インタビュー&ゲストコラム
SHAQUDAデザイナーインタビュー – 心に映る「けしきをみたす」
品質のよい化粧筆と聞いて、
誰もが思い起こすであろう「熊野筆」。
広島の熊野地方に古くから伝わる技巧で、
熟練の職人さんたちがつくっている
日本が誇る伝統的工芸品の一つです。
そんな熊野の地で誕生した、注目の
新ブランド「SHAQUDA」(シャクダ)。
2015年にデビューするやいなや、
数々のメディアに紹介されるなど
国内外の感度の高い人たちから
支持を得ているメイクアップ&
スキンケアブラッシュブランド。
SHAQUDAのコンセプトは
「けしきを みたす」
置いてあるだけで、ラグジュアリー
ホテルにあるような洗練された存在感
を醸し出し、使うことで心の景色が
変わったような高揚感を得られる。
そこにあるだけで、手に取るだけで、
使う人の生活や気持ちを、よりよい
ものにしてくれます。
製造・販売元である有限会社瑞穂
さんが目指したのは、そんな世界観。
新ブラッシュブランドSHAQUDA
(シャクダ)のクリエイションを手掛けた
のが、寺内デザインオフィスの
寺内ユミさんです。
第一回目となる今回のテーマは、
ずばり「SHAQUDAについて」。
ブランドの世界観や人気の理由を
伺いました。
スタイリッシュながら日本らしさもさりげなく
ライター小林:SHAQUDAの筆の、
優美な佇まいにほれぼれしています。
寺内さん:ありがとうございます。
海外のホテルやヴィラを思い起こす
スタイリッシュさを、SHAQUDAの
イメージコンセプトにしています。
小林:非日常の時間の流れの中で丁寧に
自分をメンテナンスするような気分に
なれそうですね。
寺内さん:そうですね。
そしてデザインの根底には、日本の
感性を感じ取って頂けると思います。
いかにも「ザ・ジャパン」という雰囲気には
したくなくて・・・「言われてみれば、さすが
メイドインジャパン」と思ってもらえるくらい、
さりげなく日本のエッセンスを残しました。
小林:私たち日本人にとってはスタイ
リッシュで、海外の人が見ると
日本らしさを感じる、ちょうどいい
バランスがあるように思います。
UBU(ウヴ)とSUVÉ (スーヴェ)と
いうお名前も、ほんのりと日本語っぽ
いですね。
寺内さん:メイクブラシのUBUには、
「はじめての感触、はじめてのやさしさ」
という意味が込められています。
私たち日本人が「うぶ」という言葉
から想起するイメージです。
一方、スキンケアブラシSUVÉ は、
こちらも日本語の「すべすべのお肌を
実現するアイテムであるために」との
思いから名付けました。
つくりたかったのは、理想の世界観
小林:SHAQUDAというブランドが
どんなふうにして生まれたのか、
少しお聞かせいただけますか?
寺内さん:私は、今までにも、
伝統工芸品を作っておられる
メーカーさんとの仕事をいろいろと
経験してきました。そんな中で
SHAQUDAの製造元である瑞穂さん
との縁があり、彼らのビジョンに共感
したことがきっかけです。
熊野にはたくさんの筆メーカーが
ありますが、瑞穂さんは歴史と
伝統と、それに裏打ちされた技術を
お持ちです。
産地ではモノづくりの工程が分業に
なっているところも多いのですが、
瑞穂さんは原料の仕入れから、製品
にして検品し、お客さまにお届けする
ところまで自社でやっているんですね。
さらに、早くからオリジナルの筆や
洗顔ブラシを開発されており、お店や
お客さまからの声を聞く機会もあった。
そんな中で、熊野の筆づくりの
高い技術や伝統を美しく形にすること、
のちにSUVEというシリーズとして
体現された「極上の筆でスキンケアを
する」といったなコンセプトの「元」が
あったわけですね。
その想いや考え方に共感できました。
私自身も女性で、「SHAQUDA」を
カタチにすることは、女性が使うもの、
女性の美しさを引き出すツールを
カタチにする仕事でもありましたから、
より思い入れを持って取り組んだ
プロジェクトでしたね。
熟練の技術がうんだ、見惚れるフォルム
小林:なかでも特徴的なのは、
このUBUのメイクブラシだと
思います。ほかのメイクブラシと
一線を画すルックスですよね。
寺内さん:一般的なメイクブラシは
ブラシの部分を平らに成型する
ために、金属のパーツが使われて
いるのですが、UBUは金属を使わず
にブラシを作っています。書道の「筆」
と同じ、伝統的な作り方ですね。
この方が見た目に美しいのはもちろん、
すべてのパーツが天然素材なので
使い終わった後、自然に還ることも
可能になりました。
小林:金属がないだけで、
イメージががらりと変わります。
確かに書道の筆はこういうルックス
ですね。こういった製法もあるのに、
一般的なメイクブラシでは、当たり前
のように金属のパーツが使われて
いるのはなぜでしょうか?
寺内さん:そのほうがつくりやす
いからなんです。金属を使わずに
穂先を楕円に仕上げるのは、細かな
配慮と高い技術がなければできない
こと。この部分に関しては、筆先だけ
でなく、木材をつくる技術もかなり高度
なものが必要ですので、木工を
手掛けてくださった職人さんの腕も
確かだったのだと思っています。
木の加工を得意とする職人さんが
身近にいてくれたので、そういうことも
間接的にこのブラシの美しさを支えて
くれていますね。
美しい所作が生まれるわけ
小林:SHAQUDAの大切なコンセプトの
一つである「使う人の所作を美しく」と
いうことには、どんな思いを込められた
のでしょうか。
寺内さん:例えば、この洗顔ブラシだと
茶道の「茶筅」を、泡立てるための器は
「抹茶椀」をイメージしています。
お抹茶を立てるように泡立てると思うと、
さらに気持ちがシャキっとしませんか。
小林:確かに・・・!
寺内さん:そして、ブラシは斜めに
傾いて立っているので、横からすっと
手を伸ばす所作が自然に生まれます。
小林:納得です。デザインひとつで
こんなにも手の運び方や気持ちが
変わるんですね。
寺内さん:見ための美しさだけでなく、
使う人の「心に映る景色」が豊かに
なるものであるブランドに。
そういった想いを「けしきを みたす」
というコンセプトで体現しました。
小林:込められた想い、とても素敵
ですね。そして熊野筆ならではの
使い心地のよさや環境への配慮も
とても魅力的ですので、次回は
そのあたりについて教えてください。
期間限定ポップアップストアを展開中
現在、スタイルストアの代官山店、
&STYLE STOREでSHAQUDAの
ポップアップストアを展開中です。
ぜひ店頭で手に取って、所作が美しく
なる感覚を体験してみてはいかがでしょう。
寺内さんへのインタビューは次回、
ブラッシングスキンケアを提唱する
「SUVÉ 」のお話へと移ります。
こちらもどうぞお楽しみに。