みんなの愛用品
手の延長みたいなお玉匙の話
こんにちは、バイヤーの中井です。
料理する時、鍋の種類は変われど
これを使うのは変わらないという
道具があります。
それは大久保さんのお玉匙。
大久保さんといえば、当店では
桜の木のへらが一番人気ですが、
いやいやちょっと待った。
へらもすごくいいけれど、
お玉匙も名品だということをお伝えしたい!
どんなところが良いのかと言いますと、
・手の延長みたいに付いてきてくれる
・炒める、すくう、取り分けるがこれ1本でできる
という2点。
手の延長ってどういうこと?という感じですよね。
まずそこからご紹介したいと思います。
持つというより、スーッと付いてきてくれる
はじめにご覧いただきたいのが、
真横から見た全体像。
大久保さんが、南京鉋をカスタマイズした
道具を使って削り出しているのですが、
しなやかな曲線や、きゅっとくびれた形が
印象的です。
そして、この曲線の
手に対するフィット感が
抜群に良いんですね。
何度も試作を重ねて辿り着いたラインを、
人の手で繊細な調整をしながら
削っているからなのか、例えば
人差し指の付け根にかかるところは
ちょうど良い太さに。
動作をコントロールするのに重要な
指先がかかるところはこのくらいの細さに。
と、持っても動かしても
違和感やストレスが全然ないのです。
木ってそもそも固いので、
道具に手が合わせろ!という仕上がりの
ものも多いと思いますが(むしろ一般的?)、
このお玉匙を使ってみて初めて
道具の方から手に歩み寄ってくれる
パターンってあるんだなぁと
実感した次第です。
そして、多面的に削られているところは
調理中の「返しやすさ」に繋がって
いるように思います。
直角だと指に負荷がかかる、
丸いと指当たりはいいけれど滑る、
多面的だと、ちょうど指の関節に
フィットして、少ない力でも
調理しやすいんですよね。
例えば肉じゃがなどの煮物を作る時。
炒めながら返すこの動作をする時、
多面的な削り方のおかげで
指に負担がかかりにくく、
とても返しやすいのです。
また、使う前は単に
「バイオリンみたいにエレガントだな」
と、デザイン面での特徴としか
認識していなかった先端のデザイン。
使ってみたら、この突起が
自然と上の画像のように
引っ掛かかりました。
で、指先に力を入れて持たなくても
ストンと落ちず、腕の動作に合わせて
スーッと勝手に付いてくる。
今まで結構力を入れて持ってたんだなと
それまで意識してなかったことに
気づかされた瞬間で、
これは嬉しい誤算でした。
(大久保さん、これも計算済みですか?
すごい!)
これ1本で、炒めるところから取り分けるところまで
商品ページでもご紹介がありますが、
このお玉匙はどろっとした煮込み料理を
する時に威力を発揮してくれます。
肉じゃがやさっと煮の場合、炒めつつ
汁を回しかけられるところが良いので
ターナーではなくお玉匙を使うように
しています。
また、お玉匙だとゴロゴロとした野菜を
かき混ぜやすいのも嬉しいところ。
お味噌汁などの汁物を注ぐには
ポケットが小さめな分
一度にすくえる量が少ないなと
感じるかもしれません。
でも、汁物といっても
野菜を炒めてから煮込むシチューを
作る時は、面倒なのでこれ1本で
炒めるところからすくうところまで
済ませることができます。
シチューくらいどろっとしていて
具材も入っていれば注ぎやすいし、
ターナーで炒めて、レードルに変えて
注いで・・・と道具をいくつも
使わなくて済むのでおすすめです。
この他にも、炒めてから煮込む
ラタトゥイユや、
お鍋の時の取り分け用のお玉として
卓上でも重宝しています。
また、鉄鍋、金属性の鍋、土鍋、
どんな素材の道具とも相性が良いのも
嬉しいところです。
(金属同士だと音が気になったりしますよね)
つくり手にとってはすごく手間のかかる、
つかい手にとっては素晴らしい
キッチン道具。
大久保さんご夫婦だからこそ作れる一品、
これからもどうかつくり続けて欲しいなと
願っています。
いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。