インタビュー&ゲストコラム
【第二回】旭川で作られる木工品のストーリー cosineインタビュー
田んぼと山に囲まれたのどかなまち、北海道・旭川で、人と木のぬくもりが伝わってくる木製品を作り出すcosine(コサイン)。「暮らしの中で長く使える生活道具をつくる」というコサインが大切にしているものづくりの考え方の通り、長年愛されている商品をたくさん生み出しています。
そんな数々の製品が生み出されるまでのストーリーや、当店の商品ページでは語りきれない魅力についてお話を伺ってきました。
第二回でご紹介するのは、思いもよらないところから着想を得た「エントランススツール」と、立ったまま使える「靴べら」。佇まいもかっこいい、玄関で活躍する道具をご紹介します。
雪国の発想で生まれたエントランススツール
バイヤー畠田(以下畠田):スツールにもいろいろ種類がありますが、なぜ「玄関用」のものを作ろうと思われたんですか?
宮川さん:コサインの工房は北海道の旭川にあるんですけど、北海道のお家は一軒一軒が広くて、玄関も大きいんですね。でも、都内だと玄関に大きなスペースはとれないじゃないですか。そんな限られた広さでも使って頂けるスツールが欲しいね、という話になって、開発が始まりました。
畠田:他のスツールと比べると座面は半分くらいのサイズでしょうか?
宮川さん:はい。奥行は25cm、幅36cmと他のスツールに比べて非常にコンパクトです。でも小さいから不安定ということもなく、座った時の安定感は他のスツールとは変わりません。
畠田:本当だ、すごく華奢に見えるのに不思議ですね。
宮川さん:座面が少し反った形をしているので、座った時に重心が安定するんです。小さなお子様を膝の上に乗せて靴を履かせたりする時には大活躍しますよ。
宮川さん:この座面の形が生まれたのは、雪国ならではなのかもしれません。
というのも、旭川の冬は大変な積雪になるんですけど、ある日このスツールの構想を練っていた開発スタッフが、雪の上にお尻の跡を見つけたそうです。
宮川さん:そのお尻の形が、人が座るのをじっと受けとめてくれる、安心感のある自然なかたちであるように感じ、「これだ!」とインスピレーションを受けて。その形をヒントに座面を研究していって、現在のスツールに仕上がりました。
畠田:そんなエピソードが!このスツールの自然な美しさの出発点が、その雪の上にできた「お尻そのものの形」なんだと聞くと、なんだか納得がいきます。置いているだけでさまになる美しさだから、実用的且つ、玄関周りのインテリアとしてもいい仕事をしてくれそうですね。
女性にもやさしい靴べら
畠田:あと、コサインの玄関まわりのアイテムと言えば、靴べらですよね。わたし、スタイルストアに入社した時に衝撃を受けたんです。靴べらだけで9180円?しかもスタンドと合わせると18,900円?!って(笑)。そして更に、それが売れているということにも二段階で驚きました。
宮川さん:そうなんです、スタンドだけでも靴べらがもう一本変えてしまう値段なんですけど、でもやっぱり併せて使った時の佇まいに惹かれて、どちらも購入される方が多いですね。まずは靴べらだけ買ったけど、やっぱり欲しくなって後から追加でスタンドも、というお客様も多くいらっしゃいます。
畠田:靴べらは頻繁に買い替えるものではないので、持つなら長く使えて愛着の持てるものが欲しいですね。
宮川さん:そうですね。コサインの靴べらには長いものと短いものの二種類がありますが、特に人気があるのは、長い方。ご年配の方や女性に好評です。
畠田:なんで女性に好評なんですか?
宮川さん:立ったまま姿勢を変えずに使えるからです。スカートをはいている時に、屈まなくても靴が履けるということで重宝されるんですよね。あ、ミニスカート履いてきてもらって実演してもらえばよかった(笑)。
畠田:冗談はやめてください(笑)。
宮川さん:靴を履く時って、意外と靴べらに力がかかるんですよね。だから、薄くしすぎると折れてしまうんですけど、厚すぎると今度は履きづらくなるし、見た目も野暮ったくなってしまう。使いやすくも美しくなるように、厚さのバランスは綿密に計算して作っています。
畠田:こんな靴べらが玄関にあれば、普段履くのが億劫で出番の少なくなりがちな革靴だって履きたくなりますね。
第一回:銀座で見初められた「ドレスラック」
第二回:雪国の発想で生まれた「玄関まわりの道具」
第三回:コサインの思いやりが詰まった「持ち運びミラー」
cosine(コサイン)
株式会社コサインは「木」「つくり手」「使い手」が共にあるような、長く暮らしに寄り添う生活道具を作っています。木の素材感が際立つシンプルな美しさを大切に、確かな技術でものづくりに向き合い、長い年月をかけて育った木を無駄にせず、最後まで使い切る工夫をしています。そして、長くお使いいただくことを考え、お客様とのつながりを大切にしています。
ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。