バイヤーからのお便り

研ぎ師直伝!驚くほど切れるようになる、包丁の研ぎ方講座

2016年11月28日更新

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毎日使う包丁は、気をつけていても、徐々に切れ味が落ちてくるもの。メーカーに研ぎ直してもらうこともできますが、自宅でもこまめにメンテナンスをしておくと、切れ味は全然違ってきます。

刃物の産地、岐阜県関市で料理人の方などプロの包丁を蘇らせる「研ぎ師」の方に、家で包丁を研ぐときの手順とコツを教えて頂きました。

砥石(といし)について

包丁を研ぐには、「砥石(といし)」を使いますが、砥石は、包丁に使用されているステンレスや鋼などよりも硬い粒子を固めたもので、この硬い粒子と包丁がぶつかることで包丁が削れていきます。

砥石には「荒砥」「中砥」「仕上砥」の3種類がありますが、一般的な家庭では「荒砥」や「中砥」が使いやすいでしょう。

では早速具体的な手順に入ります。

包丁の研ぎ方

【1】砥石を水に浸す
これは、包丁と砥石が擦れて生じる摩擦熱を抑えたるためです。水を張った桶などに砥石を沈めます。

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砥石から気泡が出なくなるまで十分に水を浸み込ませます。

【2】砥石を固定する
十分に水を浸み込ませた砥石を水中から取り出し、研いでいる最中に滑らないよう、専用台などを使って固定します(台がなければ、下に布巾などを敷いてご使用ください)。

【3】包丁を研ぐ
まずは荒砥を使用して包丁を研いでいきます(荒砥がなければ中砥から始めても大丈夫です)。
刃を手前に向けて右手の中指、薬指、小指で包丁の柄をしっかりと握ります。右手親指で包丁の根元を抑え、左手で刃先を軽く抑えます。

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柄を手前に45度向け、砥石の水平面に対して刃を少し起こします。

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コイン2~3枚ほどの高さが目安です。

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角度を一定に保ち、ゆっくりと動かします。

起こした際の角度が浅いほど、切れ味が長続きする良い刃がつきますが、研ぎの難易度は高くなります。

包丁をうまく研ぐコツをご紹介しますね。

1、砥石に対する角度を一定に保つ。
2、手前から奥に向けて、刃先から順に根元へゆっくりと動かす。
3、砥石の偏摩耗を避けるため、砥石全体を使って研ぐ。
4、少量ずつ水を掛けながら研ぐ。こうすると、砥石の減りが抑えられます。

【4】刃先に刃返りがでるまで、繰り返す
20回ほど前後させると、下の図のような、わずかに反り返ったような「刃返り」がでてきます。この刃返りがでるまで繰り返し研いでいきます。
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指で触りながらザラザラとした引っかかりがあれば「刃返り」がある証拠です。
部分的に刃返りが出ていない場合は、その部位を左手で軽く抑えながら集中的に研いで、均一に刃返りを出します。

【5】裏面を研ぐ
包丁をひっくり返し、右手で刃を奥に向けた状態で握ります。表面と同じく、砥石に対して角度を固定し、左手でブレードを軽く抑えた状態で、奥から手前に動かします。

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表面とは逆に、手前に引くときのみ力を入れます。

【6】中砥で仕上げる
中砥に替え、【1】から【5】の工程を繰り返して、仕上げます。

【7】刃返りをとる
研ぎ終えた包丁を新聞紙の上で払うように擦り、刃返りをとります。表面と裏面を交互に繰り返し、刃返りがすべて取れたら終了です。


手順を丁寧に教えてくださったのは、pommeや「ゆり」と「やまと」でお馴染み志津刃物さんがお付き合いされている研ぎ師さんです。

WEBで検索すると研ぎ方の動画なども見つかりますので、参考になさってみてくださいね。

このコラムを書いた人

柳沼 周子

スタイルストア バイヤー

柳沼 周子

大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。