バイヤーからのお便り
新年のご挨拶にかえてー暮らしの土台に「やさしいこころ」
新年あけましておめでとうございます。スタイルストア 店長の柳沼です。皆さまつつがなく新年をお迎えのことと存じます。
旧年中は、スタイルストアでのお買い物をはじめ、商品やコラムを読んでいただくなど、いろいろなかたちで当店に触れて頂き、ありがとうございました。昨年6月には十数名のお客さまのご協力のもと、オンラインでのユーザーインタビューを実施できたことも、とても有意義な経験でした。
コロナ禍が一段落した一方、戦争や為替の影響を筆頭に、つくり手の皆さまには原料調達にまつわる諸経費の高騰により、ものづくりにおいては困難の多い一年でもあったことと思います。そんななかでも、変わらぬ品質で「暮らしをアップデート」する製品を作って頂きありがとうございました。
本コラムのタイトルの一節「やさしいこころ」は、昨年秋に読んだ花森安治さんのコラムにあったものです。今年大切にしていきたいこの言葉について、今日は書いてみたいと思います。
コロナ禍を経て思う、この暮らしは豊かだろうか?
年末年始の時期に、一年を振り返り、新年の計を立てる方は多いと思います。以前は、新しいことや挑戦的なことを掲げなくては、という意気込みがありましたが、この新年は当たり前の暮らしを大切にしたいと思っています。これは些細なようで、大事であり、実現が意外と困難なことでもあります。
皆さんのコロナ後の一年は、どんなものだったでしょうか?オンラインでできることが増えて便利になった反面、予定を入れ過ぎて気忙しい日々を過ごしたり、「本来こんなに必要?」というような量の情報に触れて疲れたりしていませんでしたか?
というのも、自分自身のこの一年がまさにそんな感じで、制限が解かれてできることが増えたのも相まって、とにかくいつも忙しい。けれど「しみじみと充足感がある」と思える瞬間はごく少なく、年の後半が近づくにつれて「今の自分の暮らしは豊かなんだろうか?」と疑問を持つことが増えました。
「やさしいこころ」がないとできないこと
そんな時に目にしたのが、冒頭の花森安治さんのコラムです。そこでは、便利な世の中になり過ぎて、大切なものをおざなりにしていないか?季節の移ろいを体で感じ取る余裕を失っていないか?という警鐘が鳴らされていました。
私がもっとも衝撃を受けたのは、出版年です。1972年でした。今から半世紀以上前の警鐘だったのです。
コロナ明けの今だから、と思っていたのですが、日常に忙殺されて目が曇るのは世の常のようです。自分が大切にしたいこと、自分が真に心地よい状態を、知っていながら、それを選び取ることの難しさ。なんなら、その逆を行ってしまうおかしさ。自分の中のそんな矛盾を頭の片隅に置きながら、自分自身や周囲の大切な人たちとの関係を、いい塩梅にしておける暮らし方をしていきたいと思う新年です。
よく食べよく眠り、よく笑う「まっとうな暮らし」があってこそ
花森さんは、生きる上で大切にするべきものを見失わないためのコツを「やさしいこころ」と記していました。自分自身と自分以外のなにかに思いをはせることのできる心持ち、と私は解釈しました。「やさしいこころ」であるためには、いかに日々の暮らしがまっとうであることが肝要か、歳を重ねるごとに身に沁みます。無理をせず、よく食べよく眠り、適度に笑って体を動かす。本当はシンプルなことなんですよね。
当店よりお届けする商品や提案が、皆さんの健やかな暮らしを支える一助であるよう、また一年精進していきたいと思っております。皆さんも体を冷やさず、健やかな三が日をお過ごしください。
本年もスタイルストアをどうぞよろしくお願いいたします。
コラム中にご紹介した商品は、昨年柳沼の暮らしの中で日々活躍した品々です。まさに暮らしの土台を支えてくれたものたちでした。ただ今「つかい手の声キャンペーン」を開催中です。皆さんの暮らしの中で活躍した商品についてもぜひ「つかい手の声」で教えて頂けたら幸いです。
大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。