インタビュー&ゲストコラム
ビンテージから作家モノまで、スパロウ圭子さん流「うつわ」の楽しみ方と使い方
切り絵作家のYUYAさんと、
パン講師のスパロウ圭子さんが
暮らすアトリエ・フォーク。そこで
圭子さんが主宰する民芸パン教室
では、日本全国で買い集めた民芸の
器で食事をする時間が設けられて
います。
パンをつくることだけでなく、手仕事の
器をつかう愉しみも体感してもらいたい。
そんな想いから誕生したのだそう。
今回は、圭子さんが器を集めるように
なったきっかけや、お気に入りの器と
その活用法をご紹介します。
鳥取の器が教えてくれた手仕事の魅力
圭子さんが民芸の器を好きになった
きっかけは、とある作家さんがつくった
ストライプの小皿でした。
それまでは、シンプルな白い食器を
使っていたという圭子さんは、手仕事で
つくられた器のあたたかみのある
佇まいに一目惚れしたのだそうです。
思い立ったら行動するタイプの圭子さん。
次の長期休暇にはご主人である
YUYAさんと鳥取旅行を計画。
産地で目にした器の数々は、今までに
ない魅力で圭子さんご夫妻を惹きつけ
ました。
「民芸のつくり手の方から生み出される
器は、おおらかで謙虚に思えました。
作り手さんの人柄が出てるようで、
さりげなくあたたかいんです」(圭子さん)
器との出会いは、YUYAさんの作風にも変化をもたらすことに
じつは、圭子さんと同時にご主人の
YUYAさんも民芸の器に魅了された
のだそう。若いころに建築関係の仕事を
していたYUYAさんは、スタイリッシュで
統一感のある、すっきりとしたデザインを
好んでいました。そんな価値観に
ゆるやかな変化が訪れたようです。
「職人さんが手作業でつくる器の、
手仕事の持つおおらかさと質感に
惹かれました。
合理的で整ったものよりも、ひとつひとつ
違うことの魅力やおおらかさは、今の自分の
作風にも少なからず影響しています」
(YUYAさん)
圭子さんのお気に入りの器を3つ
アトリエ・フォークでは、鳥取や益子、
瀬戸といった器の産地のほか、
九州や東北の窯元にも足を運び、
少しずつ買い集めた器がふたりの
暮らしを彩っています。
たくさんある中から、お気に入りの器を
3つほどチョイスしていただき、
その活用法を教えてもらいました。
1 瀬戸本業窯の黄瀬戸 石皿(ビンテージ)
愛知の瀬戸にある、
由緒ある窯元「瀬戸本業窯」の
ビンテージのお皿です。
この「黄瀬戸」は、今でも作られて
いますが、これは現在生産されている
モデルよりも、落ち着いていて、
使い込まれた風合いに惹かれたそう。
見つけた瞬間、圭子さんは
「このお皿に何かを盛ってみたい」
と強く思ったとのこと。
菊の模様をあしらった、お皿そのものの
佇まいと、料理を盛り付けたときの
サマになるかっこよさ。そのどちらも
とても気に入っているそうです。
2 齊藤十郎氏作のサンマ皿
静岡の伊東に工房を構える、
齊藤十郎氏による長皿。
圭子さんとYUYAさんは、彼がつくる器
の大ファンです。
数ある器の中でも、齊藤氏が知人に
頼まれてつくったという、この「サンマ皿」
は、とりわけお気に入り。
そしてこのお皿を、圭子さんは
「ロールケーキ皿」と呼んでいます。
じつは、YUYAさんは無類の
ロールケーキ好き。そんなご主人の
ために、圭子さんはロールケーキを
手づくりすることも多いそうです。
愛情たっぷりのロールケーキを、
ふたりの大好きな器にのせて頂く
のは、ご夫婦の幸せなひととき。
そんなこともあって、ロールケーキや
ケークサレなど長さのある焼き菓子が
のることの多いサンマ皿。
おふたりのクリスマスケーキが盛られた
のも、この器でした。
3 工房イサドのカッティングボード
木工作家 本田 淳さんが作る
カッティングボード。樹種や木の状態、
個性を見ながら制作されるため、
2つと同じものはありません。
「個性が強すぎないのに、存在感のある
ルックスと、ありそうでなかなか見つからない
理想的なダークカラーにも惹かれました」
(圭子さん)
たしかに、圭子さんが焼く天然酵母パンを
引き立てる色合い。この幅と、この長さの
カッティングボードは、確かにそうそう
出会えるものではなさそうです。
パンのほか、チーズにも造詣の深い
圭子さんならではのチョイス。
パンやチーズをサッと切ってのせるだけで
おもてなしの食卓にも映える、かっこよさ
がある、カッティングボードです。
圭子さんとYUYAさんの暮らしぶりを
ご紹介してきましたが、いよいよ次回は
最終回。
こだわりのものに囲まれて暮らす
おふたりが選ぶ、愛用品や愛読書を
見せて頂きましたので、こちらもお楽しみに。
【あの人の暮らしぶり】
アトリエ・フォーク スパロウ圭子さん・
切り絵作家 YUYAさんご夫妻編
【第1回】
アトリエ・フォークの収納に学ぶ、
沢山のモノたちとすっきり快適に暮らすコツ
【第2回】
ビンテージから作家モノまで
スパロウ圭子さん流「うつわ」の楽しみ方と使い方