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タモ無垢材のスツールが入荷待ちの理由

2016年01月01日更新

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当店ロングセラーの、タモ無垢材のスツール。静岡の岳南木工さんの製品です。

この椅子には「クリア」と「ナチュラル」がありますが、どちらかが「入荷待ち」となっていることがよくあります。クリアとナチュラルは、形も仕様も樹種も同じタモの無垢材。一体何が違うのか?というと、同じ木の「どこから取った部位を使ったか」が違うという、微妙?と思える違い。

しかしここにつくり手の苦悩あり。「木目」がだいぶ違うのです。

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上の写真でも、スツールの側面、ナチュラルは色の濃淡にもかなり差があることお分かり頂けるでしょう。

木材の赤身(中央部)だけで作られる、色ムラが少ないほうがクリア。ナチュラルは木材の外側と中央が混在するため色の差が出ます。そんなわけで、ナチュラルは木目がワイルドな分、お値段がお安くなっています。

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1本の木のある場所からとった材で作ったら「クリア」として販売している木目のきれいなスツールができるということは、それを作れば作るだけ、ほぼ同数のナチュラルバージョンもできるということになりますね。ただ、「ほぼ同数」と言っても、木によってその割合が変わったり、クリアとナチュラルの売れるスピードが違ったりします。

つくり手としては、材料を無駄にしないためにも、クリアとナチュラルはできれば同じように売れていくのが理想、というところなのですが、そうもいかないため、どちらかが「入荷待ち」になってしまうことがしばしばあります。

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「木目には個体差があります」という注意書きを添えて、一アイテムとして扱う方が、作るほうも売るほうもシンプルでやりやすい、これ本音です。しかし、今敢えてこの2バージョンを並行してお取扱いしているのは、岳南木工さんのある想いがあってのこと。

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このスツール、長年販売してきて、返品交換のご希望を承ったことが一度もないのです。これは木製品を通販で売るなかで奇跡に近いこと。

スタイルストアのお客さまに感謝し、敬意を表すると共に、ここ数年でスツールを買い足してくれるお客さまが出てきたこともあって、「昔と同じものを揃えたい」という方々のために、木目のきれいなものを買える状態にしておきたいのです、と彼らからの申し出がありました。

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この並走状態は数年前から始めていますが、やはり今のところ、クリアが売れていきます。その陰でナチュラルというバージョンが存在しているのには、こんな理由があることを、皆さんにお知らせできればと思いました。

この木目問題も、同じ商品を10年近くお取扱いできたからこそ直面した事態であって、そう思うと感慨深くもあるんですよね。

我々日本人は、均一に整ったものをヨシとする傾向が強く、作る側もその基準を丁寧に守ってきたことで、せっかくの素材が「もったいない」状態に置かれていることがあります。そんな「もったいない」を解決する一助になるような商品企画も、今後のテーマとしていきたいな、と思います。

このコラムを書いた人

柳沼 周子

スタイルストア バイヤー

柳沼 周子

大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。