バイヤーからのお便り
新年のご挨拶にかえて「本当によいもの」を選ぶということ
新年あけましておめでとうございます。スタイルストア 店長の柳沼です。
旧年中、当店を訪れ、コラムを読んだりお買い物をしてくださったり、つかい手の声を寄せて頂いたりした皆さまに、改めてお礼を申し上げます。当店に欠かすことのできない「愛のある商品」を制作してくださった、つくり手の皆さまにも心から感謝します。
個人的な話になりますが、私は長く当店のチーフバイヤーとして仕事をしてきました。昨年、バイヤーの中井にそのバトンを渡し、仕入れの現場からは離れ、店全体を見る立場になりました。一般的な会社の感覚からしたら、一つの仕事を長くやり過ぎた感もあろうと思いますが、どうにも現場仕事が好きな性分で……しかし、現場を離れたことで、自分の見る景色が変わり、改めて大事にしたいことがくっきり見えてくる。昨年そんな経験があったので、今日は自分の買い物体験を交えながら、そのことについて書きたいと思います。
よいものは、時間をかけて作られる
最近愛用している靴下があります。RELIEFWEARの「KAIHO SOCKS」です。KIHON(基本)、TSUKI(通気)、SHINSHUKU(伸縮)という全3種で、私は「SHINSHUKU」を愛用しています。
KAIHO SOCKSは、新潟のとある靴下メーカーの職人さんが、ご自身のご両親を介護する中で作ったソックスがベース。病気で足がむくんでしまうため、締め付け感をなくしたいということで、靴下からゴムを抜いたのが始まりだったそうです。
「SHINSHUKU」は表面がポコポコしたワッフル編みで作られており、その特殊な工程から、低速で編むことが必須なうえに、それでも機械に負担がかかりやすいそう。国内で同様の編み方をやっているところはほぼないのでは、と言われるほど手間のかかるつくり手泣かせの製品でもあります。
完成形に辿り着くまで、そして素材から製品になるまで。いずれのプロセスにおいても、一般的なものづくりの感覚からすると、けた違いの時間と労力がかけられているんですよね。
足が全方向から優しく包まれる感覚を幸せに思いながら、SHINSHUKUを履いています。製品をぱっと見ただけではわからない、心地よさの秘密とそれに辿り着くまでの物語を、つかい手の皆さんに伝えていきたいと改めて思っています。
古来からの知恵や自然の力を取り入れる
もう一つ私が大切にしたい視点が、脈々と受け継がれてきた「自然の力を活かす知恵」を暮らしに取り入れることです。こちらは昨年から愛用している「白樺樹液美容液」。見てください、この潔過ぎるパッケージ。採取したての白樺樹液を10倍に濃縮し、そのまま無菌状態で充填することで生まれた無添加の美容液です。
手に取ると、テクスチャーはかなり水っぽい。シャバシャバしています。ところが肌につけると、美容液がぐんぐん肌に入っていくような感じがして、液体の水っぽさとは裏腹に、顔はもっちり潤うという使用感なのです。そのギャップがなんだか面白くて、毎回使うのが楽しみなぐらいです。
白樺樹液美容液のつくり手、セントモニカの七戸さんは薬剤師でもある女性です。化粧水、乳液、美容液……と複数のケア用品を揃えるよりも、1本で肌に保湿と栄養をもたらせるものを、とこの美容液を開発したそうです。
聞くと、白樺樹液は昔から「森の看護師」と呼ばれるほど、美容と健康に活用されてきた歴史があり、ミネラルとアミノ酸、肌の保湿に優れた働きをする糖質をバランスよく含んだ組成になっています。採取できるのは雪解けの時期である4-5月の1か月間だけ。冬眠から覚めるがごとく、芽吹きの季節に向けて体内に養分をみなぎらせた状態の樹液を、恵みとして頂いた美容液というわけです。
古来の人はどこでその恵みに気づいたのだろうと神秘的な感覚を覚えますが、白樺樹液美容液を使うたびに、本当によいものは時代を超えて受け継がれていくことを力強く教えてくれます。
身近な道具こそ本当によいものを選びたい
家具からファッション雑貨、日用品まで、幅広いジャンルの商品を扱う当店ですが、暮らしのどの場面に、よりこだわりを持つかは人それぞれ。私自身も、スタイルストアに17年近く関わってきたなかで、興味やお金を使う対象は移り変わってきました。しかしここ数年、コロナ禍をきっかけにものの見方が変化したこともあり、今は自分の身体につけるものや触れるもの、かつ、暮らしのなかで使用頻度の高いものには、一見高価に思えても、投資の価値があると実感。日々の暮らしが素晴らしく快適で豊かなものになることで、絶対に損はしないどころか、プライスレスといえるかもしれません。
そのことに気づかせてくれた製品の一つが、大久保ハウス木工舎の「SKT匙」です。
大久保さんとの出会いはもう10年近く前になるでしょうか。ジャムスプーンに始まり、桜の木のへらや調理匙などの代表作も含め、多くの作品をご紹介してきましたが、この1月に満を持してご紹介するのが「匙(さじ)」です。
匙1本税別6,700円、大久保さんが一つ一つ削って作ってくれていると知りながら、最初はお値段にひるみました。でも今までに見たどのスプーンよりいい顔をしていて、これで仕事の合間にカレーを食べたら、とても美味しそうだと思いながら購入。実際に使ってみて、軽やかなフォルム、匙自体が軽いこと、口に入れたときの感覚、木の感触の良さ、洗いかごで立っていても、カトラリー入れに寝ている姿も見るたびに愛おしいこと、スプーンが本当によいものだと使うたびにこんなに気分がいいことを知りました。
10年近く大久保作品をご紹介してきた中で、なかなか匙がそのラインナップに加わらなかったのには、大久保さん自身が完成形を追求し続けていたことと、私たちがオンラインでこの匙をきちんとご紹介できるだろうかと模索してきたという背景があります。しかし、日々使う身近な道具で、身体に触れるものこそ、本当によいものをおすすめしたい。匙のご紹介をすべき時が来た、と心から思えてのご紹介となります。1月中にメールマガジン&アプリでご案内しますので、どうぞ楽しみにして頂けると幸いです。
2023年が皆さまにとって健やかで実りある一年となりますように。今年も皆さまの暮らしの様々な場面に「アップデート」をもたらす商品をお届けできるよう、スタッフ一同楽しく運営していく所存です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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コラム内でご紹介した大久保ハウス木工舎のSKT匙は、1月14日(土)~受注会を開始予定です。
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現在スタイルストアでは、「買ってよかったもの2022 つかい手の声キャンペーン」を実施中です。(※2023年1月4日(水)ご投稿分まで、会員様限定)
購入した商品につかい手の声を投稿いただくと、一つのご投稿につきお買い物ポイントを200ポイント差し上げます。 通常100ポイント付与のところ2倍のポイントが貰えるので、とってもお得。 ぜひ年末年始、今年のお買い物を振り返りながら、つかい手の声をお寄せくださいね。
大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。