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きっと誰かの役に立つースタイルストアのものづくり日誌ー

2019年01月01日更新

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やっぱりグランバロンには「赤」が欲しい、と昨年制作したスムースレザー版

あけましておめでとうございます。
東京は気持ちの良い青空で、
元日らしい澄んだ空気を感じます。

新年のご挨拶を兼ねて、今年は
スタイルストアのものづくりについて
皆さんにご紹介したいと思います。

当店の開店は2005年(一昔前ですね笑)
ですが、その時から別注や復刻という
かたちで、小さくものづくりをして
いました。

2018年初夏にデビューしたKilka、コンセプトは「はたらく人に、快適で自由な時間を」

昨年はKilka(キルカ)とNells(ネルズ)
という2つの自社ブランドを作りました。
どちらのブランドも、まだスタートした
ばかりですが、初めての大きな挑戦です。

規模の大小、別注で作る、ゼロから作る、
結果的に色々なパターンがありますが、
すべてに共通するのは、

1、お客さまからのリクエスト
2、欲しい人がいるのに、なくて困っている

この2つが出発点であること。

「着替えのいらないパジャマ」がコンセプトのNells

外からはいまいち見えにくいかな?
と思われる、私たち「店のものづくり」
について、背景や製品に込めた思い
について、少しお話してみます。

仕入ではなく、作って知ったこと

私自身が手がけたもの作りで、最も
印象深いのは、年始のご挨拶2018でも
とりあげたバッグ「グランバロン」です。

HERZで作れなくなったため、約2年前
復刻というかたちで、再生産しました。
このとき、本当の意味で自分たちが
つくり手の立場に立つことになります。

2017年秋に復刻したグランバロン、ほんのりモードな香りのするグローブレザーを使用しました

嬉しいことに復刻版のグランバロンも
順調にお客さまのもとへ旅立って行き、
何度も追加生産をする機会に恵まれ
ました。

一方、一つのものを自分達でつくり続ける
ことで、昨年は「つくり手としての悩み」
にもぶつかることになります。

がっくり折れた、グランバロン

あるとき、店に届いたバッグを見て、
私は愕然としました。グランバロンの
象徴的な多角形のフォルムが、見るも
無残にくったり崩れています。

これは、鞄の底に近い部分に向かって、
やわらかくシワの多い革=牛さんのお腹の
部分の革が使われていたことが原因でした。

グランバロンは大きな面積で一枚革を
使う、贅沢な仕様のバッグです。



その面積を確保しつつ、牛さんの命を
頂いての「革」ですから、なるべく
無駄を出さないように裁断するとなると、
「お腹は避けて」とは言っていられません。

いや、言うことはできますが、
その場合、無駄が出るのと同時に、
販売価格を高くせざるをえなくなる。
しかもこの場合、革は悪くない。
ただお腹の部分でやわらかいだけです。

もうこの革で作るのをやめた方がいいか?

悩みながらも、一方では、代替の革を
探せど探せど、これぞというものに
出会えません。

声を励みに、前を向く

世の中にはこんなに革があるのに、と
思いますが、デザインと質感、価格、
職人さんがきれいに作れるか、など
様々な要素を検討すると、グランバロン
に使えそうな革の候補は、ほんの数種類
しか残らないのです。

細く裁断した革を編み上げる「メッシュ」は最も革を有効に使える製法の一つ(ハンドメイドバッグ Papagena blue

デザイナーの河本さんが、
ご自身のブランド「sunao」で、
革を極力無駄にしない為に
パッチワークメッシュという技法を
積極的に使っていらっしゃいます。

命を頂く革を使ってものづくりをする
ことについて考えさせられる経験をした
あとで、河本さんのこうしたスタンス
にも、改めて頭が下がる思いでした。

職人さんに相談し、革は生き物だから
約束できないと言われ、それは本当に
その通り、でもやっぱりこのバッグは
この革で、この素敵な独特のフォルムで、
この世に存在したほうが絶対にいい。

グランバロンに関わるいろいろな人と
話をして、改めて胸に湧いた結論が
それでした。

今、製法を微調整しながら、
グローブレザーでグランバロンを
もう一度生産しているところです。

こちらはかなり質の高い革を使ったスムースレザーバージョン

この鞄は、ON/OFF問わず持てる
仕事用のバッグ、がコンセプト。
革がやわらかいから持ちやすい、触れて
気持ちがいい、形が四角形じゃないから
おしゃれっぽく見える。これらは、
お客さまから届いた、つかい手の声です。

楽しいことよりは大変なことの方が
多いであろう「仕事」の相棒として、
こんな風に愛されるバッグ。
それをつくることを、そんな簡単に
諦めようとしちゃいけなかった。

今は、そんな気持ちで、2月頃になる
出来上がりを待っています。

喜ぶ人を、リアルに想像できるか?

他にも、昨年デビューした自社製品として
鍵ポケットつきコンパクト財布 Slice
があります。

これは製品化のきっかけを、こちらの
コラムでご紹介しています。

>>個性派揃いのコンパクトな財布
私にぴったりの一品を探して

自分たちで作ることのメリットの一つが、
ものすごくスピーディに開発できることが
あります。

Sliceは、1stモデルの発売が昨年2月。
その時頂いた改善要望を、およそ半年後に
製品化し、「女性用も作ってほしい」との
リクエストにも同時にお応えしました。

女性用に作ったつもりが、男性のお客さまが
買ってくれて、新鮮な意見を頂いたり、
ルックスと軽さ重視でピッグレザーを採用
したら、女性用も牛革で作って、と新たな
リクエストを頂いたり。

プロジェクトの数だけエピソードがあって、
つかい手と呼応するようなモノづくりは、
充実感のある、おもしろい仕事です。

どんな商品も、結局は
「あの人が喜んで使ってくれるに違いない」
と思えるようなつかい手を、どれだけ
リアㇽに想像できるか?が大事なのだと
思います。

幸いにも、今のところ「これは作って失敗
だった」と、後悔するようなものは一つも
なくて、これはひとえに、当店のお客さま
というハイレベルなつかい手の皆さんを
身近に感じながら作るから、なんですよね。

これは、きっと誰かの役に立つ。
そういう思いが自然と湧きがあがるような
もの作りを、2019年も重ねていきたいと
思っています。

本年もどうぞよろしくお願いします。

著者

柳沼 周子

大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。

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