バイヤーからのお便り

【好評につき第3弾】花々の美しさを閉じ込めた珊瑚のブローチ

2023年02月22日更新

こんにちは、バイヤー加藤です。

昨年の10月、12月とご紹介してきた、貴重な珊瑚を細かな手作業で緻密に彫った1点もののブローチ。大切に保管されてきた高知の珊瑚関係者のご尽力により、またご紹介できることになりました。

ひとつひとつ違う表情を持つ、1点物の珊瑚は、昭和中期に高知県で彫られたものです。珊瑚専門の職人の手による彫りはため息ものの美しさ。現存する珊瑚を彫ることのできる職人は今やほんの数名だそう。珊瑚そのものの希少性と相まって、同じものを制作しようとしたら、販売価格は約3倍になると言われるほど貴重なブローチです。すべて1点ものとなり、同じものの再入荷はありません。

大 紫陽花B

今回も、細かい彫りの美しさが堪能できるモチーフを中心にご紹介します。天然の形や色を生かして丹念に彫りこまれた花弁や葉は思わず見入ってしまう美しさ。職人の手仕事の素晴らしさを堪能できる、一生ものの逸品です。

吉祥文様として愛されてきた花々のモチーフ

大 小菊B

こちらはもともと高知の呉服店で大切に保管されてきたもの。帯留めとして珍重されてきた珊瑚ですが、和装に限らず様々なシーンでお使いいただけるように、特別にブローチに仕立てて頂いています。小菊、日日草、紫陽花といった、一般的なアクセサリーにはあまり見られない花のモチーフが使われているのは、このような背景があるからなんですね。

大 ピンポン菊A

日本の四季を写すモチーフとして、日本人は花鳥風月を着物や帯、小物に用いてきました。特に、花は季節を感じるだけでなく、吉祥文様としても愛されています。たとえば菊は古くから用いられてきたモチーフ。邪気を払う長命の象徴として、大変縁起の良い文様です。

大 ダリアB

また、ダリアやチューリップは大正時代から着物の柄として使われるようになってきたのだそう。西洋の花を取り入れたモチーフはレトロモダンな華やかさがあります。

大 日日草B

今回は菊、ダリア、日日草、百日草、すずらん、チューリップ、紫陽花をセレクトしました。大・小2つのサイズがあります。

大サイズ

上段2点:小菊、中段2点(花弁が2重になっているもの):スプレー菊、左下:ピンポン菊

小菊、スプレー菊、ピンポン菊と、吉祥文様の菊は計5点のご紹介です。それぞれの菊の種類を、高い技術で見事に彫り分けています。ため息ものの美しさです。

ダリア

また、独特の華やかな雰囲気があるダリアも4点ご用意しています。フォーマルな装いにもぴったりだと思います。

その他にも、日日草(下段左の2点)、紫陽花(上段右端)、すずらん(下段右端)をご用意しています。

小サイズ

上段左から、ダリアB、チューリップB、百日草A、ダリアC。下段左から、日日草C、すずらんB・C

小サイズは全7点のご紹介です。ダリア、チューリップ、百日草、日日草、すずらんをご用意しています。ダリア、すずらんは2種類、他のお花は1点のみとなります。

小 チューリップB

こちらのブローチは重量によって大・小のサイズを分けています。小サイズといっても、モチーフの形は様々で、見た目は大小の差をあまり感じません。

小 ダリアB

珊瑚そのものの形を生かしながら職人さんが彫り進め、一点ものの作品に仕上げてあるので、個人的にはサイズにとらわれず、「これ!」とピンときたものをお選びいただくのが良いと思います。

職人の手仕事によって生まれる造形美

希少なだけあって、私たちがアクセサリーショップで珊瑚をつかった商品を目にすることはあまりありませんが、実は珊瑚の宝飾品としての歴史はとても古いのだそう。

日本では、聖武天皇の王冠に珊瑚が飾られていたという記述があるそうです。世界的には地中海が珊瑚取引の中心地で、独特の赤い色合いから、お守りとして身に着ける習慣が各国に見られてきました。

今回ご紹介するブローチに使われている珊瑚は、ハワイ諸島の北西、東京から約4,100キロに位置するミッドウェイ産の「深海珊瑚(水深1,000m前後の深海で採れる珊瑚のこと)」。深海なのでかなりの水圧のもとで成長する珊瑚は、1年がかりで直径約0.3ミリしか育たないそうです。つまり宝飾品として加工できるようなレベルに成長するまでには100年以上の年月が必要になります。

珊瑚作品を製作する作家、職人は珊瑚原木に直接エンピツで下絵を書くか、いきなりリューターで彫り込んで行くかなのだそう。どちらにしても、絵心もしくはデッサン力が無いとなかなか出来る事ではありません。
また、その珊瑚原木の形をいかに活かし無駄にしないデザインにするかが鍵になって来ます。
珊瑚は象牙などと違い素材に柔軟性がありません。細かいディテールを表現する部分では、割れや欠けを防ぐために、素早い作業をしなければなりません。熱に弱い宝石珊瑚の性質を熟知していなければ出来ない加工技術です。

そして、珊瑚の加工は、一度彫ってしまうと足す事が出来ません。常に一発勝負でこのような素晴らしいモチーフが生まれるのです。

小 百日草A

気の遠くなるような時間を経て生み出された珊瑚を、このような職人の技で仕立てた、唯一無二のアクセサリー。その手仕事の価値を分かって頂ける当店のお客様にご紹介できるこの機会を、是非お楽しみになってください。

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このコラムを書いた人

加藤 紀子

スタイルストア バイヤー

加藤 紀子

ショッピングユニットでバイヤーをしています。衣食住にまつわるすべてのことに興味があります。暮らしを楽しみたいという気持ちを大切にしたいと思っています。