バイヤーからのお便り

真珠と銀が柔らかな光を放つ、ichinose naomiの新作が届きました

2025年12月14日更新

こんにちは、バイヤー加藤です。

金属なのに冷たさを感じさせず、柔らかく優しい雰囲気が漂う。ichinose naomiさんの作り出すアクセサリーのそんなギャップに私は魅力を感じています。今回ご紹介する新作、snow branchシリーズは、冬空の下に佇む白銀の枝、降り積もる雪といった自然の美しさがシルバーとパールで表現されています。

また、ホリデーシーズンに期間限定で限定販売されるhalf moonピアスも2年ぶりに登場。こちらはichinoseさんならではの、繊細なレースをモチーフにしたピアスです。

どちらも高いグレードのパールが見つからないと制作できないため、入荷数に限りがございます。

snow branch

張り詰めた冬の空
白銀の枝が静かに佇む
雪の粒か、月の雫か
命の息吹が、たおやかに集う。

風が囁き、枝を揺らすたび、パールは輝きを分け合う。
その姿は、雪化粧の木々の記憶
静寂の中で、優しく、強く、冬の夢を咲かせる

こちらの詩は、作品に込められた想いが少しでもつかい手に伝われば、とichinoseさんが作られたものです。

日本の冬景色の美しさにいつも胸を打たれるというichinoseさん。冬枯れの、葉を落とした木々を、凛とした姿で作品にしたいと誕生したモチーフがsnow branchです。リング、ピアス、イヤリングが揃っています。

実はこちら、オーダーメイド専門の工房でハイジュエリーをメインに制作されていたichinoseさんの超絶技巧によって生まれています。

原型の周りを石膏などで固める
↓
ワックスを溶かして空洞を作る
↓　
鋳型の空洞に溶けた金属を流し込む

というステップで作られています。一般的な鋳造よりも複雑で寸法精度の高い形状を作ることができるため、「精密鋳造」ともいわれる技法です。リングやピアス・イヤリングのベースとなっている枝モチーフは、ワックスが通るギリギリの太さなのだそうです。

こちらはリングの制作風景。樹皮の縦しまのような細かい模様が表現されているのがわかるでしょうか？枝の質感を出すため、丁寧に細かく削り模様を入れているのです。すごい……。

「自然界のものを再現するにあたり、手作りでしか出せない微妙な曲線や、でこぼこ感、温かみを大切に制作しています。」というichinoseさんの信念がこんな細部にも宿っています。

枝の上に輝くパールは、雪や、雫の美しさを表現するため、AAAランクの淡水グレーパールを使用しています。白に比べて輝きが柔らかなところがいいなと思います。

リングはフリーサイズで、8号から13号まで対応します。ゆっくりと力を入れて調節してみてください。

ピアスとイヤリングの2タイプをご用意しています。ピアスはフックタイプです。イヤリングはクリップタイプの金具を使用しているので、ネジバネ式に比べて着脱が簡単で痛くなりにくいと思います。

half moon

空の帳に寄り添うように
静かに浮かぶ銀の月

世界を照らすには、まだ足りず
暗闇に呑まれるには強すぎる

いつか完璧な円になる日も
やがて消えゆく新月の夜も
今宵の月は美しい

half moonピアスは2年ぶりの再販です。半月をイメージしてレースをかたどったというこちらは、華奢で繊細なつくりで見た瞬間に心をぎゅっとつかまれる可憐さがあります。

細かいレース模様は一般的な量産アクセブランドでは実現できない風合い。ひとつ一つ手作業で作っているからこそ表現できます。レースをかたどって鋳造するという伝統ある技法は、ichinoseさんが師匠から受け継いで試行錯誤を繰り返してきたものです。

初めてお話を伺った際に、「大手のブランドさんが量産するのは難しいと思います」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。本物のレースから型を取り、鋳造されているのですが、鋳造の際には熱でレース地が縮んだり、糸目が塞がったりするため、きれいな模様は出づらく、とても難しい技法なのだそう。

ゆっくり火加減を見ながら、温度を生地ごとに変え、丁寧な手作業でボリュームを調節することにより、少しずつ美しく繊細な模様が浮き上がります。そのため大量生産には向かないのですね。手作業で丁寧に制作されたアクセサリーは、手編みのレースの自然な糸の線が忠実に再現され、その少しポコポコした感じが何とも良い風合いです。