バイヤーからのお便り

常識を覆す!LOOM&SPOOLの毛布の可能性を広げた開発秘話

2025年10月05日更新

スタイルストアでは様々な毛布を扱っています。その中で毎年つかい手から高く評価されているのが、一度使ったら虜になる「LOOM&SPOOL」のふわふわな毛布。肌触りやあたたかさだけでなく、今までの寝具にはない高いデザイン性にもこだわった逸品です。

スタイルストアでは様々なつくり手の寝具を扱っていますが、LOOM&SPOOLのアイテムはつくりやデザインが他と一線を画すため、どのような考えでものづくりをしているのか、つかい手の皆様にご紹介したいと思っていました。今回、デザイナーの廣瀬さんにブランドの立ち上げや毛布開発のきっかけ、ものづくりやデザインへの思いなどを伺いました。ぜひご覧ください。

メリノウールを使用したSERENEシリーズは10月13日(月)24:00までの期間限定で10%オフになるお得な受注会を行っています。ぜひこの期間中にご検討ください。

工場と販売先(お店)の「通訳」として始まったものづくり

奥の女性がLOOM&SPOOLデザイナーの廣瀬さん

LOOM&SPOOLを企画・販売している会社「パンダ企画」は、元々インテリアファブリックメーカーでデザイナーとして活躍されていた廣瀬さんが独立して立ち上げた会社です。独立の背景には、『工場と販売先(お店)の「通訳的な役割」を果たしたい』という思いがあったそう。

廣瀬さんは、ものづくりを通じて工場との連携が多く、工場側の事情も、販売先のニーズも理解できる中間的な立場にいました。時には工場が「作りたいもの」と、お店が考える「お客様に響くもの」が乖離していることも、日常的に体感されていたのだそう。そんなギャップを埋めるデザインや企画を提案することで、つくり手とつかい手両方の思いを汲み取ったものづくりを行われてきました。

現在は、毛布、タオル、ラグ、靴下、エプロンなど、天然繊維にこだわった繊維製品を多く手掛けています。

毛布工場で見た衝撃の光景が、ブランドの原点に

廣瀬さんが自社ブランド「LOOM&SPOOL」を立ち上げたきっかけは、ある毛布工場で見た衝撃的な光景からでした。OEM(受託製造)の仕事で工場を訪れた際、生産されていた毛布のデザインが、昔ながらの派手な花柄やキャラクターものに偏っていることに驚いたと言います。この経験から、「それなら、まず毛布からデザイン性の高い、新しいものを作りたい」という思いが、ブランド立ち上げの原点になったそうです。

ブランド最初のアイテムに綿毛布を選んだのは、深い理由があります。

かつて、日本の毛布産地である大阪府泉大津では綿毛布が主流でした。しかし、その生産は激減してしまいます。

その原因の一つとして、市場に出回った中国からの粗悪な輸入品が挙げられます。安価な輸入綿毛布の多くは、綿がボロボロと抜けるような低品質で、これが広まったことで、綿毛布全体に悪いイメージが定着してしまいました。

廣瀬さんは、この悲しい歴史を知ったからこそ、「本物の日本製の綿毛布」をブランド最初のアイテムとして決めました。

綿毛布が就寝時に重要な吸放湿性に優れていること、また、普及しているアクリル毛布ではなく、綿毛布を使うことで、海洋汚染に繋がるマイクロプラスチック問題の改善にもなることから、現代にこそふさわしい素材だと確信。アクリル製やポリエステル製が主流となった毛布市場に、あえて綿毛布で挑戦することにしました。

軽さと美しさを両立させた「コットンニューマイヤー毛布」の革新性

「LOOM&SPOOL」の代名詞とも言えるグラデーション柄のコットンニューマイヤー毛布(※)には、随所にこだわりが見られます

※1枚の生地で作る一重織り(一重毛布)の製法です。

従来の二重毛布に比べ、軽くて取り扱いがしやすく、ふわふわとした柔らかな肌触りが特徴。毛玉や毛抜けが少なく、ご家庭での洗濯も容易です。

デザイン面では、廣瀬さんの「小さなお子様からお年寄りまで、また、高校生の男の子でも使えるデザインにしたい」との思いから水彩柄の美しいグラデーション柄が誕生。この柄は、ベッドの上でピシッと綺麗に整えなくても、少しくしゃっとしていてもシワとグラデーションが相まって美しく見えるという、予期せぬ効果も生んでいます。

また、市場に出回っている数少ない綿毛布はダブルサイズの展開が少ないため、そのサイズを意図的に展開。これは、「シングルサイズやセミダブルサイズでは足りない、家族が川の字になって眠るシーンにも対応できるよう」配慮したものでした。

コットンはポリエステル製品と違い静電気が起きにくく、ニューマイヤー製法により空気を含んで編み上がるため、軽くてボリュームがある仕上がりを実現。「これ、本当に綿なの?」と驚かれることも多いそうです。さらに、小さなお子様がいる家庭でも安心できるよう、グレープフルーツの種から抽出した天然由来の抗菌成分が加工されています。

手がかからないけど心地よい、これが最高の素材

メリノウール毛布の「SERENE」は、フェイクファー(エコファー)の普及を背景に、廣瀬さんが「ウールで本当のエコファーを」という思いから生まれた、ニューマイヤー毛布です。繊維が細くて柔らかいメリノウールを使用しているためチクチクせず、また、ウール本来の調湿性により「暖かくても蒸れない」という高い機能性を持ちます。

さらに、防縮加工により自宅での洗濯も可能で、普段のお手入れは風を通すだけで良いという、「手がかからない最高の素材」だと廣瀬さんは確信しています。

毎年生産を続けるなかで、廣瀬さんは品質の維持とお客様からの要望に応え、基布(芯として入っているメッシュ状の生地)部分が見えないようパイピングを追加したり、パイルの長さや密度を変えたりと改良を重ねたそうです。

しかし、その結果、当初のふんわりとしたボリューム感を失うという課題に直面しました。このため、廣瀬さんは2025年生産分から思い切って工場を変えるという決断を下しています。

同じ機械を使っていても、工場によって改良の仕方やものづくりの個性が全く違うことに着目。起毛にこだわる新たな工場と連携することで、昨年生産よりも少しボリュームアップしたクオリティとなりました。

ボリュームアップしたことで、もふもふ感がさらにアップ。また、より空気をためられるためあたたかさもアップしています。

「品質もデザインも良く、人にあげても恥ずかしくないもの」を追求

廣瀬さんのものづくりへのこだわりは、「天然素材」と「デザイン」に集約されます。

化学繊維が溢れる世の中で、天然素材は肌への負担や静電気が起きない点で「理にかなっている」と廣瀬さんは考えています。また、「肌に優しいものはデザインがダサい」という状況に妥協せず、「品質もデザインも良く、人にあげても恥ずかしくないもの」を追求。毛布は部屋の中で面積を取るため、インテリア度を向上させるアイテムとしての役割も重視しています。

出産祝いなどで贈られ、子供が大きくなっても使い続けられるような、「一生もの」として長く愛用されることが理想だそうです。

クリーニングサービスやサブスクリプションといった、長く使ってもらうための仕組みも検討しつつ、ホテルやゲストハウスのような場所で実際に製品を体験し、その場で購入できるという展開が夢だと語っていました。

また、パッケージにもこだわり、購入後も使えてできるだけゴミにならないようなものにしています。これは、使い捨てのものを出したくないという思いがあるためです。

SERENE毛布には洗濯ネットにもなる収納袋を採用。なんとレースカーテン工場で作られているそう。この工場は元々カーテンなどのレースを専門としていましたが、素材が洗濯ネットとしても使えることを知り、廣瀬さんから洗濯ネット製作を提案したそうです。

工場を見学したところ、毛布工場と同じ「カールマイヤー機」という機械が設置されており、泉大津では毛布を、福井ではレースを生産しているという不思議なつながりに「運命を感じた」と言います。

デザインは、「LOOM&SPOOL」のコンセプトキーワードや、レースカーテンの柄などを組み合わせて作成。洗濯ネットとしてだけでなく、普段の収納や旅行の際の着替え入れなど、幅広い用途で活用できることを目指したそうです。

新商品を少しだけご紹介します

廣瀬さんと展示会にて

先日LOOM&SPOOLの展示会にお邪魔してきましたが、SERENE毛布を使ったもふもふでリアルな猫のクッション・抱き枕や、コットンニューマイヤー毛布に採用しているグラデーションをメリノウールのラグに落とし込んだものなど、楽しみな新商品を多数発表されていました。

スタイルストアとしても、廣瀬さんのものづくりに対する思いや、天然素材へのこだわりなど共感するところが多々あり、今回インタビューを通して、廣瀬さんの思いをご紹介できて嬉しく思っています。先にご紹介した新商品は11月中には販売開始予定なので、ぜひ楽しみにして下さい。

SERENEシリーズは2025年10月13日(月)24:00までお得な受注会を開催中です。受注期間中は通常の価格より10%オフ!

さらにシーズンオフは通気性の良い収納袋としても使え、洗濯時には洗濯ネットとしても使える、LOOM&SPOOLオリジナルデザインの「収納バッグ」をプレゼントします。ぜひこの期間中にご検討ください。

このコラムを書いた人

菱倉 慎太郎

スタイルストア バイヤー

菱倉 慎太郎

現代は世のなかにモノが溢れかえり、使っては捨てるを繰り返す大量消費社会です。 そんな時代だからこそ流行に左右されず長く使うことができ、そして愛着が増していくモノを厳選してご紹介していきたいと考えています。