バイヤーからのお便り

だるさ疲れやすさは鉄瓶が解決

2020年01月09日更新

こんにちは、バイヤーの畠田です。
なんとなく疲れやすい、身体が重くてだるい、といった体調の変化、みなさま感じることはありますか?
わたしは以前よりそう感じることが増えてきて、年のせいかなあと思っていたのですが、友人に「それ、きっと貧血だよ」と言われて驚きました。

貧血になるとめまいや立ち眩みが起きる、というのは知っていましたが、疲れやすさにつながるというのは初耳。鉄分不足=酸素を身体に運んでくれるヘモグロビンが作られづらくなり、身体の組織や臓器が酸欠状態になってしまうんだそうです。

貧血にならないためには鉄分をきちんと摂ることが大事なんですが、これがまた大変です。
成人女性が一日に必要な鉄分は約10mgと言われていますが、鉄分が多く含まれる食品とされている牛レバーで4mg、ホウレン草は3mg(いずれも1食分想定)。
これを毎日食べるのは難しいですし、鉄分を豊富に含む食材はとても少ないため、様々な食材からバランス良く摂る必要があります。
厚生労働省の調査によると、なんと日本人女性のほとんどは鉄分不足状態なんだとか。

そんな時に改めて良さを実感したのが鉄瓶でした。
水やお茶なら毎日飲みますし、沸かしたお湯でお味噌汁を作っても良し。一日の中で鉄分摂取の機会が増えます。
しかも沸かしたお湯は塩素(カルキ)が抜けて、まろやかで臭みがなく美味しい!

鉄分は、身体に吸収されやすい「二価鉄」(レバーなどの動物性食品に含まれる)と、身体に吸収されにくい鉄分「三価鉄」(ホウレン草など植物性食品に含まれる)の2種類があるのですが、嬉しいことに、鉄瓶を使うことで摂れるのはほとんどが「二価鉄」。
身体に吸収しやすい鉄分が、日々美味しく摂れる、というのは鉄瓶の大きな魅力だなと思います。

お手入れについて、つくり手に聞いてみました

昔は鉄瓶や鉄鍋で料理を作ることが一般的だったため、日本人の鉄分不足は今よりも少なかったそうです。
一日中、囲炉裏やカマドで火にかけつづけて使っていたのですが、この使い方は鉄の調理器具を良い状態でキープするためにも、実に理にかなっていたんですね。

とある山小屋に泊まった時、ストーブの上でふつふつと沸き続ける大きな鉄瓶を目にしました。その白湯の、なんと美味しかったこと・・・

でも、現代の生活では「ずっと火にかけ続ける」というのは現実的ではありません。
鉄瓶で沸かしたお湯が美味しいことは知っているけど、錆びさせずに使うことができるのか?お手入れが難しいんじゃないのか?という点が気になっている方はとても多いんじゃないかな、と思います。

鋳金家であり、デザイナーでもある、鋳心ノ工房の増田尚紀さん

「もし錆びてしまったらどうすればいいんでしょう?」と、質問を投げかけてみたのは、「鋳心ノ工房」の増田さん。
当店で取り扱いをしているティケトルを作っている、山形鋳物のブランドです。

そもそも鉄は「錆びるもの」

驚いたのは「錆びても全然大丈夫」との答えが返ってきたこと。実際に、30年間毎日使っているという鉄瓶の内側を見せていただきました。

「鉄はどれだけ丁寧に扱っていても錆びてしまうものです、でもこんな状態でも全く問題なく使えるんですよ。」と、増田さん。たしかに、かなり使い込んで錆びた状態に見えます。
でももちろん体には無害、沸かしたお湯も鉄っぽさは全くなく、美味しくなるんだそうです。

こちらは増田さんが2011年から月1回ペースで使っているというティケトル。こちらも錆びがありますね。毎日使わなくても、きちんと水気をとれば問題ありません。

錆びた状態でよっぽど放置してしまうと、金気(かなけ)といってお湯が赤く変色してしまうのですが、そうなってしまった時でも、何度か緑茶で煮出せば、お茶に含まれる「タンニン」が錆びを抑えてくれてまた使えるようになります。
鉄はそもそも錆びるものだし、錆びても対処ができる。そう思うと、気持ちがうんと楽になるように思います。

長く使うためのポイント

なんとなく「ハードルの高いもの」というイメージがある鉄瓶ですが、気を付けるポイントは3つだけ。いずれも水分を残さないために大切なことです。

写真では蓋を下に向けてしまいましたが・・・蓋も上向きにして乾かすと良いですよ。

まずは、使う量だけの水を沸かすこと。ついたっぷり沸かしたくなりますが、使いきる量だけの水を沸かして余ったら捨てましょう。
そして、お湯をうつしたら蓋をとって置いておくこと。鉄瓶は保温力が高いので、残った水分は余熱の力で乾きます。もしちょっと水分が残っているようなら、数十秒あたためればOKです。

最後に、ガス火をご使用の場合は直接鉄瓶の底に当たらないくらいの火の大きさにすること。ガスの火そのものに水分が含まれているため、底が錆びやすくなってしまうんだそうです。
また、ごく弱火にすることで鉄瓶そのものの変色も防げます。変色しても特に問題はありませんが、長くきれいな状態で使うためにも大切なポイントです。

このように「使う時に気を付ける」ことはいくつかありますが、鉄フライパンのように「使ったら油を塗る」といった、面倒なアフターケアは一切不要。意外と気楽に使えるということがもっと広まればいいなと思います。

ちなみに、鉄瓶の形をしているものでも「急須」と名前がついているものは、ほとんどが内側が錆びないように琺瑯加工されています。
お手入れが楽な一方で、鉄瓶から鉄イオンが溶け出すこともないので、「お湯がまろやかになる」「鉄分を摂取できる」といった効果は期待できません。
お手入れの手軽さに惹かれてそちらを選ぶ方も多いそうですが、せっかく鋳物を使うなら、ぜひ鉄瓶で沸かした白湯のおいしさを味わっていただきたいなと思います。

このコラムを書いた人

畠田 有香

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畠田 有香

ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。

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