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余熱調理で肉じゃががご馳走に!だえん土鍋のススメ
こんにちは、バイヤーの中井です。昨年購入して、リアルに週3で愛用している調理道具があります。それが「kanae」の楕円型の土鍋。
これまでは土鍋=水炊き鍋のようないわゆる「冬の鍋もの」に使うイメージが大きかったのですが、こちらを使い始めてから、特に煮物が絶品に仕上がることに驚きました。一番他の素材の鍋との違いが判りやすかったのが、肉じゃがの味のしみ込み方とホクホク感。その理由は、土鍋ならではの火の通り方と、余熱調理にありました。
熱がゆっくり伝わるから、食材の甘みが引き出される
これまで肉じゃがなど「煮物」を作る時は、鍋自体が早く熱くなるアルミ鍋を使ってきました。そんな中、特に根菜を調理する時に「土鍋で煮ると食材がほんのり甘くなって、こんなに美味しくなるのか」、「トータルの調理時間も短くなった」と実感。
その理由は何なのかをちゃんと解明したいなと思い、私が土鍋博士と呼んでいる、kanaeのつくり手・熊本さんにお話を伺いました。
まず、ほんのり甘くなったように感じられる大きな理由は、「土鍋は熱の伝わり方がゆっくりだから」という点が大きいそうです。
食材の旨みや甘みは、タンパク質がアミノ酸に、デンプンが糖に分解されて、はじめて感じることができるのだそう。そして、甘みが一番引き出される温度は、40~60度を通過する時。土鍋は熱くなるまでに時間がかかる(=熱伝導が低い)分、この温度帯を金属素材と比べて約1.5倍の時間を掛けてゆっくりと通過するから、甘みが引き出される時間が長くなり、それが美味しさに繋がっているという訳ですね。
ちなみに、特にじゃがいもやご飯が美味しく感じられるのは、デンプンが含まれている量が多いからかなと思います。
また土鍋を温めると、他の金属素材の3~4倍も多い量の「遠赤外線」が出ていると言われています。
この遠赤外線は電磁波のひとつなのですが、食品自体の分子を直接振動させて熱くなる仕組みで、食材の細胞を破壊しないで中からじんわり火を通してくれるところが特徴。土鍋(陶器)が発する遠赤外線によって、食材にゆっくりと熱が伝わるので、これも食材の甘味を引き出す理由のひとつです。
さらに、鍋底から伝わる炎の熱だけでなく、鍋の内側の全方位から食材が温まるので、ムラなく加熱でき、ホクホクの食感に仕上がるんですね。
余熱調理できるから、味がしみ込みやすく美味しくなる
よく「余熱調理できる」と聞きますが、これまでは単に「ガスコンロの火から下しても熱いままだから、時短できて良い」ところが大きなメリットなのかなと思っていました。ところが、この土鍋を日常的な調理道具として使っているうちに、味のしみ込み方が違うなと実感したんですね。
土鍋は温まる時はゆっくりですが、一度温まったら保温性が高く、なかなか冷めません(火を消してもぐつぐつ状態)。そのため、火を止めた後の余熱を利用して調理できるのが利点ですが、もうひとつ、食材に味がしみ込みやすいところが特徴です。
煮込み料理は、冷めていくまでの間に調味料が入ったり外に出た食材の旨味が戻っていく言われています。土鍋は冷めるまでの時間がゆっくり。だからこそしっかりと味が食材に入り込んでくれて、美味しく仕上がるんですね。
我が家では夫が煮物を作ることが多いのですが、「調理時間が同じか短くなったのに美味しさが違う」とのことで、煮物を作る時はもっぱらこの土鍋を使うようになりました。
また、直接火に掛ける時間が短くて済むので、食材の焦げ付きや煮崩れを防いでもくれるのもポイントです。
調理道具であり、大皿でもある
様々な土鍋がある中でもkanaeの良さは、調理道具でもあり、楕円型の大皿でもあるところにあります。
横に長いので食卓のスペースが限られていても比較的置きやすく、かつ見栄えが良いところも、活躍頻度が上がっている大きな要素だなと感じています。
ちなみに一番違いが判りやすいのは肉じゃがですが、それ以外では、おでん、煮込みハンバーグ、カレー、冷蔵庫にある余り物野菜の蒸し煮を作ったりとフル活用。「これで煮ておけば間違いないものができるな」という安心感があるので、常にコンロに置いて、週3日は何かしらこちらで調理をしています。
また、最近は外食もなかなかできない中なので、食卓で蓋を開けて蒸気が上がった時に、ちょっとした高揚感があるのも活躍頻度が上がっている理由のひとつかもしれません。
普通の肉じゃがも、手軽&放置なのに、ご馳走みたいに美味しく仕上がるkanaeのだえん土鍋。忙しい人の味方になってくれる一品です。
ちなみに、使っていくうちに茶色っぽく変化していくため、気になる方はグレーやブラウンがおすすめ。食材の色が映えるのはホワイトです。
また、同じ素材のボウルは、スープを注いだ後もしばらく冷めにくく、かつ熱くても手で持つことができて、こちらも買って良かったなと実感中。口に触れた時の感触もとても良い、優秀なアイテムです。
いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。