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バイヤー中井の「静岡を訪ねて」 - 第1回 あの蔦の中に-

2016年09月26日更新

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みなさまこんにちは。
バイヤーの中井です。

この仕事をしていていると、
「バイヤーって実は何をしているの?」
とたずねられることが結構あります。

確かに。よくよく考えてみると、
一言でバイヤーといっても、謎ですよね・・・!

ちなみに当店のバイヤーの場合は、
つくり手さんの発掘から商品の仕入れ、
取材、ページ制作、代官山店の企画や
新規事業などを主にしています。

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森の炭の森」など、商品開発に携わらせていただくことも。

また、ありがたいことに各地域で
行われているデザイン賞の審査員や
商品開発アドバイスのお仕事の依頼を
いただくこともあるんですね。

そして、つい先日グッドデザインしずおか
の審査員のお仕事で静岡へ出張に
行ってきまして、その翌日、
静岡のつくり手さんとデザイナーさんに
お会いしてきました。

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地域に根ざしながらものづくりを
している彼らのまなざしや、
その土地ならではの風景や人、
おいしい食べもの。

つくり手さんやその地域の方に
とっては普通のことでも、
県外出身者のわたしにとっては
おもしろくて思わずハッとなったこと。

ほんの一部ですが、地方探訪の
様子をお伝えすることで、
もしみなさんがその地域を訪れる
機会があった時、少しお役に立つことが
できたら嬉しいなと思います。

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タクシーの運転手さん曰く、夏は富士山が見えにくいとのこと。でもすがすがしい快晴でした。

今回の静岡編では、

【第一回】
森の炭の森をデザインされた
mag design labo.代表の花澤啓太さんの
オフィス兼店舗を訪れた時のこと
「あの蔦の中に」(本コラム)

【第二回】
いざ、森の炭の森の製作現場へ。
アスカムさんの工房探訪
電車みたいなすごいヤツ

【第三回】
静岡のおいしいグルメといえば&
中井のとっておきのお店
変わったけど、変わってない

について綴りたいと思います。

どうぞお付き合いくださいね。

それでは早速、第一回をお届けいたします。

【第一回】あの蔦の中に

潮風に吹かれながら歩いたその先に

JR静岡駅から電車で2駅。
静岡の次が、お餅で有名な安倍川、
その次が用宗。海に近い港町です。

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用宗と書いて「もちむね」と読む。

のどかでちょっとノスタルジックな
風景を背に駅前を歩いていると、
海が近いからか、潮の香りに包まれます。

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用宗の丘から。側を新幹線がびゅんっと走り抜けていきます。

この日は最後の夏日で汗だく。
滝のような汗を流しつつ5分ほど
よたよたと歩いていたら、
とある建物が突然目に飛び込んできました。

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なっ、なんだこれは・・・!
(←ものすごい褒めてます)

建物一面が緑の蔦に覆われています。
圧倒されながら、無言でカメラの
シャッターをきりまくりました。

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ショップは「Timeless Gallery&Store」。

この緑の蔦に覆われたこの建物こそ、
今回の目的地。
森の炭の森をデザインされた、
mag design labo.花澤啓太さんの
オフィス兼ショップです。

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正面右横にまわると、白い階段が。
ここを上るとお店の入り口です。

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お店に入るとすぐに、鶏のオブジェがお出迎えしてくれます。

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お店に足を踏み入れてみると、
窓に生い茂る蔦とそこから
漏れる光に、「わぁ・・・」という
感嘆の声が思わず出てしまいました。

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お店の名前の通り、
テーマは「とき」。

「道具を選ぶときに
実は暮らし方を選びながら、
その時間も選んでいる」

という思いをもとに、
時間が経過したヴィンテージや、
今なお時間を繋ぎ続けている
スタンダードなもの、
これからの時間を作る新作製品など、
そんな道具の時間を提案されています。

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花澤さんが笑顔で出迎えてくださいました。

早速この建物について伺ってみると、
もともとは純喫茶で、閉店した状態だった
のだそうです。

車でこの建物の前を通るたびに
気になっていて、調べてみたら
何と賃貸物件ということが判明。

ちょうどその頃、オフィス兼ショップに
なりそうな場所を探していたそうで、
タイミングも合致し、借りることにした
とのことでした。

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建物の良いところは残し、
一部をリノベーションして
お店とオフィスに再生。

蔦の合間から射し込んでくる
明るい光がとても心地良くて、
いつまでもここにいたいと思える
ような、そんな空間です。

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一番大きいサイズはプロトタイプ。

こちらは当店でも販売以来
ご好評をいただいている
森の炭の森

花澤さんと、静岡のメーカー
株式会社アスカムが開発した
森でできた炭を使った脱臭剤です。
(詳しくはスタイルストアの姉妹サービス
TSUKURITTE LAB」からもご覧
いただけます。)

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私が花澤さんの仕事を拝見して
とても感銘を受けたことがあります。

それは、ただモノをデザインするだけではなくて、

森で生まれた間伐材を有効利用して
炭を作る。

その炭を使って作ったオブジェで
お部屋に森を作る。

天然素材の特許技術が、空気を
浄化してくれる。

それが世の中に受け入れられることで、
また間伐材を有効利用することができる。

・・・と、メーカーならではの独自技術を
活かしながら、ものづくりの循環や
背景のストーリーまで総合的に考えて
デザインされているところ。

デザイナーさんの仕事って
まさにこういうことなんだと体感したのです。

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ちなみに、靴の中で懸命に湿気や
においをとってくれる「Charco Bird」も
花澤さんのデザインです。

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こちらのシリーズは今後お取り扱い予定です。
この他にも、思いを込めてデザイン・制作
されているアイテムがたくさんありました。

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オリジナルデザインの包装紙も素敵。

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ここにいるだけでちょっと気持ちが
健やかになるような、ちょっと一息
深呼吸したくなるような、
そんなお店に私は感じました。

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ちなみに蔦は、春夏は緑色、
秋になると色づき、冬には枯れ、
また春に向けて葉が付いていくそうです。

春夏秋冬、どの季節も表情が違うので、
静岡に行く機会がありましたら、
ぜひその季節の蔦の様子もお楽しみ
くださいね。

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右側にうっすらと富士山の影が・・・!(見えますか?本当にうっすら。)

素敵な空間に後ろ髪を引かれながら、
次回はいざ森の炭の森の製作現場へ。

花澤さんからの「電車みたいな
すごいヤツがいるはずだから」
という言葉を胸に抱きつつ、
電車に揺られて藤枝方面へ
向かいました。

さて、電車みたいなヤツの正体とは・・・?
次回へつづく


【今回ご紹介したお店】

Timeless Gallery&Store

http://timeless.asia/

静岡県静岡市駿河区用宗1-27-5 
(用宗駅より東へ徒歩7分・駐車場2台)
OPEN 11:00-20:00(不定休)


 

このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。