◯◯の選び方ガイド
季節を問わず使えて、料理がおいしく仕上がる土鍋の選び方
冬の寄せ鍋はもちろん、ご飯を炊いたり煮物を作ったり、さまざまな使い方ができる土鍋。一般的な鍋よりもゆっくりと加熱されるため、食材にむらなく火が通り、料理の仕上がりがぐっと美味しくなります。
とはいえ「コンロがないから使えない」「冬を過ぎると使う頻度が減る」「使い始めの目止めが面倒」など、土鍋ならではのお悩みも無視できません。そのせいで、なんとなく敷居が高いようなイメージを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は使いやすい土鍋を見つけるためのポイントと、当店おすすめの商品を3点ご紹介します。1年を通して活躍する使いやすい土鍋を、ぜひ見つけてくださいね。
土鍋の選び方
まずは使いやすい土鍋を見つけるための、3つのポイントから紹介していきます。
お悩み1:家にIHしかないので、土鍋が使えない
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IH対応の土鍋もあります!
土鍋はガスコンロでしか使えないというイメージが強いため、IHのみお持ちの場合、そもそも購入を諦めている方もいらっしゃるかもしれません。ですが数こそ少ないものの、IH対応の土鍋もあります。
IH対応のものは大きく分けて2種類あり、1つは鍋の内側に金属プレートを置くタイプ、もう1つは鍋底に発熱体が焼き付けられているタイプです。
前者はプレートを着脱することで、直火とIHどちらにも対応できますが、土鍋本来の温まり方にならないというデメリットも。後者は具材がむらなくしっかり温まり、土鍋の良さを味わえますが、商品数が少なく選択肢があまりありません。もし商品が見つかる場合は、後者の方がおすすめです。
お悩み2:活躍の頻度が低く、収納にも場所をとる
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寄せ鍋以外の料理でも使いやすい工夫があれば、1年間を通して使えます
「鍋料理に使うことが多いので、春夏はしまいっぱなしになる」「収納した際に場所を取ってしまう」とお悩みの方は、蒸し料理など他の料理に使いやすい工夫がされているもの、また収納しやすい形状のものを探してみてください。
例えばすのこが付属している土鍋なら、底に水を張ることで、野菜を蒸すのにも使えます。さらに底が浅めなら、すき焼きやしゃぶしゃぶ、炒め物などを作ることも。浅いと食器棚に入れたときに縦のスペースを取らず、他の平らな調理器具に重ねやすいというメリットもあります。
また数は多くないですが、オーバル型の鍋も省スペースにはおすすめです。収納場所の隙間におさめられるので、容量が大きくても圧迫感は控えめ。買っても一時的にしか使わない、結局邪魔になる、というのはもったいないので、ぜひ「幅広い使い方ができるか?」「収納しやすい形か?」という視点も選ぶ基準にしてみてくださいね。
お悩み3:使い始めが面倒なイメージがある
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「目止め」不要で使える土鍋がおすすめです
通常、土鍋を使い始めるときは、片栗粉やお米のとぎ汁を2~3回ほど煮立てる「目止め」が必要になります。水が漏れないようにするための大切な作業ですが、「使い始める前の前準備が面倒…」という方には、この目止めが不要な土鍋がおすすめです。
ほとんどの土鍋に目止めは必要ですが、セラミック加工が施されているものなどは、目止めをせずに使える場合があります。
商品を購入する際、目止め不要と明記されているかご確認ください。届いてすぐに使えることがうたわれている土鍋なら、前準備なしですぐにお料理を始められますよ。
温かくておいしい料理を作る。おすすめの土鍋
masamura craft/LA COCOTTE IH土鍋 エル
IH対応で使いやすく、土鍋ならではのおいしさも楽しめる
ご自宅のキッチンがIHの方におすすめなのが、masamura craftの「LA COCOTTE IH土鍋」です。土鍋はガスコンロのみ対応のものが多いですが、こちらはIH調理器で使うことができます。
IH対応の土鍋の中でも数が少ない、鍋底に直接発熱体が焼き付けられているタイプなのもポイントです。お手入れが簡単で、なおかつ土鍋そのものにしっかりと熱が伝わり、食材を芯から温めることができます。IH対応という利便性と、土鍋ならではのおいしさ、どちらも楽しめますよ。
火を使わずに調理できるので、卓上で鍋を楽しむときや、ガス缶の処分がおっくうなときなどにもぴったり。お子さんと一緒に鍋を囲むときにも、安心して使えます。食卓で鍋を囲む機会が多い方には、ぜひ試してみていただきたい土鍋です。
一般的な土鍋より高温で焼き締められており、吸水性がほとんどありません。そのためカビが発生しづらく、また硬く仕上がっているため頑丈。匂いうつりも少ないので、さまざまな種類の鍋料理を、日替わりで楽しむこともできます。
モダンな見た目なので、和食以外にも使いやすいのも魅力の一つ。トマト鍋など洋風の鍋料理や、ポトフを作るのにもお使いいただけます。
なおこちらは深型の「エル」ですが、浅型の「ミドル」、深型で小さめの「ミニ」といったサイズ展開も。煮込み料理に使いたい場合はエルが最適ですが、卓上鍋としての使い方がメインならミドル、炊飯用に購入するならミニもおすすめですよ。
えらび手のコメント:IH対応の土鍋はまだまだ数が少ないのですが、中でもこちらはスタイリッシュな見た目と使いやすさを兼ね揃えています。IH調理器は「火を使わないから安全」「放熱しないので夏でも暑くない」とメリットも多いもの。キッチンがIHの方にはもちろん、卓上で鍋を楽しむ時はIH卓上調理器がとても便利ですよ。(バイヤー・畠田有香)
弥生陶園/丸土鍋(むしスノコ付き) 天目釉 9号
すのこ付きで蒸し料理、すき焼き、しゃぶしゃぶにも使える
土鍋はどうしても冬場以外、活躍の場が少なくなってしまうもの。ですが弥生陶園の丸土鍋は、1年を通して使いやすい仕様になっています。
まず注目したいのが、耐熱陶器製の「すのこ」が付属しているということ。鍋の内径にちょうどよく収まるサイズなので、少し水を張るだけで、蒸し鍋として使うことができるようになります。
また一般的な土鍋より浅くつくられているため、すき焼き、しゃぶしゃぶ、簡単な炒め物など、季節を問わない料理に使うことも可能です。
浅型なので火の通りが早く、「急いで食事を作りたい」「少しずつ具材を足しながら鍋を楽しみたい」というときに重宝します。
さらに蓄熱性が高い土で作られているため、保温性も抜群。火を止めても、しばらく余熱だけで温まり具合をキープできます。お酒を飲みながらゆっくり鍋をつつく、というシーンでも、熱々のまま長く楽しむことができますよ。
こちらは3~4人用として最適な9号サイズですが、一回り小さな8号サイズも展開しています。8号は1~2人ほどで使うのに適しており、家族の人数が少ない方、一人暮らしの方に便利なサイズです。
えらび手のコメント:冬が過ぎても、収納棚の奥にしまい込まずに使い続けたいなと思えるお鍋。時間がなくても、これがあるから一品メインを作れるなと安心させてくれる、頼もしい道具です。(バイヤー・中井 明香)
kanae/だえん土鍋
珍しいオーバル型の土鍋で、食卓や食器棚の場所を取らない
土鍋は大きさがあるぶん、場所を取ってしまいがち。しかしこちらの「だえん土鍋」は名前の通りオーバル(楕円)型で、食卓の上や収納場所のスペースを節約できます。
一番小さい1.2Lのほか、1.5L、2.0Lも含め3種類のラインナップがありますが、どれも横幅と奥行きは同じ。深さだけが違うので大きな容量のものを買っても邪魔にならず、サイズ違いで揃えれば、スタッキングも可能です。
また太めのリムがあるデザインも魅力的。オーバル皿のような印象なので、食卓にそのまま置いても絵になり、また和食、洋食どちらにもマッチします。
省スペースできる形だけでなく、もちろん土鍋としての機能も優秀です。三重県四日市で昔から作られてきた萬古焼(ばんこやき)で、空気を多く含む土に、ペタライトという鉱物を配合し、耐熱・蓄熱・保温力を高めています。
火をつけた後、即座に熱くなることはありませんが、一度温まったら弱火、もしくは火を止めても、ぐつぐつした状態が長く続きます。そのためトータルの調理時間は短く済みますし、余熱調理ができるので、食材の焦げ付き、荷崩れ防止も可能。
また、すのこの付属はありませんが、もやしを一袋ほど敷いて、蒸し料理に使うこともできます。寄せ鍋以外にも使えるので、「冬以外は眠らせてしまう」ということもありませんよ。
えらび手のコメント:土鍋は、大きい分だけ場所を取ったり、寄せ鍋の時以外は出番が少ないという方も多いアイテムです。耐熱陶器づくりが得意な萬古焼の産地問屋・三陶と、デザイナーの小野里奈さんによるブランド、kanae(かなえ)の「だえん土鍋」は、そんな土鍋のイメージを払拭してくれた一品。オーバル型なので省スペースで置けるところをはじめ、使いやすさに繋がる細やかな配慮、見た目以上に軽いところなど、kanaeならではの工夫がたくさん施されています。(バイヤー・中井 明香)
PETARI/Shallow Pot 24cm
目止め不要ですぐに使える、お手入れ楽ちんの陶器鍋
土鍋を使用する際、ひび割れ、水漏れ、ニオイ移りなどを予防するために、通常は「目止め」と呼ばれる作業が必要です。この作業が面倒、またはハードルが高く感じてしまうという方におすすめなのが、こちらのPETARIの陶器製の鍋。
素材選びにこだわって作られており、耐熱性、耐久性に優れた土や、ニオイのつきにくい釉薬といった、土鍋に適した一級品の原料が使用されています。フリット加工も施されており、目止めで予防すべきポイントがカバーされているので、届いてすぐに使用可能です。
また表面がザラザラしているため焦げ付きが少なく、油なじみも良好。ニオイ、汚れが染み込みにくく、使用後のお手入れも楽ちんです。
お手入れは楽ですが、遠赤外線効果や蓄熱性、保温性の高さといった、陶器製の鍋の魅力ももちろん味わえます。じっくり、ゆっくり食材に熱を通すことができるので、お肉や野菜がしっとりと仕上がり、また火を止めた後の余熱調理も可能です。
熟練の職人の成形技術により、蓋が本体にぴったりと合うので、食材のうまみを逃がしません。火加減を細かく調整せず、コンロから下ろして余熱調理できるので、一度にまとまった品数を作るときや、料理以外の仕事を並行して行いたい場合にも最適です。
日常使いしやすく、陶器製の鍋ならではの長所もあり、見た目も洗練されており和洋食どちらにもマッチする鍋。「土鍋は手間がかかりそう」と敬遠していた方にもおすすめできる一品です。
えらび手のコメント:PETARIの「Shallow Pot」は、蓄熱性の高い陶器の蓋付き平鍋です。ある程度火を通した後は余熱で調理することができ、火加減調節の手間を省けます。何より、お肉や野菜がしっとり仕上げられて、温め直しでもおいしい状態で食べられるのが嬉しい特徴。目止めが不要で、汚れが付きにくく、お手入れも簡単な一品です。(バイヤー・中井 明香)
まとめ
鍋や煮物をおいしく仕上げてくれる土鍋。IHが使えるかどうか、深さや付属品の有無、また目止めが必要かどうかを確認することで、より使いやすいアイテムを見つけやすくなります。ぜひ年中を通して愛用できるような、使いやすい土鍋を手に入れてくださいね。
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こちらでは当記事でご紹介した弥生陶園の丸土鍋について、より詳しくご紹介しています。気になった方はぜひこちらも参考になさってください。
文・構成/上野智美
スタイルストアのお客さまに、日々の暮らしをアップデートするコツや、商品の選び方などのノウハウをご紹介するコラムをお届けしています。