インタビュー&ゲストコラム
【あの人の暮らしぶり】山崎さんの愛用品に学ぶ、おもてなしの食卓に映える器と鍋
「あの人の暮らしぶり」山崎 宏さん編。
第一回では山崎さんのご自宅を訪問し、
アトリエ兼リビングの様子をご紹介。
第二回では、料理上手な山崎さんが選ぶ
お醤油系の調味料5選とその活用法を
ご紹介してきました。
最終回となる第三回では、山崎さんが
愛用する調理道具と器をご紹介します。
料理上手でもあり、おもてなし上手でも
ある山崎さん。友人や仕事仲間を招いて
自宅で夕食を振舞うことも多く、愛用する
鍋や器は自然とおもてなしのテーブルに
映えるものが多くなったそう。
そんな品々を紹介しつつ、山崎さんが
教えてくれた、道具のお手入れ方法や
活用例は、皆さんにも食卓のヒントに
して頂けることと思います。
そのまま食卓へ、客人の歓声が聞こえる鍋
まず最初に登場したのは、重厚感の
ある鉄の餃子鍋。中華鍋が有名な、
横浜の「山田工業所」のものです。
「これは鉄の厚さにより、食材を
のせても熱が下がらないので、
餃子はもちろんですが、野菜でも
肉でも『焼く』ものは、何でも美味しく
仕上がります」(山崎さん)
なかでも、感動的な美味しさに焼き
上がるのが「カブ」。とろとろになり過ぎる
こともなく、程よい食感を残しながら
焼き上げることができるのだとか。
「まだやったことはないのですが、
パエリアにもすごくいいと思います。
このまま焼きたて、作り立てを食卓に
運べば、お客さんもテンション上がる
でしょう?」(山崎さん)
器に盛るのと違い、食卓でも熱々が続く
ので、ひと際美味しくいただけそう。
宮島工芸製作所さんの木ベラとの相性
も抜群です。
「鉄鍋は実はメンテナンスもとてもラク。
使い終わったら、煙が出る程度に熱し、
お湯をかけると汚れが浮いてきます。
トングを使ってキッチンペーパーで
ぬぐうだけ。せっかくの皮膜がダメに
なるから洗剤の使用はNGです」
(山崎さん)
もう一つ、そのまま食卓に出せる
美人な鍋をご紹介頂きました。
京都の鍛金工房 WEST SIDE 33
アルミ製オーバル型両手鍋です。
「オーバルの鍋って、なんかいいです
よね。横長だから、基本魚料理に活躍
するのですが、僕は鶏の胸肉を茹でる
のによく使います。お湯に生姜と塩を
いれて胸肉を茹で、冷めるまでその
ままにしておく。冷めたら、包丁を
使わずに手で裂きます」(山崎さん)
小振りなサイズ感だからこそ、食卓に
出しても圧迫感なく使えそう。
ロールキャベツにも良さそうです。
大皿のススメ
さて、次は器です。
スタッフ一同その美しさに魅せられた
のが、こちらの漆の大皿。
輪島の作家・高田晴之さんの作品です。
レコード盤を思わせる緻密な千筋、
ご覧頂けますでしょうか。
「高田さんの大皿はバゲットを切って
載せるだけでも絵になります。取り皿
のようなサイズを人数分買うよりも、
迫力のある大皿を一枚持っておくと、
人が集まる食卓で映えますよ。
大きな器にたっぷりと盛ると、それだけ
でも料理がおいしそうに見えます」
(山崎さん)
漆の器は軽量で扱いやすい点も魅力。
陶磁器と違って、割る心配も少なくて、
長く愛用できるのもいいですね。
手入れをしながら長く付き合う
「キレイに割れてくれたから(笑)」と
継いで愛用中なのは、大谷製陶所
大谷哲也さんの器。もっぱらパスタ
皿として活躍しているそうです。
※本品は以前の作品で、今は少し
デザインが変更になっています。
金継ぎのラインが、デザインとして
溶け込んでいるよう。継げば長く使える
と知ってはいても、なかなか腰が
上がらないという方も多いのではないか
と思います。でも改めてこんなふうに、
継いだあとの器の美しい表情を見せて
もらうと、金継ぎという選択肢が、これまで
よりちょっと身近に思えてきますね。
自分にフィットする道具は、使いながら探る
実は今回ご紹介した品々は、山崎さんが
用意してくれた商品の一部。他にも色々と
素敵な愛用品を見せて頂いたので、こちらは
また改めて、番外編としてご紹介したいなと
思っています。
山崎さんのお話を聞いていて感じたこと。
それは、ヤマサキデザインワークスの
デザイン哲学にも通じる「これはこういうもの
と思って、無意識に諦めない」というスタンス
です。
こう文字にすると固い感じがするかもしれ
ませんが、住まいの空間作りから、暮らしの
道具の選び方まで、小さな工夫や試行錯誤
を重ねながら、自分にとって本当に気持ちの
いい関係、環境を作っていく、ということ。
改めて、自分にとって本当に心地のいい
暮らしって何だろうと、考え直すきっかけ
になるインタビューでした。
山崎さん、長丁場にお付き合い頂き、
ありがとうございました。
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「あの人の暮らしぶり」第一回
YAMASAKI DESIGN WORKS
山崎 宏さん編
【第一回】
整えられた空間が、快適になる2つの秘密
【第二回】
料理上手な山崎さんによる調味料5選
【第三回】
山崎さんの愛用品に学ぶ、
おもてなしの食卓に映える器と鍋
大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。