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バイヤー中井の「静岡を訪ねて」 - 第2回 電車みたいなヤツの正体-

2016年09月27日更新

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みなさまこんにちは。

バイヤー中井が地方を探訪する中で、
つくり手さんやその土地ならではの
風景、おいしい食べものをご紹介する
こちらのコラム。

静岡編 第一回「あの蔦の中に
に続きまして、第二回の今回は、
森の炭の森(木のかたちの脱臭剤)
が生まれる製作現場探訪の様子を
お届けします。

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できたてほやほや(?)の森の炭の森。

デザイナーの花澤さんから伺った、
「電車みたいなヤツがいるから」
という謎の言葉。

電車に揺られること約30分、
そこから車で走ること約20分、
その正体と対面してきました。

まずは長さ5m超えの間伐材がお出迎え

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大迫力の木々。

到着してすぐに対面したのは、
大量の間伐材。
(間伐材とは、山を健康に育てるために
木を間引いた時に切られたものの
ことです)

長さ5mを超える背の高い木が
ごろごろと寝そべり、これから
炭になるのを待っていました。

ちなみに、そもそもなのですが、
森の炭の森を作っているアスカムの
関連会社「横山鐵工株式会社」は、
間伐材などを製材する機械を
作っている会社なんですね。

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広々とした工場で、製材用の機械を作っています。

アスカムは間伐材を炭にして、
その炭を使ったアイテムを作られて
いるのですが、何と、その
「炭を作る機械」自体も自家製
なのだそうです。

見たことなかった、炭づくりの現場

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まず、間伐材の皮を剥いだり
粉々にして「木のチップ」を作ります。
大きいまま炭にするのではなくて
チップにしてから炭にするんですね。

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この背景にうつっているのも
同じ木のチップです。

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こちらはいくつかの機械のほんの一部。
間伐材を木のチップにしたら、
大きな機械でセラミック素材と
混ぜ合わせます。

それから、専用の機械で焼き上げると
炭ができるんですね。

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こ、これが例の・・・!
長さは10mくらいで細長く、
確かに電車みたい。
近くで見ると大迫力です。

森の炭の森を作られている
アスカムの横山さんは、会話の中で
「そうそう、機械もね、自家製なんですよ」
と、まるでケーキ作りをするかのように
さらっと仰ってましたが、スケールが
すごすぎます。

と同時に、この機械を作るくらい
炭づくりにかけていらっしゃる
その気持ちがひしひしと伝わってきました。

「きちんと作ったものを、できるだけ
お客さまに手の届きやすいような
価格でお届けしたい」と横山さんは
仰ってまして、となると、
やっぱりこのくらいの大きな規模で
作る必然性があるんですね。

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さきほどの木のチップがこの
ぐるぐるの中を通ると、
出てくる頃には炭になっています。

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中を見ると吸い込まれてしまいそう・・・!

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焼くとこういう状態になります。

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大きな金属の箱をのぞいてみると、
炭がたっぷり。
これが例えば「Charco Bird」や
リラックスアイピロー」などの中身に
なっていくのです。

普段の気づきからの、逆転の発想

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今までアスカムでは、固形の
消臭剤というと、炭を固めて
作られていたのですが、
森の炭の森の場合は、炭を液状にして
刷毛で塗り重ねて作っています。

森の炭の森も、最初は炭を固めて
木の形を作ろうとしていたそうですが、
大きいサイズの場合、お客さまに
使用いただけるくらい丈夫かどうか、
コストも高くならないか、という
問題に直面。

横山さん曰く、当時は行き詰って、
「この企画、本当に実現できるんだろうか」
と、何度も考えていらっしゃったそうです。

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そんな時にふと目に入ったのが、
普段は刷毛などの道具を入れている
このグラスでした。

炭を使った刷毛を入れたりしているから
黒いし、洗っても全然落ちないので
あきらめてそのまま使っていたそう。

「あ・・・。
液状にして塗り重ねて
それがきちんと定着すれば、
森の炭の森が作れるかもしれない。」

そんな考えがふと降りてきてからは
即実験。

塗ってみたら素材にきちんと
炭が定着し、炭のペイントという
新しい技法が生まれたのだそうです。

まさに普段の行動からの
逆転の発想だったんですね。

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そんなことを乗り越えながら
ようやく完成した森の炭の森。

今日も横山さんが1点ずつ丁寧に
炭を塗ってくださっています。

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帰る時に車窓から見た大井川。

ちなみにこの風景は、横山さんの
普段の通勤ルートだそう。
川と空の広がりと抜け感がとても
気持ち良く、ちょっとノスタルジックで
素敵でした。

撮影していたら、「え、こんな普通の
風景の撮影で大丈夫なの・・・?」と
仰ってましたが。。。
地元の方にとってはいつもの風景
ですものね!

森の炭の森に使われている間伐材も、
この大井川付近の山から間引いて
伐採したものを使っています。

さて、最終回となる次回は、
静岡のおいしいグルメと
中井のとっておきのお店をご紹介します。
(次回へつづく)


【第一回】
森の炭の森をデザインされた
mag design labo.代表の花澤啓太さんの
オフィス兼店舗を訪れた時のこと
あの蔦の中に

【第二回】(本コラム)
森の炭の森の製作現場へ。
アスカムさんの工房探訪
「電車みたいなすごいヤツ」

【第三回】
静岡のおいしいグルメといえば&
中井のとっておきのお店
変わったけど、変わってない


 

このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。