みんなの「買ってよかったもの」
出会えてよかった!野菜を絶品にするアイテム[買ってよかったもの2024 バイヤー畠田編]
こんにちは、バイヤーの畠田です。今年も「今年買ってよかったもの」コラムの季節がやってきました。
歳を重ねるごとに、旬の食材をシンプルな調理法でいただくことが一番の贅沢だなと感じるようになりました。凝った料理にしなくても、下ごしらえに少しだけ手をかけたり、いつもよりちょっと良い調味料を使うだけで、うんとおいしくなるもの。今回は、今年迎えいれた道具たちの中から「野菜をおいしくいただくためのアイテム」をご紹介したいと思います。
きゅうりだけじゃない!マルチな種とりスプーン
最初にご紹介したいのが「松田美智子の自在道具」の種とりスプーン。商品名の通り、料理家の松田美智子さんがきゅうりの種をとりやすくするために作った道具なのですが、取り扱いを始めた当初、きゅうりの種をとる専門道具に4000円超え!?と、当店スタッフがざわついた一品でした(笑)
夏場、家庭菜園できゅうりを育てているのですが、きゅうりって1日でびっくりするくらい大きくなるんですよね(収穫せず放置しすぎてズッキーニの2倍くらいあるおばけきゅうりが爆誕することも……)。種も大きくなり、食感に影響します。そんなわけで、我が家では家庭菜園のきゅうりの種をとってサラダにしたり炒めたりして使うことが多くなったのですが、そこで気がついたのが「種をとると、きゅうりの味ってこんなにおいしくなるのか」ということ。
種の部分は水分が多いので、酢の物にするにしてもサラダにするにしても、くり抜いてあげるだけできゅうりそのものの味が濃く感じられます。また、作ってから水分が出にくくなるため、作った翌日の味にも影響します。
わたしのお気に入りは、種をとって、しっかりと水気を絞って作るきゅうりサンドイッチ。マスタードではなく和からしを効かせるのがお気に入りです。
きゅうりの旬の時期は過ぎ去りましたが、それでも何かと手にとる機会が多いところが、このスプーンの推しポイント。
たとえば、ジャムスプーン代わりに。くぼみがないから、ツナやマヨネーズ、あんこなど塗り広げるのに窪みに残らず使いやすいです。
先が細いので、瓶の角にも沿わせやすいのも嬉しいポイント。
また、マドラー代わりにも。我が家にはマドラーがなく、いつも普通のスプーンで混ぜていたのですが、氷を入れる飲み物の時には氷とスプーンが干渉して混ぜにくく感じてました。こちらはスプーンよりも先が細くて圧倒的に混ぜやすいです。
マドラーはマドラーとしてしか使えませんが、こちらは種とりにも、ジャムスプーンにも。なるべく道具は少なく持ちたいなと思っているので、こういった上質な「一つで数役アイテム」との出会いは嬉しくなります。
そして何より、道具として美しいのです。アルミを叩いて作る鍛金という技術で作られており、叩き跡(槌目)から手仕事を感じられます。作っているのは、アルミ鍋でも有名な京都の鍛金工房・WESTSIDE33。ただ便利なだけでなく、手元に置いておきたくなる、気持ちも満たされる道具です。
かけるだけでご馳走に!浮気したけどやっぱりこれがおいしい
続いては調味料。今年、数年ぶりにお取り扱いを再開したバルサミコ「バルサモ・デヴィーノ」です。
バルサミコって、びっくりするくらい価格がピンキリなんですよね。スーパーだと500円程度で買えるものもありますが、高いものだと1万円をゆうに超えます。この「バルサモ・デヴィーノ」も100mlで3024円(税込・2024年11月現在)と、調味料としては決してお安くはないので、お求めやすいバルサミコに浮気したこともあるのですが、やっぱり全く別物。甘く、でも酸味もあって、とろっとしていて、コクがあります。
結局、この味でこの価格ならコスパは決して悪くない!という結論になり「バルサモ・デヴィーノ」に戻ってきました。醤油や酒のように一度にたくさん使う調味料ではないことと、賞味期限が数年あるということも、多少高くてもおいしいものを手元に置いておきたいと思う理由です。
なぜそんなに価格差があるかというと、製造方法や熟成期間が異なるから。安価なバルサミコ酢は、ワインビネガーなどを加えて発酵を促したり、カラメルなどの着色剤を加えて濃い色をつけて短期間で作られます。
一方、正真正銘の「バルサミコ」と名乗れるものは
・特定のブドウ品種を使い、そのブドウを煮詰めたもの(モストコット)のみを原料とする
・特定の材質の木樽に入れる
・最低で12年(25年)以上熟成させる
……などと厳しい基準があり、作るのには生まれた子供が小学校を卒業するくらい年月がかかるのです。これらの基準に沿って作られたバルサミコは「伝統的バルサミコ(DOP)」と呼ばれ、価格は1万円を超えてきます。
そこで、伝統的技術を生かしつつ、独自の製法で完成させたのが「バルサモ・デヴィーノ」。「1年ごとに木樽を変える」などの工夫をすることで、熟成期間は6年間でも、12年熟成の伝統的バルサミコに匹敵するおいしさに仕上げています。かかっている期間が短い分、価格もお求めやすくなっています。
お肉との相性が良いイメージが強いかもしれませんが、わたしは焼いただけ、茹でただけの野菜にかけていただくのが大好きです。オリーブオイルとあわせれば、簡単においしいドレッシングにもなります。白菜の内側の部分をまるごと焼いて、塩をぱらっと振り、バルサモ・デヴィーノをかけて食べるのが特にお気に入り。白菜って焼くとおいしいんだ!ということに気づかせてくれた食べ方です。
ズボラでも使える!野菜にもパンにもザルせいろ
最後は、蒸し野菜を気軽につくれる「ザルせいろ」。この季節はリアルに週3〜4くらいの頻度で活躍しています。
以前愛用品コラムでもご紹介したのですが、とにかく気軽に使えるので、蒸し野菜を作る機会がうんと増えました。とくに、芋類やかぼちゃは、他の調理法で加熱した時と味が全然変わります。レンチンだとパサパサしがち、茹でるとべちゃっとしがちですが、蒸すとほくほくで甘味も増します。
でんぷんをたくさん含む野菜は、でんぷんを糖に変える酵素を持っていて、その酵素が60~80度でよく働くため、その温度帯をゆっくりと通過させながら加熱することで甘さがぐっと増すんだそう。蒸し料理はゆっくり温度を上げるのにぴったりなんですね。
また、おすすめしたいのがハード系パンのリベイク。たまにカンパーニュを焼くのですが、数日経つと固くなってしまうことが悩みでした。固くなったら蒸すと良いと聞いて、食べる前にザルせいろを使って蒸してみたところ、3分ほどでもちもちに!焼きたてのようにあたたかいカンパーニュは、朝から幸せな気持ちになります。
蒸し料理には竹製のせいろも使っていますが、「気軽に使える」という意味ではこちらに軍配があがります。一度にたくさん蒸したい時は竹のせいろ、一人分をさっと蒸したい時にはザルせいろを使っています。竹のせいろは使ったらすぐに洗ってしっかり乾かす必要があるので洗い物をサボれませんが、ザルせいろはステンレス製で、シンクに放置したままでもカビたり変形したりする心配もなし。ズボラなわたしにも優しい道具です。
「2023年買ってよかった」はお米まわりアイテム、「2022年買ってよかった」は朝食まわりアイテムときて、今年は野菜をおいしくいただくアイテム3つをご紹介してみました。料理の時間が楽しかったり、作ったごはんがおいしいと、毎日の幸福度が上がるなとしみじみ実感していますが、来年もそんなキッチン道具をたくさんご紹介できたらなと思います。
ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。