バイヤーからのお便り

一度にたくさん、ではなく、少しずつ丁寧に

2026年03月22日更新

「急ぎようがないんです。」とは、torois temps(トロワトン)のバッグのつくり手、藤野さんがぽつんと語った言葉です。

なぜならば、トロワトンのバッグに使われる生地は、なんと手織り。東京は国分寺のアトリエで、数名のスタッフによって、日々少しずつ織り上げられてゆきます。また、商品の企画・デザイン、ハンドルなどに使われる革の加工、縫製もすべてアトリエ内で行っています。

一度にたくさん、ではなく、少しずつ丁寧に。そんな風に出来上がるバッグは、手織りならではのふっくらとした厚みが魅力で、かかった時間の分だけ愛おしさを感じる、そんなバッグです。

手織りのバッグの良さって?

ロザンジュ ブラック×ホワイト

ほとんどのつかい手にとって、手織りのバッグは馴染みのない存在だと思います。私もその一人で、「しっかり織られている分、重そう」、「繊細で持つのに気をつかうのでは」という印象があり、つくり手の藤野さんに、トロワトンのバッグならではの魅力をお聞きしてみました。

ふっくらとしているのに、軽い

まず、なんといっても魅力的なのは、ふっくらとした厚みと、あたたかみのある素材感です。機械で織られた生地や、プリントの生地では出せない柄の立体感や奥行きは、まさに手織りならでは。

手織りの生地は、糸の中や糸と糸の間に空気を含むのでボリュームが出ても軽くて柔らかいのだそうです。それでいて、持つと軽さに驚きます。今回ご紹介する「トートバッグ Sサイズ」は、重さ約290~295gと、同じサイズの革バッグの半分以下の重さです。

麻糸で織られているから、丈夫

ロザンジュ ブルー×グレー

「トートバッグ Sサイズ」はどの柄も全て麻糸で織られています。天然素材の中では最も強度があるので、見た目は繊細ですが、意外と丈夫なんです。

もしほつれが出ても、修理が可能なので、メンテナンスしながら長く使って頂くことができます。

持った時に完成するデザイン

マリニエール グレー×イエロー

トロワトンのバッグは、持った時にどんなふうに柄が見えたら素敵なのかを計算しながら作っています。

藤野さんは、洋服デザインに長く携わった後に手織りと出会ったのだそう。手織りの世界では、織り手さんはたくさんいるけれど、織りあげた生地を形にするノウハウを持っている人は珍しいのだそうで、形にするところまでをきちんとデザインできるのがトロワトンの強みと言えます。

一見大胆に思える柄も、意外と馴染んで持ちやすい、そんなところがとても良いと思います。

一番汎用性の高いサイズのトートバッグ

今回ご紹介する「トートバッグ Sサイズ」は、ブランドで長く定番として愛されているサイズです。

横約38cm、縦約30cmで、A4の書類を入れると少し頭が出てしまうサイズ感なので、通勤よりも普段のお出かけにおすすめのバッグです。長財布や500mlペットボトル、折りたたみ傘、ipadやハードカバーの本、ストールなどが収納できます。

コットン100%の裏地がつき、内ポケットは2か所あります。

開口部をスナップボタンで留められるようになっているので、中身が見えにくいのも嬉しいポイントです。

柄は2タイプ

定番として愛されているマリニエールとロザンジュという2柄をセレクトし、スタイルストアのつくり手をイメージした色の組み合わせで織って頂きました。

マリニエール

左:ネイビー×ベージュ、右:グレー×イエロー

ボーダーやチェックなどの4つの柄を組み合わせた「マリニエール」は、トラッドやカジュアルスタイルがお好きな方におすすめの柄です。色に合わせて持ち手のレザーも細かく変えて頂いています。

手織りならではだなあと感心するのが、わかりますでしょうか。各柄を縫い合わせるのではなく、織り方を変えることで柄を変えているのです。デザインに合わせて、色を変えるタイミングを計算しながら織られているんですね。だから、余分な縫い目がなく、とてもすっきりとしたバッグになっています。

ロザンジュ

左:ブラック×ホワイト、右:グレー×ブルー

ロザンジュは、マリニエールとは対照的に、シックで大人っぽい印象です。

ロザンジュ ブラック×ホワイト

手織りならではの立体感で、持った時に高級感が出るのが魅力です。きれい目な装いや、少しフォーマルなシーンにも馴染むと思います。

アトリエで実際に手織りの様子を見せて頂きましたが、普段身に着けているものはもともとはこうやって手織りで作られてきたんだなあと、改めてものづくりの基本を見せて頂いたような感動がありました。

実は、織る作業以外にも、糸を最適な太さに撚ったり、織りあがった生地を手裁ちで裁断したりと、さまざまな手仕事の末にトロワトンのバッグは出来上がっています。そんなところを想像しながら、愛でて使って頂きたいなあと思います。

このコラムを書いた人

加藤 紀子

スタイルストア バイヤー

加藤 紀子

ショッピングユニットでバイヤーをしています。衣食住にまつわるすべてのことに興味があります。暮らしを楽しみたいという気持ちを大切にしたいと思っています。