インタビュー&ゲストコラム
【つくり手インタビュー】深呼吸できる香りで、健やかな肌へ。メイクアップアーティストが作る等身大のスキンケア

鹿児島生まれのスキンケアブランド「マールアペラル」。当店ではバームクリームが長くコスメジャンルのNo.1を誇るブランドです。ブランド名の「マール」は女性の象徴としての「海」、「アぺラル」は魅力を意味します。「私が子供の頃、九州地方にはまだちょっと男尊女卑のような空気があったんですよね」と語る、創業者のヒラノマリナさんに、女性の魅力を引き出す製品づくりと、それを支える信念についてお聞きしました。
MAR apelarを紐解く3つの商品
女性の魅力を「引き出したい」―― ブランド名に込めた思い
MAR apelar(マールアペラル)ディレクターのヒラノマリナです。私は2012年にスキンケア製品のブランド「MAR apelar」を立ち上げました。マールがスペイン語で海、アペラルは魅力の意味で、自然の恵みで女性の魅力を引き出したいという思いを込めています。
ちなみに会社名は「マールユナイテッド」。ユナイテッドが結合で「女性のつながり」という意味です。私は鹿児島県出身で、幼少期の九州にはまだ男尊女卑のような空気が残っていました。20代の頃から、そんな空気に違和感を覚え、結婚しているか、子どもがいるかどうかに関係なく、それぞれのステージで女性が活躍できるような仕事がしたいとずっと思っていました。

今、マールアペラル製品を一緒に作っているメンバーは全員女性で、メイクアップアーティストやメディカルアロマセラピストなど、それぞれの専門分野を活かし合いながらブランド作りをしています。
等身大のものづくり「ネイチャーバランススキンケア」
マールアペラルを立ち上げた十数年前、オーガニックを謳うブランドがブームになり始めていましたが、国産のものが少なく、海外製のものは満足のいく使用感のものがありませんでした。ノンケミカルだけれども質感がいまいちだったり、特に「香り」が微妙なものが多かった気がします。
私は、いわゆる百貨店コスメのようなハイスペックなものではなく、プチプラでもなく、等身大の自分にしっくりくるものを求めていました。自然と共存し、身体にも安心で、心身ともにストレスのない生活を応援するような製品を作りたかった。
ヘアメイクの仕事を長くやってきたので、「現場で実際に使えるか」「一日中つけていても負担に感じにくいか」は大事なポイント。そのリアルな基準が、ブランドの芯になっています。その観点でも特に自信作で、実際に長く皆さんに愛されている定番の2品と、最新作のMセラムオイルを今回「マールアペラルを紐解く3品」として選びました。
【NO.1】絶対に手放せない!というリピーターさん多数、バームクリーム
クリームじゃない、「バーム」という選択
最初にご紹介するのは、オーガニックバームクリーム。スタイルストアさんでもお馴染みの製品ですよね。今でこそ多くの方にリピートして頂ける人気アイテムになりましたが、発売当時は「バームで保湿?」「軟膏を顔に塗るの?」となかなか理解してもらえなくて(笑)。

ヘアメイクの現場で、「保湿できていると思っても、肌はそんなに潤っていないかも…」と実感していました。撮影現場って、強いライトや風が当たるのが日常。肌にはかなり過酷な環境なんですね。どんなに丁寧に保湿をしても、撮影を終えたモデルさんの肌は乾燥しているんですよ。
でも下地にバームを使うと、うるおいの「持ち」が違うんです。蜜蝋とはちみつが肌の水分をしっかり包み込んで、上からカバーしてくれるようなイメージです。だからこそ私はバームを「顔に使わないなんてもったいない!」と思います。

特に就寝前は、「手が顔にくっつくくらい」を目安にパール粒大の量を使ってみてください。目元はシワになりやすく乾燥しやすいので、バームを上からそっと置くようにのせるのがおすすめ。唇は縦ジワの中に入れ込むように円を描きながらくるくると。指に残ったら、爪や髪へと無駄なく使えます。
使いやすさのために、一つ一つ手で充填しています
ぜひフェイスケアにも使ってほしいので、外せないのが、手作業で容器に詰める「手充填」へのこだわり。バームは機械で容器に詰めると、どうしても少し硬くなってしまうんです。機械でできたら何倍も効率はいいのですが、手でやるから、指でスッと取れる柔らかさが実現できています。
最低限のスキンケアとして、化粧水とこのバームさえあれば大丈夫。海外旅行の乾燥する機内なんかにはもってこいです。

ティーツー精油が入っているので、花粉やアレルギーで鼻をかみ過ぎて赤くなったところや虫刺されにもちょんとつけたり、私は10歳の息子にもバームを持たせています。忙しい毎日の中で、あれこれ考えずにこれだけ持っていれば大丈夫、と思えるお守りのような存在になれたら。私自身も「お守りレスキューバーム」として、日々欠かさず愛用しています。
【NO.2】ヘアメイク目線で開発した、うるおうミスト「月桃化粧水」
香りの力を最大化できる「ミスト」という形状
2つ目にご紹介するのは、月桃化粧水。先ほどのバームと同様、ブランド初期からある製品です。

バイヤーの柳沼さんが「スプレー式は空気中に舞う分がもったいない、私は全部肌につけたい」と仰っていましたが(笑)、実はミストこそもっとも効率よくムラなく肌に化粧水を届けられるんですよ。手やコットンに吸われることもなく、均一に顔全体にのせられるし、香りの広がりが段違いに良くなります。
この化粧水には、女性の肌とリズムをサポートする、ローマンカモミールとゼラニウムの精油が配合されています。単に「ナチュラルないい香り」というのではなく、意味があって選んだ精油とハーブエキスです。その処方と、「肌も心もストレスフリー」という私たちのコンセプトを、体感としてもっとも伝えられるのが「ミスト」でした。
シャバシャバなのに、しっかりうるおう
この月桃化粧水はとろみ系じゃなくて、シャバシャバです。でも不思議と、つけたあとの肌が物足りなくない。「早く蓋(クリーム等による保湿)しなきゃ」という感覚にならないんですよね。

そこにはいくつか理由があります。まず月桃の蒸留水がベースなので、月桃の成分が溶け込んでいます。「化粧水なのにちゃんとうるおう」と言っていただけるのは、シロキクラゲ多糖体のお陰かな。これは成分特性上、うるおい感が続くように感じられると思います。
1本150mlで、2か月から2か月半ほど持ちます。ぱっと見は高く感じても、割ってみると印象が変わるのではないでしょうか。「他の化粧水を試してみたけど、やっぱりこれに戻ってきた」というお声をよくいただくんですが、99.8%が自然由来の成分で、派手な即効性があるわけではないんです。

使い続けるうちに肌そのものが元気になって、「あ、今私の肌、いい感じかも」と思える。等身大の美しさとは、そんなふうにして引き出されるのではないかと感じています。
【NO.3】年齢を重ねて、今必要だと思えた贅沢処方、Mセラムオイル
私たちが40代になって、やっと作れたオイル
最後にご紹介するのは、マールアペラルにとって久しぶりの新商品「Mセラムオイル」です。私たちも40代半ばになって、スペシャルケアが必要だと実感する年齢になりました。13年かけて基礎をしっかり作ってきたし、価格のことはいったん横に置いて、本当に必要だし配合したい精油を躊躇なく入れてやってみようと開発したのが、こちらのオイルです。

バームがオールラウンダーとして活躍してくれているので、後回しになっていたんですが、美容オイルはずっと製品化したいと思ってきたアイテムの一つ。クリームや美容液と違って、美容オイルにすれば、顔だけじゃなく、髪にも手にも使えます。形状を安定させるための添加物もいらないし、植物の恵みをダイレクトに取り入れることができて、香りも素晴らしい。
かなり原価の高い精油を今回は使いました
このオイルは「誰にでも使える万能オイル」を目指したわけじゃなくて。季節の変わり目や、年齢を重ねる中で「今日はなんだかゆらぐな」と感じるとき。そういうタイミングにも手に取りやすい一本にしたくて作りました。
40代後半になってくると、今まで大丈夫だったものが急にダメになるとか、肌が一段弱まるなどの変化が出てきますよね。いつものケアなのに、急に物足りなく感じたり、触れたときの印象がいつもと違ったり。そういう「ゆらぎ方の変化」に寄り添えるような感触と香りを目指しました。

今までなら「値段が高くなるからあきらめようか」と採用しなかったような精油も、今回は使うことにしました。ネロリ、ローズ、ローマンカモミール、ブルータンジー、フランキンセンス…中にはかなり原価の高い精油もありましたが「これは絶対外せない」というものは躊躇なく入れました。
最後のピースは、南フランスで買い付けた精油
そんなふうに開発していたら、ものすごく大変だったのが、香りの調整です。「入れたい精油を全部使う」とはいっても、なんとか価格は抑えたいので、一部の原料は自分たちで直接買い付けに行ったんです。南フランスで買い付けた「ブルータンジー」という真っ青な色をしたオイル。甘いりんごみたいな香りがして、これを加えた瞬間、香りの輪郭がすっと整って、「ようやくこれだ」と思える方向に着地しました。

ベースはホホバ、アルガン、アプリコットカーネル、桜島のツバキ油の4種をブレンドしています。オイルって面白くて、重さの異なるオイル同士の組み合わせの妙で、私たちの「皮脂」となじみがいい状態になるんです。使うたび肌も心も癒されて「あぁ、贅沢だな」と思える香り、そして翌朝の肌のしっとりもっちりした手触り。今このタイミングだからこそ開発できた美容オイルであり、マールアペラルのコンセプトである「女性の魅力を引き出し、心身の美しさを支える」を理想的に体現したプロダクトになりました。
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以上、マールアペラルのディレクターであるヒラノマリナさんに「マールアペラルを紐解く3つの商品」についてお聞きしました。
私がマールアペラルをいいなと思うのは、メイクアップアーティストやメディカルアロマセラピストという専門職の女性たちが、自分たちも使いたいし、世の中にはこういう製品が意外とないよね、ということを起点にものづくりをされているところです。
基礎化粧品をライン使いしてもらうためにこれとこれがあった方がいい、とか、何年おきに新商品を出して飽きられないようにしよう、といった「計算」がない。じっくり時間をかけて、自分たちの肌と体で検証しながら商品を磨き上げていくプロセスにも好感が持てます。
10年前と比較したら、美容医療を含め「攻めのケア」が増えた昨今。その一方で、思わずはっとさせられるような魅力のある方は、シミやシワがないから、ではなく、生命力を感じるつややかさがあって美しく見えるように思います。
マールアペラルの等身大のスキンケアは、その人と肌を明るく元気で前向きに導いてくれる力がある。当店でも30代から70代まで幅広い世代にマールアペラルファンが多いのは、それが皆さんにも伝わっているからだと確信できたインタビューになりました。

大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。