バイヤーからのお便り

【数量限定】木製なのにお手入れ不要、薗部さんと作ったオーバルパン皿

2025年05月27日更新


パンはカリッとしたままおいしく。水や油が染み込まずお手入れしやすい。軽くて洗う時や配膳時に楽ちん。そんな木製の器があったらと、薗部産業さんと二人三脚で作ったのが「木製オーバルパン皿」です。

2019年5月にお披露目してから約6年の間に、つかい手のみなさまの声に応えて改良したり、樹種を増やしたり、つくり手・つかい手・店、みんなで育てた器だと感じています。


今回は当店20周年を記念して、縁にリムがあるタイプを作っていただきました。木製皿はお手入れが大変そうと感じている方にこそ、ぜひ使っていただきたい一枚です。

オーバルパン皿が生まれた理由と、薗部さんのチャレンジマインド


元々オーバルパン皿が生まれたきっかけは、朝ごはんの時間に感じていたちょっとした悩みからでした。

「トーストしたパンをカリカリのまま食べたい。一緒に野菜も食べたい。でも、陶磁器の器だとパンの裏側が水分でべちゃっとなりがちだし、木製の器だとドレッシングをかけた時に染みになる……」

パン皿とおかず皿(陶磁器)は別にしたり、洗い物が増えるのが嫌&分けるのが面倒で、結局我慢してどちらかの器を使ったり。何より気兼ねなく使えたらなぁ常々感じていました。


そもそも木製皿の形の主流は丸型。2019年当時、オーバル型の木製皿を作っているのは限られた作家さんのみで、もちろん制作の手がかなりかかっているため高額で、家族分を揃えるにはなかなかハードルが高い状況でした。

また、メーカーさんも、オーバル型を作れる機械がなかったり、制作に手間がかかるため、作っている会社さん自体を探すのも困難。

「世の中、作られていないものには何かしら理由があるよね……」。そんな風に思いつつも、やはりあきらめきれず。かなりの無理難題だとは思いつつも、薗部さんなら一緒に試行錯誤してくださるのではという信頼感からご相談したところ、「パン皿、ぜひ作りましょう」と力強い後押しの言葉をいただき、「朝ごはんの時間を楽にするため」のパン皿開発がはじまりました。

実際に思いを形にしてご制作してくださるメーカーさんはとても大変なことが多かったと思います。今でも、「新しいことにでもチャレンジしよう」という薗部さんのスタンスとマインドにとても感謝しています。

パンはカリカリ、油ものをのせても大丈夫&お手入れが楽


オーバル型を作ることはもちろんですが、パンのカリカリ感をできるだけ保ちながら、水分や油が染み込みにくいようにするには、塗装がとても重要です。


通常は「塗装→サンドペーパーでの磨き」の工程は1回のみ。それを塗装と磨きを何度も繰り返すことで、水分は染みにくいけれど、熱々のパンを置いても水気でベタベタになりにくいように仕上げていただきました。

これは小田原地方の漆器づくりの技術を転用した製法なのだそう。目には見えない部分ですが、薗部さんは誠実な仕事で応えてくれました。

パンをのせた時、お皿に水分が全くついていない訳ではありませんが、水分量はわずか。水気でベタベタすることもなく、カリカリとした質感のままで、おいしくいただけます。


また、ウレタン塗装が施されているので、「木のうつわ=すぐ洗わないと染みになる。油ものをのせるのはもってのほか」、「オイルを塗ったりメンテナンスが必要」という、木製品につきまとうお手入れの面倒さが一切ないところもポイント。

本来は大敵の水気や油ものも気兼ねなくのせられます。サラダにドレッシングをかけたり、ソースがたっぷりかかったハンバーグをのせても染みないので、活躍の頻度が上がります。


普通のお皿と同じように、中性洗剤を使って洗うことができます。水が染み込みにくいので、すぐ水気を拭く必要もありません。

また、リムありのパン皿の場合は約150gととても軽量。器をテーブルから移動させやすく、シンクに持った後も、そのままの勢いでサッと洗いやすいんですね。しかも割れにくいからノーストレスで洗えるのも嬉しいところです。


縁がわずかに立ち上がっているデザインなので、指を入れて持ち上げやすいところも魅力。また、長く愛用していくうちに変形してガタつきが出にくいように、裏面は少し掘り込みを入れるなどの工夫もされています。


盛り付けるだけで雰囲気良く見えるのも嬉しいところ。今回のリム皿は、意匠としてだけではなく、少々の汁物を盛ってもこぼれにくいようにリムにしました。

仕事や家事で忙しい、お子様が小さくて・・・という全ての方こそ手にとっていただきたい器です。

20周年記念の特別ページの「つくり手さんからのメッセージ」のコーナーにて、薗部さんからもコメントをいただいていますので、ぜひそちらもご覧いただけると嬉しいです。

このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。