バイヤーからのお便り
【みんなの知恵袋】染め方でお洋服の「柔らかさ」が変わる?前編
お洋服を買う時、その服が
どんな素材でできているのか、
確認する方がほとんどだと思います。
できれば身に着けて心地よいお洋服を
着たいですものね。
でも、素材には表記されることのない
「染め方」が、生地のやわらかさに
影響しているなんて、ご存知でしたか?
ストールブランド「harukii」の高橋さんは
繊維業界に15年も携わっていらっしゃることもあり
繊維や素材にまつわるプロフェッショナル。
お話ししていても、「そうなんだ!」と
思わず唸るような豆知識が
次々と飛び出してきます。
そんな、プロフェッショナルだからこそ
知っている、あんなことやこんなこと。
バイヤーが商品ページでは伝えきれないお話を
みなさまにもお伝えしたいと思います。
染め方でお洋服の「柔らかさ」が変わる?(前編)
みなさま、こんにちは。
ストールブランド「harukii」の高橋です。
イベントの多い季節になり、
少し華やかなものを身に着けたいな、
と思い始めた今日この頃です。
皆さんはいかがでしょうか。
さて、ここで質問です。
洋服や生地には美しい色がついていますが、
その色を付ける段階には、
いろいろあるのをご存知でしょうか。
生産過程において、いつ色を染めるのか。
考えたことがありますか?
ざっくり分けると、4つの段階があります。
1 綿(わた)の段階で染める
2 糸の段階で染める
3 生地の段階で染める
4 製品にして(縫製して)染める
2から4なら皆さんご存知かもしれません。
でも1の、綿で染める?
そんなこと聞いたことがない、
とおっしゃる方はたくさんおられる
のではないでしょうか。
この方法を、「綿(わた)染め」と言います。
実は染料というのはとても細かい、
目には見えないような小さな
粒子(分子レベル)でできています。
その粒子をこれまた細い細い繊維の
表面にしっかり付着させたり、
中に浸透させたりして、
そう簡単には取れないようにします。
その技術を「染色」と呼んでいるのです。
太古の昔から今日まで、実に様々な
材料や技術が試され、
磨かれてきたのですね。
そういうことから考えると、
1番の「綿の段階で染める」が
繊維との密着度が一番高くなります。
なぜって、繊維がまだ糸になっていないので、
染料の細かい粒子が繊維と繊維の間に
入り込みやすいからです。
糸になってしまうと繊維同士が
しっかりと密着しているので隙間がなく、
なかなか入りにくいですね。
生地になってしまうとなおさらです。
でもファッション性を考えると、
なるべく後の段階で染めたほうが
いろいろバリエーションが広がるし、
美しく格好よくなります。
感性を競うデザイナーたちや、
経済性を考える商人たちが
それを要求してきたのでしょう。
染色に関わる職人さんたちは、
いかに後の段階で染料を繊維に密着させるかに、
おそらく大量の汗と涙(?)を流してきました。
そのお蔭で、今では本当に
染料が落ちにくくなってきましたね。
ではでは、これまたなぜ染料を
繊維に密着させる技術が高まったのに、
1の綿の段階で染める方法がとられているのか。
効率も悪そうですね。
実際に綿染めが一番コストがかかります。
それでも綿で染める製品があるのは
なぜなのでしょう。
それには他に代えがたいメリットが
あるからなのです。
11月に販売開始となったharukiiの
「カシミヤコットン変りギンガムストール」は
高橋さんも「自信作」と言い切るストール。
harukiiのストールの肌触りの心地よさを
ぜひ体験してみてください。