つくり手自身のための特注品

素材、形、使い方を既成概念から外す。牛革と磁石の「レザータッセル」[連載:つくり手の愛用品 vol.002]

2021年02月10日更新

スタイルストアのつくり手が自分や家族のために作った、未販売のプライベートな愛用品。つくり手にとって最大のお客さまとも言える、自分のためのフルオーダー品だからこそ、ものづくりのこだわりがぎゅっと詰まっています。今回ご紹介するのは、KAKURAのディレクター&デザイナーを務める石原ゆかりさんの「レザータッセル」。作ったきっかけやこだわりも含めて、詳しくお話を伺いました。

石原ゆかりさんのプロフィール

約12年間に及ぶグラフィックデザイナー生活の後、1998年にオリジナルプロダクトブランド「KAKURA」を設立。革・紙・陶器・竹など、異素材をデザインでつなぐプロダクト開発を得意とする。

スタイルストアでは、すべて手縫いで作られるバッグinバッグ「5レザーポケット」や、ノート、手帳カバーなどが特に人気。KAKURAの企画、デザイン、制作、地元大阪の高槻市でのファクトリーショップの運営を幅広く担う。プライベートでは大学生の息子さんのお母様。

今回の紹介してもらう「愛用品」について教えてください

今回石原さんにご紹介いただくのは、牛革を使用したカーテン用のレザータッセルです。まずはどのようなアイテムなのかを伺いました。

「牛革と強力な磁石を使ったタッセルで、磁石は両端の革で包み込んでいます。磁石同士がくっつき合ってカーテンを束ねるので、タッセルフックはありません。」

どういうきっかけでこの愛用品を作ったのですか?

フックがなく、磁石の力でカーテンを束ねるタッセル。なかなか見ないユニークなアイテムですが、それを作るきっかけとなったのは、一般的なタッセルへの不満と、知り合いの方の言葉だったそうです。

「カーテンに付属している一般的なタッセルは、共布のものが多く、味気ないなぁと思ったのがきっかけです。市販のタッセルフックも同様ですね。ずいぶん前にインテリアコーディネーターの知人からもそんな話を聞いたことがあって、ずっと心に引っかかっていたんです。素材、形、使い方を既成概念から外してみたい。そんな思いで作りました。」

どこにこだわったか、苦労したことなどのエピソードを教えてください

一般的なタッセルは味気ない、という思いから生み出されたレザータッセルですが、完成までにはさまざまな苦労がありました。

「はじめはカットした、裏表のある革で作ってみました。ですが革の裏が布に擦れると、革の粉がついてしまうことがあったんです。」

「そこでシステム手帳の革紐の、Bランクのものを使ってできないか試してみました。それで細くて長めの紐をくるくる二重で巻き留めたり、カーテンを途中まで開けてマグネットでカーテンを挟み込んだりできるようになったんです。」

「こだわっている部分としては、磁石部分の円形の革の縫いです。少し手間が掛かりますが、磁石ぎりぎりの革のサイズになっていて、さりげない雰囲気になっています。この点がタッセルのデザインのポイントになっていると思います。」

最後に、石原さんがものづくりで大事にしていることを教えてください

最後に、石原さんがものづくりにおいて、特に大切にしていることを伺いました。

「シンプルな形なのに、どこか有機的な印象になるデザインを心がけています。自分の内側にある『思い』のようなものが形になったとき、目には見えない何かを、見る人や使う人に感じてもらえると思うんです。」

インタビューを終えて:シンプルでさりげないのに、どこか印象に残る「レザータッセル」

KAKURAの石原さんが、一般的なカーテンタッセルに物足りなさを感じ作り上げた、磁石入りのレザータッセル。しっくりと窓辺に馴染みつつも、唯一無二の存在感を感じられます。

フックや紐ではなくマグネットで留めるのもユニークな点。カーテンをまとめる動作がワンアクションで済むので、カーテンに彩りを添えるという面だけでなく、楽さという面でも優秀です。「シンプルな形なのに、どこか有機的なデザイン」という石原さんのこだわりが詰まったタッセルでした。

今回のつくり手の商品一覧

今回ご紹介したものは、つくり手さんご自身用のため非売品となっております。現在お取扱いしている商品は下記のリンクをご覧ください。革の風合いを楽しみつつ実用品としても活用できるものが、多数揃っています。

「KAKURA」のブランドカタログ・取扱い商品一覧

文・構成/上野智美

このコラムを書いた人

スタイルストア 編集室

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