バイヤーからのお便り
【カメオという芸術】今年はネコやります

こんにちは、バイヤー楠です。アクセサリーブランドLa mascotte(ラマスコット)とコラボレーションし、年に一度だけ行うカメオコレクションの期間限定販売が今年も始まりました。カメオと聞くと、長い髪の女性の横顔がモチーフになった宝飾品をイメージされる方が多いはず。でも、このブランドのものはお花や動物等、カメオではあまり見かけない個性的なモチーフばかりです。
昨年の秋に行った受注会後すぐに、一年後の受注会のオファーをしているので、今回の限定販売に至るまでにかかった時間は、約1年。今年は人気のフラワーモチーフの他に、思わず笑顔になるネコモチーフのものも作っていただきました。
工芸品のイメージを持つカメオに新しい風を吹かせる、すべて一点もののカメオコレクションは、9月30日(火)から10月31日(金)までの約1か月間の期間限定販売ですので、お見逃しなく!
そもそもカメオとは?
カメオと聞いて、なんとなく頭にイメージは浮かぶものの、なぜそれが高価なのか、どうやって生まれるのか、ご存じない方も多いと思います。当店では一年に一度の限定販売なので、まずはカメオとは何かから説明させてください。
カメオとは、「絵柄が立体的に見えるように浮き彫りを施したもの。」の事を言います。その歴史は古く、誕生したのは約5~6000年前。数字を聞いてもピンとこないのですが、縄文時代の頃からのものと聞くと、かなり歴史が古いジュエリーだというのがわかりますね。

カメオの素材は、天然石やメノウなどの天然石やシェル(貝殻)、サンゴなど様々です。La mascotteのカメオコレクションでは、サードニクスやコーネリアンといった高貴な色の貝素材を使っています。

原貝をしっかりと乾燥させたうえで大まかにカットし、さらに良い部分を選んで必要な形にカット。その後、彫刻に入ります。使用する貝は2層になっていて、表層の白い部分彫り進め、下層の赤や褐色の地色を出すことで、絵柄を浮かび上がらせているんです。
天然の貝を人の手によって彫ることで生まれるカメオには、全く同じ作品は存在しません。アーティストによって作風も変わるオリジナリティが高い作品なんです。もちろん希少価値も高いので、高価なジュエリーとして、現在でも販売されているアイテムなんですね。
1人のカメオアーティストとの出会い

La mascotteのカメオコレクションは、イタリア人のカメオアーティストに製作をお願いしています。ある日、売り場に並ぶカメオに一目惚れしたデザイナーが、そのお店のオーナーと話し、カメオアーティストを紹介してもらったのがきっかけだったようです。

La mascotteのデザイナーのカワセさんは、そのイタリア人のカメオアーティストを親しみを込めて「マエストロ」と呼んでいます。上の画像はマエストロご本人。とってもダンディーです。ご自分の作品では、シックで伝統的な女性モチーフを手掛ける事が多いマエストロですが、カワセさんの「もっと小ぶりなカメオがあったら」「こんなモチーフのカメオが欲しい」というリクエストにより、これまでのご自身の作品では作らないモチーフを彫ってくれているのだといいます。

カワセさんの図案をマエストロが作品にするというお二人の交流は、すでに20年以上も続いていて、フラミンゴやキツツキ、四葉のクローバーを加えた鳥、ラクダなど、カメオとしては相当レアなモチーフをうみだしているのだそう。6000年以上も前に誕生し、そこから今日に至るまで、他の装飾品は時代とともに形を変えてきましたが、カメオだけは大きく形を変える事がないままなんだとか。伝統工芸として定着していたそんなカメオを手掛けるマエストロにとって、面白い発想の日本人デザイナーとの出会いは、新鮮で刺激的だったのかもしれません。
La mascotteならではのデザイン

このコラムの冒頭でも書きましたが、La mascotteのカメオコレクションは、これまでのカメオの印象を大きく覆すようなものでした。今回、期間限定で販売するものを順にご紹介します。
胸がキュンとするネコシリーズ

まず最初にご紹介するのは、カメオのモチーフとしてはレアなネコシリーズです。今年のはじめに、9月にまたカメオの限定販売をおこないたい旨をお伝えし、どんなモチーフがいいかを相談していた際に、カワセさんからご提案いただいたのがネコシリーズのペンダントヘッドでした。顔のみのモチーフ(一番右)は、以前も販売したことがあるのですが、全身が入ったネコモチーフは、今回が初めてです。

こちらは、ネコが蝶と戯れている愛らしい一瞬を作品にしたもの。小さな蝶と遊んでいるネコのしっぽの先まで躍動感を感じる、たまらない作品です。

お座りをするネコは2種類あります。シェルの茶色い部分を活かしたデザインのものと、そこを残さずくり抜いたものがあります。いずれも、しっぽをくるっと巻いてお行儀よくお座りしているのがたまりません。
フラワーアーティストとのコラボで生まれた名作

思わず目を見張るこの4つの美しいカメオは、2017年から始まったフラワーアーティストのローランボーニッシュさんとのコラボレーションで生まれたもの。デザイナーのカワセさんに製作にあたっての裏話をお聞きしたのですが、完成までにはやはりかなりの工程がありました。

例えば、このシリーズのカメオを制作する際は、図案用にローランさんにアレンジメントをお願いするところから始まるそう。ローランさんがアレンジを組んだ数々のフラワーアレンジメントの一つが上の画像です。

それを撮影して画像にした状態で、デザイナーのカワセさんとマエストロがどういった図案にするかをを考案。その工程で書かれるラフ案の一つが上の画像です。その後、図案をもとにマエストロに彫ってもらい、数か月後に完成するのです。

貝の凹凸やコンディションに合わせて、マエストロが調整をしながら彫ったカメオは、見どころをがあって、カメオの世界観に魅入ってしまいます。

カメオのモチーフとなったアレンジメントは、すべて異なります。アレンジメントとカメオを見比べて、どの部分がカメオのモチーフになったのかを想像するのも楽しい時間です。

いずれの型もブローチとして、またネックレスのトップとして身につける事が出来る2WAY仕様です。シーンによってアレンジができるというのも、昔のカメオにはないところ。アクセサリーブランドとカメオ職人のコラボレーションだからこそ実現できるアイテムです。
品の良さが漂う一粒のお花のカメオ
小ぶりで気負わず付けられるサイズのものからカメオを取り入れたい、という方におすすめなのは、お花シリーズです。

フラワーモチーフの中で最も人気なのは、バラです。特に白い立体的なバラモチーフのものは、毎年完売してしまうアイテムです。

バラモチーフは、どれもかなり立体的。こちらを作るには貝に厚みが必要です。そのためひとつの貝からたくさん作ることは難しく、中には平たく仕上がるものも。そこで、立体的に彫れたものだけを厳選して販売しているといいます。

注)ミニバラのペンダントトップは、デザイン変更がありますので、詳しくは商品ページをご覧ください。
今年の新作は、画像左のバラ、その隣のユリ、中央のピンク色をしたバラのペンダントヘッドです。彫りを施すにしても、貝の地の色が表に出ないもの、貝の地の色とのコントラストを楽しむものなど、一言でカメオといっても、個性があるのが分かりますね。中央はコンクシェルと呼ばれるピンク色の巻貝を掘ったもの。

女性らしい優しいピンクのバラは、甘さよりも華やさが際立ちます。
シンプルな格好を引き立てるペンダントヘッド

こちらは、ユニークなモチーフのカメオたち。左は幸運の鳥といわれるハチドリを。そして右がトランプのジャックをモチーフにしたペンダントトップです。

「マエストロとの出会いからこれまで、同じデザインを何度もリピートしてお願いしていますが、毎回、その素晴らしい仕上がりに感動しています。マエストロのカメオは、まさに小さな芸術です。」と話していたカワセさん。

カワセさんが言う通り、浮き彫りを施すアーティストの技術力に頼るところの大きいカメオは、アクセサリーよりも高価なジュエリーです。そのたたずまいから、身につけるだけで、ワンランク上に見せてくれるパワーを持った一点もののカメオは、本日から10月31日(金)までの期間限定販売です。気になる方はお早めに!!

ショッピングユニットでバイヤーをしています。
スタイルストアの商品によって、どこかで誰かがちょっとだけ幸せになればいいなと思ってバイイングをしています。それだけが私の大きなこだわりです。