インタビュー&ゲストコラム
【第三回】旭川で作られる木工品のストーリー cosineインタビュー
田んぼと山に囲まれたのどかなまち、北海道・旭川で、人と木のぬくもりが伝わってくる木製品を作り出すcosine(コサイン)。「暮らしの中で長く使える生活道具をつくる」というコサインが大切にしているものづくりの考え方の通り、長年愛されている商品をたくさん生み出しています。
そんな数々の製品が生み出されるまでのストーリーや、当店の商品ページでは語りきれない魅力についてお話を伺ってきました。
第三回となる今回はいよいよ最終回。一見シンプルなつくりの姿見ですが、そこには使い手のことを思いやるコサインの気遣いがありました。
使い手のことを第一に考えた持ち運びミラー
バイヤー畠田(以下畠田):コサインの姿見は、ただの姿見じゃなくて、「持ち運びミラー」なんですよね。置き型ではなくて、持ち運びできるミラーを作ろうと思われたきっかけって何だったんでしょう?
宮川さん:最初から持ち運びを想定して作ったというよりは、エントランススツールと同じように、「狭いスペースでも置ける姿見があれば」という思いから作られたものなんです。狭いスペースに置くためにはスタンド式ではなくて薄く作らなきゃいけない。そうすると結果的に軽くなって持ち運びに適していた、という感じですね。
畠田:本当だ、軽い!お掃除する時も簡単に動かせそうですよね。なんだか家具としての圧迫感がないようにも感じます。
宮川さん:足元部分の鏡がないのが印象を大きく変えているかもしれません。姿見の下の部分って、鏡に映るのはほとんど床なんですよね。だから思い切って足元の部分の鏡は省きました。きちんと、小さなお子様から大人まで、幅広い方が頭から足元まで映せるんですよ。
畠田:軽くてスペースをとらないのは本当に嬉しいですね。我が家にも姿見はあるんですけど、スタンド式だから邪魔に感じるようになって・・・
宮川さん:奥行きが必要な姿見って多いんですよね。場所をとると、歩いた時にぶつかって倒してしまったりします。この持ち運びミラーは、少しの角度をつけるだけで壁に立てかけられるのが何よりの良さですね。
宮川さん:このミラー、試作の際はもう少し角張った感じだったんですけど、かまぼこ型のようにカーブをかけて丸い印象になりました。全身鏡はドレスラックの隣で使うシーンが多いだろう、ということで、ドレスラックの仕様に合わせたんです。
畠田:この丸み、思わず撫でたくなる・・・
宮川さん:このカーブの仕上げには長年培った技術と経験が必要なんです。優しい丸みを作りつつ、完全に丸くならないようにしないと、折角の綺麗なエッジが崩れてしまうんですよね。だから、必要最低限の部分だけ削り上げるということが大切。ただ削るだけではざらざらしてしまうので、削った後に更にペーパーで磨いています。「持ち運びミラー」なので、手に持った時に気持ちよく使って頂けることも大事にしています。
畠田:持ち運ぶ時間は鏡を移動させる数秒だけかもしれないですけど、そんな一瞬でも大切にしているんですね。
宮川さん:ええ。他にも、床との接点には滑りにくいようにグリップをつけていますし、それでも立て掛けるだけだと倒れそうで不安という方もいらっしゃるでしょうから、補助的に壁にかけられるように裏面には紐を渡していたり・・と、お客様が安心して安全に使って頂けるようにいろんな工夫をしています。
畠田:そういうところまで配慮がされて一手間かけられているところに、コサインのものづくりの思いやりの気持ちを感じます。ドレスラックやスツール、靴べら、持ち運びミラー、どれも「掃除がしやすいように」「場所をとらないように」と、お客様が使うシーンをリアルに想像して作っているからこそ、暮らしに馴染む製品が出来上がるんだなあと思いました。本日はありがとうございました。
第一回:銀座で見初められた「ドレスラック」
第二回:雪国の発想で生まれた「玄関まわりの道具」
第三回:コサインの思いやりが詰まった「持ち運びミラー」
cosine(コサイン)
株式会社コサインは「木」「つくり手」「使い手」が共にあるような、長く暮らしに寄り添う生活道具を作っています。木の素材感が際立つシンプルな美しさを大切に、確かな技術でものづくりに向き合い、長い年月をかけて育った木を無駄にせず、最後まで使い切る工夫をしています。そして、長くお使いいただくことを考え、お客様とのつながりを大切にしています。
ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。