バイヤーからのお便り

レザー×刺繍、北欧サーミ族の手仕事の美しさを手元に

2025年01月18日更新

こんにちは、バイヤー加藤です。

アクセサリーブランド、「saami crafts(サーミ・クラフツ)」の受注会がスタートします。レザーにピューター(鍚銀糸)で刺繍を施したブレスレット5型のオーダーを承ります。

スカンジナビア・ラップランドの先住民、「サーミ族」の伝統的な模様と素材を用いた、ひとつひとつ手仕事で作られるブレスレットは、5年10年と年月がたつほどに色に深みが生まれます。

実際、10年使い続けているというブランドの担当者のブレスレットの佇まいの美しさを見たのがお取り扱いを決めるきっかけとなりました。伝統を大切にしてブランドを続けているつくり手のものづくりの姿勢も、当店のつかい手に是非知っていただきたいなと思います。

2月12日(水)まで注文をお受けします。完全な手作業で海外で製作するためお時間を頂戴しますが、5月下旬のお届けを予定しています。流行にとらわれず、永遠の定番として寄り添ってくれるブレスレットを、この機会にぜひ手に取っていただけたらと思います。

サーミ族とその工芸について

サーミ族は、北欧ラップランド地域の少数民族。トナカイを遊牧しながら暮らし、固有の文化を築いてきた民族です。中でも特筆すべき工芸のひとつが、トナカイの革や角を使ったアクセサリーです。

「サーミ・クラフツ」は、創業者のアストリッドが、サーミ族の伝統工芸品に感銘を受けて始めたブランドです。彼女自身はドイツ人ですが、スウェーデンでサーミ工芸の生産技術を学び、サーミ族の伝統を守るべく、サーミ工芸の博物館設立に貢献しました。現在ではドイツで多くのアーティストを指導し雇用しています。

サーミ族の作るアクセサリーに欠かせない素材が、トナカイの革・角とピューター(鍚銀糸)です。

サーミ族は北極圏の厳しい環境の中でトナカイの遊牧を生業としてきました。彼らにとってトナカイはとても貴重な存在で、衣食住すべてに使用できる貴重な資源です。今回ご紹介するブレスレットに使用されているボタンはトナカイの角から作られたもの。また、トナカイの革を使用したブレスレットも2種類あります。どちらも、そのほとんどはサーミ族からもたらされた材料です。

また、サーミ族は古代から宝飾品を縫い付けるために金属糸を使用してきました。ピューター(鍚銀糸)を刺繍に使い始めたのは16世紀頃。18世紀には一度すたれてしまったのだそうですが、1900年に入り、鍚銀糸の製造が復活。現在ではスウェーデンの小さな家族経営の工房でのみ生産されています。

ピューターを編み込み、革に縫い付けて作られるこちらのアクセサリーは、サーミ族の歴史と伝統から生まれ、受け継がれてきた美しさがあります。

5種類のラインナップ

上から、AP011, AZ006, AZ049, snowflake, AZ021

5種類のラインナップを順にご紹介していきます。

snowflake

上のブレスレットがsnowflakeです

ブランドを代表するモチーフが、こちらの「snowflake」です。グレーの革とピューターのシルバーが上品な印象で、幅が広いですが肌に馴染み、着けやすいデザインです。

こちらは、実は作ることができるのはたった2人のアーティストだけという、とっても難しい文様なのだそうです。なぜなら、この文様は、一筆書きで一気に縫い付けていくため、ごまかしがきかず失敗ができないから。左右対称に配されるモチーフは見とれてしまう美しさです。

AZ006

snowflake以外には、モチーフには名前が付いていません。こちらの「AZ006」は、緻密に編み込まれ、縫い付けられたピューターが圧巻の一言。5型の中で一番ぎっしりと編み込み文様が入っているので、やや重みを感じます(が、レザーが柔らかく肌に沿ってくれることもあり、金属製のバングルよりは軽く感じるかと思います)。

錫96%、銀4%で構成されたピューターは、柔らかく加工がしやすいので、まるで刺繍糸のように編み込んで縫い付けることができます。良く見るとコイル状になっていて、モチーフが立体的になるのもポイント。コイル部分は使用すると表面が艶が出てきます。長く使うと、凹凸がなくなり経年変化が楽しめます。

AZ049

ブレスレット初心者さんにおすすめの、細めのタイプもご用意しています。

AZ049は、トナカイの革にピューターを縫い付けています。リズミカルな編み込み模様が可愛らしく、ブラウンのレザーとあいまってナチュラルな雰囲気です。

サーミ族の伝統にのっとり、天然の樹脂を使用して鞣されたトナカイの革は時がたつにつれて色が変わっていくのが特徴です。

AZ021

下のブレスレットがAZ021 です

ぎっしりとピューターを編み込んだAZ021は、細幅ですが存在感のあるデザインです。重ね付けをしてもかっこいいですね。

ダークグレーのレザーとピューターの組み合わせはちょっぴりクールな印象。メンズライクな服装を好む方にもぴったりです。

AP011

最後にご紹介するAP011は、ピューターにシルバービーズを編み込んだデザインです。

シンプルな三つ編みにシルバービーズを配することでメリハリのきいたデザインが目を惹きます。可愛らしさも感じるモチーフで、カジュアルはもちろん、女性らしい装いにも合わせやすいと思います。

サイズの選び方と、メンテナンスについて

15cm、16cm、17cm、18cmの4つの長さからお選びいただけます。

革は使い続けるうちに少し伸びるので、ぴったり目のサイズをお選びいただくのがおすすめです。ブランドの担当者さんは、手首の長さが約14cmで、16cmをいつもオーダーされているそうです。大体の方が16cmか17cmをオーダーされるそうですが、手持ちのブレスレットの長さを測ってみるのが良いと思います。

また、こちらは1点1点複数の職人さんが手作りをしているため、太さ、長さ、ピューター編地に多少の誤差がございます。長さはご指定の長さ前後5mmを許容とさせて頂いております。

複数のオーダーをされる場合、同じサイズでも多少長さが異なる可能性があることをご承知おきください。

また、レザーは染めている時の天候や気温によって発色が異なります。画像と多少異なるカラーになる可能性もございます。

私物のため、今回の受注商品とはデザインが異なります

こちらは、ブランド担当者の私物です(すべて16cm)。レザーの色は深みを増し、ピューターは艶が出て、かっこいい!真ん中のグレーのブレスレットは何と10年物。一番上が1年使用したもの、一番下が4年くらい使用したものだそうです。

長く使っていただくために、ループやボタンが取れてしまった際など、お修理も受け付けています(お修理代金はかかります)。

コロナ渦や長引くウクライナでの戦争の影響は大きいそうですが、それでも伝統を絶やさずにものづくりをしているつくり手。正直、お求めやすい価格ではありませんが、サーミの長い伝統の中で培われた技術と美しさを5年10年と楽しむことができます。お好きなモチーフ、ぴったりのサイズをオーダーできる機会はなかなかありませんので、是非この機会をお見逃しなく。

このコラムを書いた人

加藤 紀子

スタイルストア バイヤー

加藤 紀子

ショッピングユニットでバイヤーをしています。衣食住にまつわるすべてのことに興味があります。暮らしを楽しみたいという気持ちを大切にしたいと思っています。