バイヤーからのお便り
スタイルストア限定色が登場!軽くて美しいジャカード織のバッグ

こんにちは、バイヤー加藤です。
展示会で一目惚れをしてお取り扱いが始まった「Jacquard Works(ジャカード・ワークス)」のバッグは、群馬県桐生市のジャカード織物機屋、SUSAIのファクトリーブランドです。
ジャカード織についてつくり手から色々とお話をお伺いするうちに、「スタイルストアだけの生地を織っていただけたら」という想いがつのり、このたびオリジナルカラーのバッグが誕生しました。生地を織っているところを特別に見学をさせて頂いたので、その様子をお見せしながらジャカード織の魅力をお伝えします。
織物のまち、桐生

「スタイルストア用の生地の試し織りをします」とのご連絡を頂いて伺ったのは4月下旬のこと。代表取締役 須永さんと、ブランドディレクター 後藤さんに桐生駅まで迎えに来て頂き、さっそく工場へ。
道すがら、桐生が1300年以上つづく織物のまちであること、もともとシルク織物に強い土地であることなど、桐生という土地についても教えて頂きました。
SUSAIは1906年創業、110年以上にわたり、機(はた)織り屋として国内外の有名ブランドを含む様々なメーカーや作家からオーダーを受けてジャカード生地を生産しています。

歴史を感じさせる門をくぐると、のこぎり屋根の工場が(一番手前はアトリエショップになっています)。こののこぎり屋根は、桐生の織物工場の典型的なスタイルだそうで、屋根の傾斜部分から採光できるようになっています。

のこぎり屋根が可愛らしいのもあって、思っていたよりも小さい工場という第一印象だったのですが、一歩中に入ると背が高く巨大な織機が何台もあってびっくりしました。高温多湿な土地で繊細な糸を扱うために、地面を掘り下げているとのことで、内部はとても広く感じました。
いよいよ生地を織っている様子を見せて頂きます。
ジャカード織機は、「頭の良い機械」

「ジャカード織」とは、1801年にフランスの発明家ジョゼフ・マリー・ジャカール(英語読み:ジャカード)氏によって発明された自動織機を使って織られた生地のことをいうのだそうです。日本には、1807年に京都・西陣に導入され、桐生には1877年以降に導入されました。
須永さんは、「ジャカード織機は、『頭脳』が大きいのが特徴」と語ります。頭脳が大きい?どういうこと?と戸惑う私に、旧式のジャカード織機で説明をしてくださいました。

TWINS bag Mサイズ スタイルストア限定色
pink flower × gray stripeこのように、ジャカード織機ではとても複雑な模様を織りあげることが可能です。

それはなぜかというと、複雑な模様のデータを機械が読み込むことができるから。紙に穴をあけて作った模様のデータ(「紋紙」といいます)が、ガシャンガシャンとジャカード機に読み込まれ、生地が織りあがっていく様子を見せて頂きました。現在は、専用のソフトで機械に読み込ませることが多いそうで、より短時間で複雑な模様の作成が可能になっているそうです。
単純なチェックやストライプしか織れない普通の織機に比べて、ジャカード織機はとても頭の良い機械だということが、実際によくわかりました。ちなみにジャカード織機のこの紋紙は、現代のコンピューターのプログラミング原理が生まれるきっかけとなったそうです。
経糸(たていと)は約1万本!織りあがってから仕上げまでの道のり

ジャカード織機の仕組みがわかったところで、いよいよ試し織りが始まります。織物は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させて織られていきますが、経糸の色は2種類ほどしかないそうで、色を決めるのは緯糸です。
経糸はなんと、約1万本かかっています。一つの織物を生産するのには、実はたくさんの細分化された職人が関わっているのですが、経糸を均一の張力で巻く専門の職人がいるのだと聞いてびっくりしました。

今回、ピンクとイエローの2種類のカラーをお願いしたのですが、このように無事試し織りが終わりました。実際に目の前で生地が織り上がるのは感動の一言です。機械にもよりますが、経糸に7~12色の糸を使えるそうで、今回はタテヨコ4色の糸で濃淡をつけてこの模様を作っています。

さて、織り上がった生地が製品になるまでも、たくさんの工程と職人が関わっています。こちらの生地でいうと、たとえば、モチーフのまわりの糸をカットするのも職人の手作業です。ミリ単位で残す糸の長さを指定するのだそうで、考えただけで気の遠くなる作業です。

他にも、シルク生地なら生地を柔らかくする処理業者、染めが必要なら染屋、生地をしゃっきっとさせ整えるために熱を加える加工屋……と、それぞれの生地の特性に応じて10以上の専門業者が必要なのだそう。そして、桐生にはそれらの人材がすべて揃っているのが強みなのだそうです。桐生の地域産業である繊維産業において、多様なジャカード生地を生産し続けることで、多様な技術を持つ職人さん達の技術や雇用の維持に繋げていきたいとJacquard Worksは考えています。このようなつくり手の考えをお聞きして、商品の魅力とともにつかい手にお伝えしたいなと思い、コラムを作るきっかけとなりました。

今回、TWINS bag という異なる2つの柄を組み合わせたバッグに、pink flower × gray stripeとyellow flower × gray stripeという当店限定の2色が誕生しました。S・M2サイズ展開で、軽くて丈夫、そしてもちろんジャカード織ならではの美しさが堪能できるバッグです。持つたびに気分が明るくなると当店のつかい手に喜んでもらいたい、そんな気持ちでセレクトしたカラーです。是非商品ページもチェックしてみてくださいね。

ショッピングユニットでバイヤーをしています。衣食住にまつわるすべてのことに興味があります。暮らしを楽しみたいという気持ちを大切にしたいと思っています。