インタビュー&ゲストコラム
【あの人の暮らしぶり】小野さんの食器棚と、愛用のうつわ
今回「あの人の暮らしぶり」に
ご登場いただいているのは、
rinao designの小野里奈さん。
瑞々やつどい鉢、ハイルなど、
数々のプロダクトをデザインし、
ご活躍されています。
第2話は、個人的にも気になっていた、
「小野さんの食器棚と、ご愛用のうつわ」。
ご自身でもうつわをデザインされてる
小野さんは、どんなうつわを選ばれて
いるのか、そしてたくさんのうつわたちの
収納ルールなども教えていただきました。
コンパクトかつたくさん収納できる食器棚
ご自宅のリビングへ入って
すぐ目に入ってきたのが、
小野さんデザインの食器棚。
限られたスペースの中でもたっぷりの
うつわを収納できる上に、使いやすい
工夫がたくさんありました。
ミズナラの無垢材を贅沢に使った
食器棚「Ko-ko(ココ)」は、
木工の産地・北海道旭川の
家具メーカー 山室家具製作所と一緒に
共同開発されたのだそう。
耐久性があって長く使えるように
釘は使わず、「框組み(かまちぐみ)」
という昔ながらの手間のかかる構造で、
職人がひとつひとつの工程を大切に
作っています。
「以前暮らしていた家は今より狭くて、
限られたスペースの中でも
たくさんのうつわを収納できる
食器棚があったら良いのにと
思っていました。
マンションだとスペースが取れないので、
奥行きは36cmとコンパクトにデザイン
しています。」(小野さん)
棚板はお盆にもなるように作られて
いるので、棚ごと取り出すことができ、
奥のうつわも楽に取ることができます。
季節にあわせて手前と奥を
入れ替えやすいのも嬉しいところ
ですよね。
お茶碗、汁椀、小皿など、毎日使う
うつわは、手前のゾーンに。
うつわを何枚も重ねすぎると
重くなったり取り出しにくいので、
棚板(お盆)までの高さは15cmに
設計されたそうです。
扉にもこだわりが。
引き違いの扉だと、片方の扉は
閉まったままなので出し入れしにくく、
観音開きだと扉の分だけスペースが
必要になってしまいます。
そのため、Ko-koはフルオープンで
跳ね上げ式の扉に。
一度の開閉でたくさんの器を
出し入れしやすい仕上がりです。
指を入れて持ち上げやすいように、
溝が掘られています。
こういった細部への気遣いを見ると
嬉しくなってしまいます。
小野さんならではの視点から生まれた、
美しさと使いやすさを兼ね備えた
本当に素敵な食器棚。
何より、たくさんのうつわたちが
のびのびと気持ちよさそうに
納まっているのが印象的でした。
愛用のうつわは、「脚つき」多め
数あるうつわの中から小野さんが
愛用品として選ばれたのは、
高台つき(脚つき)のうつわでした。
「脚つきのうつわは、テーブルの上でも
高さを出せるので、手に取りやすく、
見た目にも変化があって楽しいです。
実家の母も料理好きで、
家にはお皿がたくさんありました。
脚つきも多いんですよ。
おばあちゃんからもらった
うつわもあります。」(小野さん)
「ちょこっとお酒のおつまみや
薬味を盛ったり、マヨネーズを入れて
食卓に並べることもあります。」
(小野さん)
脚つきだと、食卓に並べるだけで
存在感がありますね。
漆のうつわは、岩手県の安比塗
(あっぴぬり)。
落ち着いた赤が料理に風格を
もたらしてくれそう。
人が集まった時など、おもてなしの席
での出番も多いそうです。
小野さんの食器棚を眺めていたら、
片口も大小さまざまお持ちでした。
「片口は、そのままお酒を入れる時も
ありますし、煮物やお酒のアテを
入れて使っています。
ドレッシングを作って入れておく
こともあります。」(小野さん)
うつわを買う時は、
「つくり手さんとお話ししながら、
使い方などを聞いて、納得して
買うことが多いです。」(小野さん)
とのこと。
たくさんのうつわの分だけ、その背景に
つくり手さんとのやりとりや会話がある。
今回小野さんにお話を伺って、
うつわやそのもののことだけではなくて、
そのまわりのエピソードを含めて
「誰かの食器棚にはいろいろと
詰まっている。そこがおもしろい。」
と感じました。
さて、次回は小野さんご愛用の
キッチン道具やインテリアについて
教えていただきました。
こちらもどうぞお楽しみに。
今回ご紹介した食器棚「Ko-ko」は、
山室家具製作所さんが作られて
います。
http://yamamurokaguseisakusho.com/
「あの人の暮らしぶり」
rinao design 小野里奈さん編
【序章】
【第一話】
小野さんの、おもてなしの食卓とうつわ
【第二話】
小野さんの、食器棚と愛用のうつわ
いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。