選ぶモノ
たちには、手仕事や伝統工芸に敬意
をはらう気持ちも込められていました。
これからも、寺内さんがつくりだす
プロダクトと、それらがある風景は
どれもみな素敵なものであるだろうと
思わずにはいられません。
気さくでどんな質問にも丁寧にお答え
くださった寺内さんのこれからの
作品にも、注目しています。
SHAQUDA デザイナーインタビュー 寺内ユミさん編
第一回 心に映る「けしきをみたす」
第二回 至福のバスタイムを約束する
「ボディブラシ」ができるまで
第三回 デザイナー寺内さんが、
旅先から連れ帰った愛用品たち