バイヤーからのお便り

他では作れない!つくり手の歴史を詰め込んだ名品シャツ

2026年08月30日更新

こんにちは、バイヤー加藤です。

スタイルストアによく遊びに来て下さる方なら、一度は見て頂いたことがあるのでは?というグランシャツ。当店では10年ほどずっと人気を保っている稀有なシャツです。私がスタイルストアでバイヤーを始めた約5年前も「このシャツすごく売れるんだな」と思った記憶がありますが、その勢いは今も衰えることがありません(すごい……!)。

これだけ売れるんだから、他のブランドさんにも同じようなデザインがありそうなもの。なのに、グランシャツみたいなシャツって、ありそうで、いざ探すとなかなかないと思いませんか?先日、つくり手に改めてお話を聞いてみて、「これは他では作れない!」ということが良く分かりました。

ヴィンテージウェアをベースにしているから、流行に関係なくずっと着られる

ホワイト

今回お話を伺ったのは、Brocanteのデザイナー平井さんです。

平井さん:「Brocanteは2009年にスタートしたブランドですが、グランシャツは2010年に初登場したアイテムです。それから現在に至るまで、デザインはほとんど変わっていません。」

トレンドに左右されやすいアパレルの中で、16年もの間形をほとんど変えずに生き残っているのは、本当に珍しいことだと思います。その理由はどんなところにあると思うのか、平井さんにお聞きしてみました。

小さな衿とお行儀よく並んだボタンはグランシャツの魅力の一つ

平井さん:「自分が好きなこともあって、グランシャツはクラシックなテイストを取り入れています。例えば、コンパクトな衿や、ボタンをたくさん並べたデザインなどはヨーロッパのヴィンテージウェアから影響を受けています。」

クラシックなデザインは、流行に関係なくずっと古びない良さがあります。なるほど、年月がたっても魅力が失われないのはそうした背景があったからなんですね。

ブランドの地元、岡山でだからこそできるものづくり

Brocanteを運営する会社、株式会社ドミンゴは岡山県に本社があります。グランシャツは染色と縫製のどちらも岡山の工場で行っていますが、「岡山という地場で出せる雰囲気にしたい」という思いのもと作っているのだそうです。

グランシャツのためだけのオリジナル生地

ブラック

平井さん:「グランシャツに使われているのは、特別に作ったオリジナルの生地です。理由は二つあって、一つ目は、リネンは高価な素材なので生地メーカーで継続生産される生地がなかなかないんです。」

確かに、昨今は特にリネンの価格が上昇していて、スタイルストアで取り扱いをしているアイテムもその影響を大きく受けています。

ライトパープル

平井さん:「もう一つの理由は、生地の幅です。グランシャツは身ごろと袖がつながっている一枚裁ちのデザインなので、とても生地幅を取るデザインなんです。けれども、一般的なリネンの生地は幅110cmが主流で、それではグランシャツには足りません。そこで、グランシャツだけのために広幅のリネン生地を生産しています。」

綿糸で縫製する理由

ブラウン

グランシャツ作りは生地作りから始まっているのか、と平井さんのお話を聞いて驚きました。そして、さらに驚いたことがもう一つ。

平井さん:「縫製は、綿100%の糸で行っています。」

なぜ驚いたかというと、実は、出回っているウェアのほとんどはポリエステル糸で縫製されています。その方が滑りが良く、大量生産される商品の縫製には効率が良いからです。対して綿の糸は、滑りが悪く、縫うのに高い技術を要します。効率が悪いように思えますが、なぜあえて綿糸で縫っているのでしょうか。

ステッチ糸がきれいに染まっていることがわかります

平井さん:「グランシャツはシャツに縫い上げた後に染色をしているのですが、ポリエステル糸は染まらないので、縫い目部分だけ白く浮いてしまいます。でも綿糸ならステッチもちゃんと染まって仕上がりに違いが出ます。また、綿糸は染めるとぽこぽこと味のある仕上がりになり、ヴィンテージの風合いが出るのも気に入っています。」

高い技術を要する綿糸による縫製は、デニムの産地でもある岡山の工場だからこそできるもので、海外生産ではなかなかできないことだと言います。

環境にも配慮した染色

また、染色工場も岡山にあります。デニムの染めや加工も含めて、ドミンゴの全製品を手掛ける工場だという、つくり手が絶大な信頼を寄せる工場です。

平井さん:「グランシャツは毎シーズン新色を出しています。途中で数えるのをやめてしまったのですが(笑)、25色以上は作ったはずです。リネンは染め上がりの色が鮮やかに出ない傾向があり、想定通りにいかないこともあるので、必ずどんなふうに染め上がるのかをチェックをします。」

今回の新色は、ライトパープルとブラウンの2色。ライトパープルは淡さが魅力で顔色をきれいに見せてくれます。ブラウンは、こっくりとしたカラーで、秋を感じさせる季節の変わり目にぴったりの色です。

平井さん:「工場さんはあまり自分で言わないのですが、環境を守る取り組みにもとても熱心です。染色やデニムの加工には水をたくさん使いますが、こちらの工場は排出する水を限りなく元通りの水質に戻しているんです。」

地域に根差して、責任をもってものづくりをする姿勢も含めて、グランシャツはやはり他が真似することが難しい名品なんだということが分かりました。

モデル身長165cm(9号体型)、ブラウン

平井さん:「グランシャツはゆったりしていますが、裾が広がり過ぎないのでカジュアルなボトムスと合わせやすいところが気に入っています」

確かに、モデルさんに着てもらうときもとてもバランスが良いなと思います。

ブラック

身幅が広くドルマン袖なので、インナーとの重ね着も楽しめます。涼しくなったら、薄手のカットソーの上に羽織るのもおすすめです。これから10月の初めごろまで、まだまだ着ることができますし、来年も活躍すること間違いなしです。

このコラムを書いた人

加藤 紀子

スタイルストア バイヤー

加藤 紀子

ショッピングユニットでバイヤーをしています。衣食住にまつわるすべてのことに興味があります。暮らしを楽しみたいという気持ちを大切にしたいと思っています。