みんなの愛用品

寒い日の手元をあたため、気分を明るくしてくれる手袋

2019年12月03日更新

ここ最近、特に朝晩は手元が冷えるようになり、手袋が活躍する季節に入りました。そんなこれからの季節に活躍してくれるのが、美しい刺繍が入ったカシミヤ100%手袋。

手元をあたためてくれるのはもちろん、何より「コートの袖から見えた時にかわいく見えて、寒い日の気分が少しでも明るくなるように」をテーマに、イラストレーターの安原ちひろさんが手袋用に描き下ろしてくださった絵柄が魅力です。

今回は、今年で5年目を迎える手袋づくりの中で、特に大切にしている2つのことをご紹介したいと思います。

コートの袖から、さり気なく素敵に見えるように

「寒いし、もう外に出かけたくない・・・」。出かける前に玄関先でそんな風に思った時、少しでも明るい気分で、あたたかく外出できるようになったら。そんな思いでこちらの手袋を作りはじめてから、早5年が経ちました。

そして、この5年の間にいろいろな柄を作っていく中で、毎年変わらずに大切にしていることがあります。ひとつめは「コートの袖から見えた時の刺繍のバランスの良さと、アクセントになる絵柄」です。

まず刺繍の大きさやバランスですが、最初の頃は、過去に安原さんがすでに描いたことがある柄を刺繍していました。そんな中、例えばkogikuのようにもともと細長い花柄だとしっくりと収まっていたのですが、一方で手袋に落とし込むとバランスが難しい柄もあったんですね。

いろいろサンプルを作っては検証していく中で、「やっぱり手袋用に柄を描いた方が素敵なものができる」という結論に至り、3年目からは全て手袋用に描き下ろしていただくようになりました。

手袋にした時に素敵に見える絵と構図となると、自由に描いていただくよりも制約がありますが、そこは安原さん。毎回、冬のお出かけが楽しくなるような、心躍る絵柄を描いてくださっています。

絵柄が決まって、次に大事なのが「刺繍による表現」です。原画に沿ってタナベ刺繍さんに刺繍をしてもらうのですが、毎回この工程は完成度を高めるために、とても細やかなやりとりをしています。

before

after

例えば白いお花の刺繍の濃淡。beforeではオレンジや水色の色数が原画の表現よりも多かったのですが、afterでは濃淡を和らげたり、生地の色がなるべく見えないようにもう少し刺繍を足してもらったり、お花同士がくっつかないようにするなど、絵としての完成度を高めていきます。

細かなことかもしれませんが、「美は細部に宿る」を大切に、ここは妥協しないポイントと決めています。

刺繍の仕様が決まったら、次はどの位置に刺繍をしてもらったらバランスが良いかを決めていきます。コートの袖に隠れてしまわないか、指の関節の上に刺繍がなるべくこないようにしたり、刺繍の位置決めも毎回ドキドキ。

こんな風に、「どうしたらコートの袖から、さり気なく素敵に見えるかな?」と考えながら、毎年改善をしながら作っています。

カシミヤの風合いを活かし、着け心地が良いように

もうひとつ大切にしているのが、着け心地の良さです。この手袋の素材は、18種類中16種類がカシミヤ100%。やわらかさに加えてあたたかく、雨の日でも着けるだけでぽかぽかになるのもポイント。

一般的には刺繍をしてしまうとどうしてもその部分が固くなってしまいます。そのため、刺繍のかたまりが大きくならないよう絵柄を描く、できるだけ固くならないように刺繍するなど、カシミヤならではの着け心地の良さを損ねないように工夫されています。

こうしてご紹介して、改めて安原さんのデザイン力の高さと、タナベ刺繍さんの技術力の高さが合わさって作られている手袋だなと実感しています。

黒やネイビーなどの暗めの色のコートに合う華やかな柄や、落ち着いていて大人の女性に似合う柄も揃っていますので、ぜひご覧くださいね。

みなさまの冬のお出かけが、楽しい時間になりますように。

このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。