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「美濃焼」の人気3ブランド!毎日の暮らしに寄り添う新しい器
“織部”や”志野”などが代表的な「美濃焼」の歴史
「美濃桃山陶」と称された桃山時代
「美濃焼(みのやき)」は、岐阜県の土岐市と多治見市、そして瑞浪市と可児市を中心とした一帯で作られている和食器のこと。安土桃山時代になると織田信長による保護を受け、地域の一大産業となっていきました。その頃、時の有力者たちの間で大流行した茶の湯の発達とともに「美濃焼」も芸術性を高めていったといわれています。
白釉を使ったほっこり系の”志野”
「美濃焼」の歴史は長く、さまざまなテイストの陶磁器が作られました。中でも代表的なものに”志野焼(しのやき)”があります。室町時代に誕生した”志野”は、美濃で採れる鉄分の少ない白土を使っています。ピンクからパープルの色味を感じる素地に、ぽってりと厚めに白釉をかけるのが特徴。貫入や小さな孔が出ることもあり、素朴な雰囲気をたたえています。うっすらと赤みが出るのは、釉が少ない口縁など。この赤みは「緋色の火色」と呼ばれ、景色として愛されています。
斬新な形やデザインの”織部”
「美濃焼」を代表するもう1つの焼き物は”織部焼(おりべやき)”。”織部”は、戦国時代から江戸時代にかけて活躍した武将・古田織部(本名:重然)の指導によって生まれました。古田織部は武将でありながら千利休に弟子入りした茶人でもありました。陶器の製作以外にも庭づくり(造園)や家づくり(建築)においても「織部好み」と呼ばれる独特のセンスを発揮した古田織部。緑色の釉薬を使った「青織部」のほかに、赤や黒の織部もあります。
新しい「美濃焼」の誕生
時代に合わせた変遷
安土桃山時代に花開いた「美濃焼」ですが、その後江戸時代に入ると、より優雅で繊細な磁器の人気が高まりました。江戸時代の末ごろには、美濃でも磁器の生産がスタート。明治時代には、国内のみならず諸外国への輸出も始まります。大量生産に対応するために地域ごとの分業制をしいたり、窯の精度を高めたりといった工夫を続けた「美濃焼」。昭和時代には、和食器・洋食器ともに、家庭で使用される食器類のおよそ半分近くを「美濃焼」が占めるほどになったのです。
毎日の暮らしの中で使いたい和食器
そして、現在の「美濃焼」はさらなる進化を遂げています。現代の暮らしに寄り添う新しい器を作るブランドが次々に誕生しているのです。長い歴史に支えられた伝統を継承しながらも、飾って眺める美術品ではなく日常の生活に使うことができる器が「美濃焼」の魅力。モダンなセンスや新しいデザインを積極的に取り入れた「美濃焼」が、今また注目を集め始めています。
miyama.
シンプルで使い心地のいい「isola」
それでは、現代の暮らしの寄り添う新しい「美濃焼」の人気ブランドをご紹介していきましょう。まず1つ目は「miyama.」。岐阜県瑞浪市にある株式会社深山が運営する深山食器店の中のブランドです。無地のシンプルで使い心地の良い食器が多い「miyama」。お料理を並べるパレットのように器を見ていると、バター皿として、チーズボードとして、あるいはオードブルの取り皿に、などなど使い方の発想も広がっていきそうです。こちらは「isola パレット S」。白磁のほかに織部など8色展開。「isola(イゾラ)」はイタリア語で「島」をさす言葉だそうです。
白磁と織部のペアカップ「crease」
「crease(クリース)」は「miyama.」の中では和食器に分類されているシリーズです。ランダムに彫られたラインのレリーフが陰影をさりげなく生み出し、テーブルの美しいアクセントとなってくれます。こちらの「crease ペアカップ」は白磁と織部をペアにしたセット。クールでシャープな印象もある白磁と、深みのある緑がつややかな織部は、ともに日本茶だけでなくデザートを盛ったりディップのソースを入れたりと和洋問わず活躍してくれることでしょう。
着物の縞から生まれた「cecima」
こちらは白磁にブルーで描かれた染付模様がなんとも涼やかなシリーズ。「cecima(瀬縞)」のデザインは、着物の柄からとられたそうです。たとえば、何本もの繊細で極細の縞、「万筋(まんすじ)」は粋な江戸っ子好みの縞模様。濃い呉須で表現された「絞り」はモダンな印象です。平皿が中心なので、汁ものにはおススメできませんが、盛り付けたお料理が映えるシリーズといえるでしょう。「瀬縞 焼き物皿 万筋」は豆皿や二つ皿、三つ皿などバリエーションも豊富です。
美しくモダンな「SAKUZAN」の「美濃焼」
美しさにこだわる作山窯の「SAKUZAN」
続いてご紹介するのは、美しさにこだわりを持つ作山窯の「SAKUZAN(サクザン)」。日々の食卓や日常のインテリアに置かれても、モダンな美しさを発光する器がそろうブランドです。たとえばこちらの小鉢。実は「すり鉢&すりこ木 」のセットなのですが、画像のようにちょっとしたおかずを盛り付けてもすてき。確かな技術がシンプルな和食器の中に美しさを生み出しているのです。
グレーやネイビーの器たち
SAKUZANには、グレーやネイビーの器もそろいます。こちらは「sara」シリーズの中の1点である「Sara コーヒーカップ」。和食器の窯元でありながら、モダンなシティライフにフィットする器が多く、カラフルで美しいプレートやカップがラインナップされています。
スタイルストア限定の小鉢
スタイルストア限定で作られたこちらは、「みなも」と名付けられた小鉢。「みなも」は「水面」に通じるのでしょう。淡く広がる波紋のようなブルーのグラデーションが美しい器です。
3人のコラボブランド「瑞々」
小田陶器×深山×小野里奈
最後にご紹介するのは「瑞々(みずみず)」というブランド。こちらは小田陶器と株式会社深山とデザイナーの小野里奈さんの3人がコラボレーションして誕生したブランドです。青磁と飴色の2色展開が、和食にも洋食にも中華にも幅広く対応してくれます。シンプルなフォルムですが、リムのラインや角の取り方などディティールに可愛らしさを感じます。
おいしそうに見えるワンプレート
こっくりとした飴色の器「まる皿 7寸 うす飴」は、フランスのカフェなどヨーロピアン・テイストを感じさせる風合いが魅力的。朝ごはんやお家ランチなどではワンプレートでも活躍してくれそうです。デザイナーの小野さんは「この器に盛ればサマになる」「ご飯を作るのが億劫にならない、そんな器」を目指したとのこと。毎日の食事の時間を豊かにしてくれる器です。
小鉢でかわいいコーディネート
瑞々では小鉢もいろいろ作られています。「小鉢 2寸5分 青白」は直径7.5cm。ほかに3寸と4寸の3サイズ展開。日本の食卓では、豆皿や小鉢など小さな和食器が活躍してくれますね。組み合わせも楽しんで、テーブルを美しくコーディネートしてみませんか。
食器以外の「美濃焼」も
生活の中で使われるモダンな「美濃焼」
日常づかいができる和食器として人気の高い「美濃焼」ですが、食器以外の製品もいろいろあります。たとえばこちらは「ティッシュセラミックス ホワイト」という名前のソープディッシュ。一見つるんとしたディッシュですが、目には見えないほどぼ微細な穴が開いているので水の吸収率が良いそうです。お客様がいらしたときなどにも安心して使うことができるソープディッシュですね。
シンプルでキュートなお箸置き
こちらはすでにご紹介したmiyama.のお箸置き「Water Line Whale 箸置き 5pcsセット」。シンプルな白磁で作られたクジラが5頭セットになっています。同じように白磁で作られたクジラのしっぽ型のカトラリーレストもあるので、両方そろえても楽しそう。
現代の暮らしにフィットする伝統ある「美濃焼」
織田信長の庇護を受け、名茶人・古田織部を輩出した歴史ある「美濃焼」。受け継いできた和食器づくりの技術や伝統を踏まえたうえで、新しい時代の風を取り入れたモダンなデザインの器が次々に誕生しています。現代のライフスタイルにフィットした美しい「美濃焼」の器を手に取ってみませんか。
インテリアをはじめ、雑貨やファッション、アートなど美しいものが大好きです。夫と二人の息子、犬と猫と一緒に暮らしています。