健やかな自分を作る暮らし方~新年のご挨拶にかえて~

2025年12月31日更新

あけましておめでとうございます。新年もコラムをご覧頂きありがとうございます。東京は穏やかな元日を迎えました。

当店のお客さまは40代以降の方が多く、インタビュー等で直接お話すると、育児や介護、仕事に地域の活動に…と多忙な日々を過ごされていて、頭が下がります。三が日ぐらいは、心と体を存分に緩める時間を過ごしていてくれたらいいなーと思いながらこれを書いています。

20年の節目に実感した「変化」

昨年、スタイルストアは20周年を迎えました。もともと、知られざる名品を発掘して紹介したい、生産背景やつくり手のことも伝えながら売ることで、深みのあるお買い物体験を届けたいという思いが私たちの出発点。そのため、長く「もの(商品)」にまつわることが発信の主軸でした。

ここ数年、製造業を取り巻く環境や市況、生活者の価値観など、あらゆることが大きく変化するのを感じています(物価一つをとっても、こんなに短期間にあらゆるものが値上げされる状況、今までなかったですよね?)。次の20年、どんな心構えでスタイルストアという店を運営していこうかと模索する中で、自分たちの心が最も動く瞬間は、つかい手であるお客さまやつくり手の方々から、人生や暮らしののエピソードを聞くときでした。

20周年記念企画として連載をはじめた「スタイルストアで買ってよかったものBest3」のお客さまインタビューは、そんなことがきっかけでスタートしました。「もの(商品)」が良いか悪いかではなく、それが人や暮らし、習慣をどんなふうに変えたか?というエピソードには、つかい手の数だけドラマがあって、私たち自身が一番更新を楽しみにしていたかもしれません。

新しい自分に合う道具を選び、手に入れる健やかさ

Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)という言葉があります。「人生の質」や「生活の質」と訳され、心身を含めた人生の満足度を示す概念です。インタビューで皆さんが語ってくれたエピソードは、まさにこの「QOLが上がった」という内容が多く、あぁーやはりスタイルストアに集うつくり手たちの商品は間違いないなと確信することができました。

例えば、急に敏感肌になったあこさん(都内在住40代)のケース。それまで愛用していたショーツで痒みが出るようになり、丸福ガーゼを購入されました。そこで医療用の包帯をヒントにつくられた生地の、ゴム不使用のショーツというものを、あこさんは初めて体験することになります。


自身の肌質の変化をきっかけに、下着を選び直してみたら、締め付けない、食い込まない、タグがチクチクしない、縫い目が当たらない…と、今までになく快適な状態に辿り着いたわけですね。私たちは、このような心身ともにストレスがなく満足のいく状態を「健やか」と表現しています。あこさんが新しい自分に合う下着と出会って健やかさを手に入れられたエピソードは、昨年お聞きした中でも印象に残るエピソードの一つでした。

健やかさを支えるのは、つくり手の真摯な気持ち

あこさんのQOL(Quality of Life)を上げた丸福ガーゼのショーツ、そのコンセプトは「想いやりで包むコト」。もともと包帯の組成に着目し、傷口を含め身体の一部を包み、フィットし、蒸れず、動きを妨げず…といった特性が下着に応用されています。

丸福ガーゼがすごいのは、ストレスなく包み込むインナーづくりのために、効率度外視の生産体制を敷き、試作と試験期間を数年単位で行うところ。生地を作るのにも3倍の時間をかけ、ショーツの仕様を決定するにも、体型や年代の異なる複数の女性で着用試験を何度も実施します。


この素晴らしいつくり手は、先ほどの「効率度外視」にも通じますが、大量生産できない方法を選んだ宿命として、それなりの事業規模で「知る人ぞ知るブランド」となります。私の周囲の友人知人に聞いても誰も知らない。こんなに名品なのに、ということになるわけですね。

だからこそスタイルストアとしては、然るべき人に届けたい。あこさんのように、丸福ガーゼの思いやりで救われる人に届くように、つかい手とつくり手、両面のエピソードを紡いでいきたいと考えています。

健やかさの連鎖を作れるように

誰かの暮らしや人生が、小さな壁をのり越えて、より良くなっていくエピソードって、聞く人にとって前向きな気づきや発見をもたらしてくれるものだと思います。同じ悩みをもつ人の存在に心強さを感じたり、自分にもヒントになるかもしれないと思ったり…つかい手のエピソードはつくり手の仕事のヒントになることもありますね。

健やかさは、モノを通じてもたらされることもあれば、心持ちや習慣を変えることでもたらされることもあるもの(高い化粧品を買うより、良質な睡眠が肌をよくするというように)。スタイルストアを取り巻く皆さんの健やかな暮らし方のエピソードを届けることが、また次の健やかな何かにつながっていくことを願い、今年も楽しく店づくりをしていきたいと思います。

健やかさの連鎖を作りたい、というのは、改めて多くのお客さまと直接対話を重ねたことで気づかされた思いでした。今までお話させて頂いた皆さんに、重ねて感謝いたします。本年もどうぞよろしくお願いします。

お知らせ


本日は、今までの買ってよかったインタビューで特に評価の高かった代表アイテムをポイントアップ致しました。また現在、当店オリジナルのマスキングテープのプレゼント、およびつかい手の声投稿の2つのキャンペーンを開催中です。「つかい手の声」はつくり手の皆さんも大変楽しみにされており、「往復書簡」でバイヤーからお返事も差し上げています。ぜひこの機会に声をお寄せ頂けると嬉しいです。

このコラムを書いた人

柳沼 周子

スタイルストア バイヤー

柳沼 周子

大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。