テーマ別おすすめアイテム
第九回 着物でおでかけしてみる 後編
初の着物を着てのおでかけ。
着物道具一式が入った重たいスーツケースを
引っ提げて、行ってきたのは京都です。
(詳しくは前回へ)
一人で着た時は2時間かかった帯も、
カワタさんの手にかかれば、ものの5分。
着方を復習していったにも関わらず、
結局ほとんどをカワタさんに
着付けてもらいました。
手とり足とり教えてくれる人が身近に
いるというのは、本当にありがたい。
わたしもいつかきちんと着られるように
なったら、誰かに着せてあげられるように
なりたいなあと思わされたのでした。
着物は骨董市で買い求めたもの、
帯はカワタさんに戴いたもの。
手元にある精一杯の組み合わせですが、
どちらもとてもお気に入りです。
帯締めと帯揚げは、秋っぽい色のものを
選びました。
さて、着物を着て出かけたのは、
京都・大原。
紅葉が七分ほど色づいた良い時期でした。
着物を着て歩くのは成人式ぶりで
どきどきしながら外へ出たのですが、
京都は、着物で歩く人が多い街。
着物姿でも不思議と街にも
馴染む感じがします。
慣れない草履を履いて、
小股でちょこちょこ歩く姿は
きっと傍からみればぎこちなかったはず・・・
でも、美しく着物を着こなしたおばさまに
「あら素敵、上手に着れてるわね~」と
話しかけて頂けたり、
知らないおじさまにも声を掛けて頂き
なぜか一緒に記念撮影したり・・・
着物を通じて、知らない人と
コミュニケーションできるのは
すごく新鮮な経験でした。
ちょっと話が逸れますが、
大原三千院と言えばCMでお馴染みの
「京都~大原 三千院♪」の演歌のメロディーが
脳内に流れだす方も多いはず。
その続きの歌詞は
「結城に塩瀬の素描の帯が~
池の水面に揺れていた~」
なんですね。
最初はなんのことやらでしたが
・結城・・・無形文化財でもある「結城紬」。
とても手間暇かけて織られるもので、超高級品。
落ち着いた色味で渋めの印象のものが多く、
「着物好きが最終的に辿りつく着物」との呼び声も。
・塩瀬に素描の帯・・・塩瀬とは、帯を染めるときに
よく用いられる生地の名前。
紬や小紋に締めて街着の着物に使う、
長い期間締められる便利な帯。
季節感のある柄が描かれていることが多い。
ということだそうで。
これだけですごく着物を着なれていて
品の良い女性なのが伝わってきます。
歌われている「塩瀬の素描の帯」には
一体どんな絵柄が描かれているんだろう・・・と
演歌の情景を思い浮かべながらの
大原散策。
こうやって着物を着る機会をつくることで
どんどん着物が好きになっていくんだなと
体感した、良い日でした。
絵:chihiro kawata
過去の記事はこちら
知識ゼロのハタダが着物と格闘する日々、
そっと見守っていただけますと幸いです。
着物の季刊誌「七緒」のウェブショップ、
「こまものや七緒」の運営もしています。
ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。