インタビュー&ゲストコラム
【つくり手を訪ねて】パラダイス山元さんに聞く、薬用入浴剤「蔓潤湯」をめぐる話【2】
入浴剤ソムリエとして、当店でも人気の
薬用入浴剤「蔓潤湯」のプロデュースを
されているパラダイス山元さん。
マンボ奏者、料理人、アーティスト、
グリーンランド国際サンタクロース協会
公認サンタクロースなど、様々な顔を
持つパラダイスさんに、蔓潤湯の開発
秘話をお聞きしています。
>パラダイス山元さんに聞く
蔓潤湯をめぐる話【1】はこちら
【2】では、蔓潤湯の製造メーカーである
松田医薬品さんとの運命的な出会い
から、お話いただきました。
入浴剤メーカー「松田医薬品」との運命の出逢い
蔓潤湯を作るきっかけになった
出来事をお話しましょう。
角川書店から
「誰も書かなかった入浴剤文化論
お湯のグランプリ」という、日本初の
入浴剤本を出したことがありまして、
その本の中で、ある入浴剤を酷評
したんです。
「こんな入浴剤を使うぐらいなら、
いっそお風呂に入らないほうがマシ」
という辛辣な表現でね。それが今
蔓潤湯を作ってくれている
「松田医薬品」さんのものでした。
するとしばらくして、そのメーカーの
営業部長さんから出版社に
「どうしてもこの著者に会わせて
欲しい」と、出版社に連絡があった
のです。角川書店の編集部にも
緊張が走りましたよね(笑)。
「うちの会議室を汚したくないんで、
パラダイスさんの事務所で会うことに
しましょう」なんてね。
そして緊張しつつ、高知から
わざわざ訪ねてきて下さった
メーカーの方とお会いすると、
大変腰が低い謙虚な方で
「パラダイスさんが納得の行く最高の
入浴剤を当社で作らせて欲しい、
ぜひ一緒にやらせて下さい」と
言ってくれたのです。
その時点で、私の中には蔓潤湯の
原型になる「あるベストな入浴剤」の
定義、配合が既にできていたので、
それを再現してもらい、送られてくる
試作品を片っ端からお風呂で体験し、
体感をフィードバックする、そして
また調整をする、また入る、という
作業を延々と繰り返して、
蔓潤湯の原型が出来上がりました。
天然由来の材料だけで作った最高の入浴剤
ただこの時点の蔓潤湯は、今
スタイルストアさんで好評頂いている
ものとは違い、旧仕様のものです。
このあとあるきっかけから、処方を
ゼロから見直し大幅なリニューアルを
しました。それがある量販店の担当者
から言われた「最高の入浴剤なのに、
何かこだわりが直感でわかる材料を
使ったりしないんですか?」という一言
でした。
その言葉にはっとさせられまして、
そこから原材料をすべて見直し、
天然由来成分のこれまで入浴剤として
使われていなかった原材料探しの旅に
出ることになりました。
しかし、これが予想以上に大変な作業で、
なんやかんやと2年はかかりましたねぇ。
市販のほとんどの入浴剤は「合成香料」
が使われています。
日本の調香技術って本当にすごくて、
合成といっても天然の香りに限りなく近い
ハイレベルなものなのですが、入浴剤の
香料として合成香料が使われていると、
入浴してほんの3分で香りがすべて
揮発して飛んでしまうんですね。
蔓潤湯は、新鮮なオレンジを嗅いでいる
ような、自然な柑橘の香りを感じて頂けると
思いますが、それは香料として、
ドミニカ産の天然ビターオレンジオイルを
100%使用しているからです。
天然香料を使って製品化するのは
配合上、非常に難しいのと、
コストも100倍以上は違います。
しかしすべて天然成分で蔓潤湯を作る
ために、松田医薬品さんに相当頑張って
もらいました。
さらに、伊豆大島産の天然椿の実を、
島内にある高田製油所で、明治以来の
玉締め絞りという手法で自然に抽出した
「カメリアオイル」を新処方として
配合することにしました
(注:スタイルストアでは2016年3月から
お取り扱いしているものが「蔓潤湯 椿」
となっております。)
カメリアオイルは、かさかさ肌に効果抜群の
天然保湿成分です。蔓潤湯は、その値段
の大部分が天然香料と天然オイルと
言っても過言ではありません。
最高の原料をあたりまえに使って、コストを
下げるということは当然できませんでした。
蔓潤湯の真価を分かってくれているお客さんの存在が嬉しい
たまに、蔓潤湯は価格の面で「ちょっと高い
なぁ」というお声を耳にすることもあります。
最高の原材料で作られた入浴剤のお風呂
に浸かって、心から癒されて、身体が温まり、
ぐっすり眠れる。家族で使えて、蔓潤湯は
追い炊きもOKですし、香りは翌日も持続
しますから、2日目も気持ちよく入ることが
できます。
入浴剤は、有名な温泉地の名前が
付いていたり、ただ安ければなんでも
いいのかしら?そんなケミカルまみれな
お湯に全身浸かってしまって大丈夫
かしら?とよく思います。
顔に塗る化粧水やクリームには
ブランドにこだわって、お金をかけても、
毎日入るお風呂の入浴剤には無頓着
というのはどうかなと思いますね。
スタイルストアには蔓潤湯をリピートして
使い続けてくれる方、大切な人への
ギフトに使ってくれているお客さまが
多いと聞いています。蔓潤湯の真価を
理解してくれて、長く愛用してくれている
お客さまが多くいらっしゃるというのは、
入浴剤ソムリエとして、こんなに嬉しい
ことはないですね。
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蔓潤湯をめぐる話、次回はいよいよ
最終回をお届けします。
インタビュー中にお聞きしたこぼれ話
で「蔓潤湯」の名前の由来なども教えて
頂きましたので、ぜひお楽しみに。
大手小売業で服飾雑貨のバイイング、新規ブランド開発を行う。その後活動の場をインターネットに移し、2006年にスタイルストアへ参加。 得意ジャンルは服飾雑貨、最近は地方の名品発掘がおもしろくて仕方がない。モノの背景を知ってこそ見える、真のお買い得品をセレクトする、これが信念です。