インタビュー&ゲストコラム

感性で通じ合う夫婦のカタチ、愛用品&愛読書に見る豊かな暮らし

2017年01月26日更新

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あの人の暮らしぶり
天然酵母パン講師の圭子さんと、
切り絵作家のYUYAさん編。

東京・中野にある
アトリエ・フォークを訪ね、
第1回では収納術を、第2回では
「民芸パン教室」を主宰する圭子さんの
器エピソードを伺いました。

アトリエ・フォークは、雑誌の民芸特集
などでたびたび取材を受けるなど、
民芸ファンの間では有名な存在ですが、
最終回では、民芸品以外の、おふたりの
普段使いのお気に入りのものや愛読書
について教えていただきました。

YUYAさんがアイデアソースとして手に取る、写真集3冊

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まずはYUYAさんの愛読書を拝見。

1、世界の民芸 河村幸次郎著/講談社

世界各国の民芸品について書かれた
解説書。1ページに1つずつ、写真と解説
がある、という構成で、見やすく
わかりやすい1冊です。

掲載されている民芸品は素朴なルックスの、
暮らしの道具や、愛らしい表情の玩具たち。
パラパラとめくって眺めるだけで、
YUYAさんの創作意欲もぐんと膨らむそうです。

2、DECORATIVE ART in modern interiors

こちらは古いインテリアの写真集。
大型の家具だけでなく、ファブリックや
食器類も掲載されています。

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海外を中心に、家具から器まで
様々な国のものが紹介されており、
その中に日本の民芸なども並んで
掲載されています。
国や地域に関わらない横断的で
フラットな視点に影響を受けました、
とYUYAさん。

3、graphis annual/Graphis Press

年に1度発売される美術性の高い
グラフィックの国際年鑑。YUYAさんが
持つものでは1956年が最古のバージョン。

広告やポスター、パッケージなど
掲載ジャンルは多岐に渡ります。

好きだと思うデザインを眺め、色づかい
などをチェックすることが多いそう。

気持ちをリセットしたいときに、
民芸品に囲まれたアトリエ3階で、
ゆっくり手に取ることもあります。

思い出たっぷり 圭子さんの愛読レシピ本3冊

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パン講師である圭子さんの、
お気に入りのレシピ本も
3冊選んでいただきました。

1、可愛い女へ お菓子の絵本/鎌倉書房 1983年

不思議の国のアリスや
赤毛のアンなどに登場する
お菓子のつくり方が
写真とともに掲載されている1冊。

おとぎ話の世界を想像しながら
かつての圭子さんは、掲載された
レシピをほとんどつくったそうです。

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どのページにも、当時の日本ではなかなか見ることがなかった洋菓子の写真が。

大人になってからは、お菓子づくりから
離れていた時期もあったという圭子さん。
焼き菓子好きなYUYAさんと暮らすように
なり、お菓子づくりが大好きだったことを
思い出したとき、この本が読みたくなったそう。
ご実家の押し入れから探し出した1冊です。

2、ホームメイド・ケーキ 飯田深雪著/婦人画報社

「著者である飯田深雪さんの大ファンなので、
この本を神保町の古本屋で見つけられて
ラッキーでした」と話す圭子さん。

家庭でホームメードケーキをつくるための
レシピ本ですが、食べる人に向けられた
溢れんばかりのサービス精神が、豪華な
デコレーションから垣間見える。
圭子さんがこの本が好きな理由は、
そんなところにあるそうです。

3、スープの本 鈴木博, 村上信夫 著/婦人画報社

数年前にYUYAさんからプレゼントして
もらったという、スープのレシピ本です。

「スープはよくつくるし、嬉しかったから、
大切な本です」(圭子さん)

YUYAさんにとっては、表紙の美しさも
プレゼントとして選んだ理由とのこと。
デザイナーとしても活躍する
YUYAさんらしいチョイスですね。

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パンにもよくあうスープは、圭子さんの大好物の1つです。

「好き」の感性はいつでも一緒

アトリエ・フォークにある、穏やかで幸せな
雰囲気は、大切に使われている器や
わが子のように愛されている民芸品から
だけでなく、ここで暮らすふたりの笑顔も
その要因のひとつ。

そんなおふたりについて、
最後に伺いました。

ふたりの愛用品の写真とともに
ご覧ください。

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ふたりの愛用品その1:骨董市でみつけたヤマギワのランプシェード。

仕事で出会ったYUYAさんと圭子さん。
お互いに「この人とは、仕事がやりやすい」
と感じていたとのことで、当時からフィーリング
がとてもよく合うふたりだったそうです。

だからこそ、器や民芸品を購入するときも、
「もうたくさんあるからいいよ」と揉めることも
ないそうで、圭子さんとYUYAさんが
気に入るものはだいたい同じ。

ふたりの感性はいつでも共通で、ここでの
暮らしや置いてあるものにも、どちらかが
我慢をしている様子はいっさいありません。

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ふたりの愛用品その2:静岡にある「アトリエぬいや」で購入したテーブルクロス。ふたりそろって染職人の山内さんのファンとのことで、数種類を使い分けています。

同時に勤めを辞め、40代で独立して
このアトリエを立ち上げたおふたり。

それまで、切り絵は並行した活動
でしたが、本格的に作家活動や
デザインの仕事をしていきたいと、
先に勤めを辞める決意をしたのは
YUYAさんでした。

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いつかは食の活動に専念したい
と考えていた圭子さんも独立を決意。
ご自身の活動の傍ら、アトリエの
事務仕事を行っています。

おせっかいながらも、どちらかは会社員
として収入を得ながらのほうが安心だった
のではないかと聞いてみたところ、

「身近な人の死や震災を通じて人生を
考え直したときに、やりたいことを
やらなくてはと思ったんです」と、圭子さん。

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ふたりの愛用品その3:ぽてっとしたフォルムの牛乳瓶は、鳥取県にある大山乳業の宅配専用瓶。YUYAさんがロゴマークをつくった鳥取にある喫茶店のご主人が送ってくれたものだそうです。

圭子さんのやりたいこととは、ご主人で
あり、切り絵作家YUYAさんと共にアトリエを
育てることと、大好きな天然酵母パン作りや、
みんなで食卓を囲む楽しさを伝えたい
ということでした。

「無謀でしょ」と圭子さんは笑って話して
くれましたが、やりたいことと「好き」しかない
この空間で過ごすおふたりの笑顔が、
なによりもその暮らしの心地よさを物語って
いました。

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手しごとの器、民芸品、古い本。
そして、YUYAさんの作品と圭子さんが作る
天然酵母のおいしいパン。

穏やかで優しい時間が流れる
アトリエ・フォークには、大好きなたくさんの
ものに囲まれた、豊かな暮らしぶりがありました。

人それぞれが持つ、「心地いい暮らし」に
ついて大切なことを教えてもらえたように
感じます。


【あの人の暮らしぶり】
アトリエ・フォーク スパロウ圭子さん・
切り絵作家 YUYAさんご夫妻編

【第1回】
アトリエ・フォークの収納に学ぶ、
沢山のモノたちとすっきり快適に暮らすコツ

【第2回】
ビンテージから作家モノまで、
スパロウ圭子さん流「うつわ」の楽しみ方

【第3回】
感性で通じ合う夫婦のカタチ、
愛用品&愛読書に見る豊かな暮らし