バイヤーからのお便り
いちょうのまな板、黒ずみとの付き合い方
こんにちは。バイヤーの畠田です。
わたしが5年ほど愛用しているのが、woodpeckerのいちょうのまな板。 刃当たりがやさしく、水はけがよく、もうこれなしでは料理ができないと思うほど、長年の相棒になっています。
いちょうのまな板を長年お取り扱いさせていただき、つかい手からも様々なご質問や相談をいただくことがありますが、中でも特に多いのが「黒ずみ」についてのご質問です。つくり手の福井さんにも相談させていただく中で、黒ずみについての認識が大きく変わったので、ぜひみなさまにもお伝えしたいと思います。
木のまな板と、黒ずみの関係
わたしが元々持っていた、まな板の黒ずみのイメージは「作ってはならないもの」。実際、わたしもいちょうのまな板を使いはじめて一カ月ほどで黒ずみを作ってしまった経験があるので、 自分の管理が良くなかったんだろうか、ここから更に広がっていくんだろうか……と、とても不安な気持ちになったことを覚えています。
でも、そんな相談を福井さんにしたところ、「黒ずみはほぼ必ずといっていいほどできるものですよ。」と伺ってびっくり。
防腐剤が使われていたり、塗装されていたりすると、黒ずみができないようにすることができます。でも、それだといちょうの木が油分を含んでいるからこその水はけの良さを活かせなかったりします。 「黒ずみができるということは、自然な状態の本物の木である証明」との言葉を聞いて、木のまな板と付き合うということは、経年変化や黒ずみとも上手に付き合うということなんだなと改めて感じました。
黒ずみはカビや菌の一種ではありますが、福井さん自ら、専門機関に黒ずみについて検査を依頼した結果、一般的に人体に害のないものであるときちんと結果が出ているそうです。 どれだけしっかりお手入れしていても、黒ずみが出る時は出る。むしろ本物の木だからこそ出る。そう思うと気持ちが楽になるなと思います。
それでもなるべく黒ずみを作らないために
とは言え、せっかく迎え入れたいちょうのまな板。見た目もきれいな状態で長く使いたいと思われるのではないでしょうか。なるべく良い状態を長く保つために、個人が努力できる範囲で、何ができるかを教わりました。
まずは何より、使ったあとは布巾で拭いて乾かすこと。まな板の表面はもちろん、忘れがちな側面、木口、持ち手の穴の中までしっかりと拭くことが大事です。この一手間で、うんと黒ずみの発生を抑えることができます。
まな板の木口の部分は、特に黒ずみがでやすい箇所です。理由は、木目に沿って木が水を吸い上げるための管が通っているから。まな板を洗った時にもその管に水分が入るため、水が下に流れて木口部分に溜まりやすいそうです(材木屋さんも、木材を乾燥させる時は、木目に向かって縦に置いて、水分を下に流して乾燥させるんだそうです) 。その分、水の抜け口となる木口は、他の部分よりもしっかり拭いてあげることが大事です。
その後は、直射日光の当たらない、風通しの良い場所に立てて置くか、吊り下げて自然乾燥させること。早く乾かしたいという気持ちから、直射日光のあたる箇所に置くのはNG。反りや割れに繋がってしまいます。できればまな板スタンドなどを活用して、床から浮かして保管するのがベストです。
また、まな板を複数使いするのも、黒ずみを出しにくくする方法のひとつ。まな板が一枚しかないと、朝昼晩と使いつづけることで木が乾いていない時間が多くなり、結果、黒ずみやすくなるひとつの要因になってしまうんだそう。サイズ違いのものを揃えておくと調理時にも最適なサイズのものを選べて便利ですし、ぜひおすすめしたい方法です。
ちなみに、福井さんがつかい手から数多くのまな板の相談を受ける中で、まな板を複数枚使いまわしていらっしゃる方のまな板の状態が、一枚のみを毎日使っている方に比べて良かったことで 「ローテーションで長持ちする」 ことに気が付いたんだそう。革靴なども同じものを履き続けると休ませる時間がない分、傷みが早いと言いますが、まな板も同じなんですね。
woodpeckerさんのまな板は、削り直しをすることができるので、黒ずみを作ってしまったり、刃の跡が目立つようになってきても、削り直しを依頼すれば新品同様に蘇ります。削り直しについてはバイヤーの中井・柳沼が実際に削り直しを依頼した際のコラムを書いておりますので、ぜひあわせてご覧くださいね。
ショッピングユニットでバイヤーをしています。その商品のどこが良いのか、なぜ良いのかを、わかりやすくみなさまにお届けしたいと思っています。