インタビュー&ゲストコラム
【第二回】安原ちひろさんインタビュー「ハンカチや手袋kogikuの誕生秘話」
スタイルストアで人気のイラストレーター
安原ちひろさん。
人の心をうるおす彼女の世界観が
どんな風に形づくられてきたのか、
前回はその生い立ちや
イラストレーターとして独立した時の
ことを伺いました。
第二回目となる今回は、原画の展示・
販売をするようになってから作りはじめた
ハンカチや、当店と安原さん、
タナベ刺繍さんで作った手袋「kogiku」
の誕生秘話をお届けします。
絵のことを思い出してくれたら良いなと思って。
イラストレーターとして独立後、絵の展示・販売をするようになった安原さん。純粋に絵だけを見せるのではなく、作品の雰囲気を感じられつつ、より気軽に手にとってもらえそうなものを一緒に提案したいという思いから、初めて「絵から派生した商品」を作られました。
バイヤー中井(以下中井):安原さんこだわりの、ハンカチを作りはじめたのですね。
安原:そうです。自分が観る立場のときもそうなんですけど、絵だけが展示されていると、さらーっと観て終わっちゃうことあるじゃないですか?でも物販コーナーがあると、むしろそこでじっくり見たり手に取ったりする。そこをきっかけに、また絵のことを思い出したり、戻ってきてくれたりしたらいいなと思って。
中井:このハンカチ、オンラインでも代官山店でも人気の商品ですが、安原さんの絵の感じがものすごく忠実に表現されていますよね。
安原:ものとしてはハンカチなんですけど、あくまで「絵」がベース。だから生地を選ぶにも、発色や再現性を含め、中井さんの言うように「絵に忠実につくる」のが第一でした。絵の雰囲気を壊さないためにも、角がきちっと四角のまま保持されるという条件も譲れなかったし。
私はポスターのように、ただ飾るだけの紙というのにはあまり惹かれなくて、飾って楽しむこともできて、かつ実用品としても使えるものが作りたかったんですよね。
中井:海外のお客さまにもこのハンカチはすごく人気ですよね。
安原:私も個展やイベントで店頭に立つことがあるんですが、海外の方はインテリアの一部としてファブリックを飾る習慣が根付いている印象です。しかも「衣替えをする」というのと同じような感覚で、季節やイベントに応じて掛け替えて楽しむという感じみたいですね。
定期的に買ってくださる方もいますし、「こういうのを探してたのよー」といって複数枚買われる方もいました。絵画作品より気軽に楽しんで頂けるし、これは作って良かったなと思っています。
中井:安原さんとスタイルストア、タナベ刺繍さんで作った手袋も作って良かったですか(笑)?
安原:良かったです!そしてタナベ刺繍さんのセンス、さすがでしたよね。花の色にしても葉っぱや茎にしても、細々した指示を出さずとも、こちらの意図を汲んでパシッと形にしてくれましたし。できあがった手袋を見たときは、テンションが上がりました。家族や友達も喜んでくれて。お母さんへのクリスマスプレゼントとして買ってくれた友人が多かったみたい。
中井:kogiku手袋、私も買いました。すごくお客さまの評判もいいですし、来冬は、色や刺繍のバリエーション含め、バージョンアップさせて作りたいですね。
安原:はい、楽しみですね。夏には準備しなきゃね。
中井:ちなみに安原さんは、絵の題材ってどんなふうに決めているんですか?
安原:道。
中井:えっ、道路のこと!?
安原:あのね、散歩。道をふらふら歩いていて、そこで見たものに惹かれて描く、というのが多いんですよ。たとえば代官山店で売れたおやまの絵。あれは、近所の浅草橋の道を適当に歩いていて、別に全然お洒落でもない植え込みあるじゃない?まーるく刈り込まれてレンガの中に植えられているような。ちょうど冬で、あそこに溶けかけた雪が残ってのっかっていた、というのを見て、その状態がなんだかかわいらしいなと思って描いたものなんです。
中井:kogikuも散歩で見つけた、名もなき花から生まれた絵なんですか?
安原:いや、あれは小菊。私、小菊が好きなんです。
中井:あ、そうですか。じゃあ、あの手袋第一号は、安原さん自身が好きな作品で作れたということでもあったんですねー。良かった!
次回は、安原さんが影響を受けた本と
偏愛グルメをご紹介します。
どうぞお楽しみに!
インタビューこぼれ話(その2)
インタビューの日は、onshitu柄の
シルクスカーフをヘアアレンジ時に
使われていらっしゃった安原さん。
「一重に結んでシャッと巻いているだけ!」
とのことですが、簡単でありつつ
こなれて見えて、とても素敵でしたよ。
(当店でお取り扱いしているonshitu柄は
コットン素材のハンカチなので、
巻いていらっしゃるスカーフとは
別のアイテムです。)
安原ちひろさんプロフィール
第一回 安原さんの世界観がかたちづくられるまで
第二回 ハンカチや手袋kogikuの誕生秘話
第三回 安原さんが影響を受けた本2冊と、偏愛グルメ
いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。