光りが当たった瞬間、際立つ美しさ

印伝ってご存知でしょうか?鹿革を染色し、本漆で細かい柄をつけたもので、その歴史は奈良時代にまでさかのぼるそうです。 鹿革は非常になめらかな質感で、人間の皮膚に一番近い革とも言われており、その馴染みの良さから、昔は甲冑などの武具に使われてきました。産地としては「甲州印伝」として山梨が有名ですが、都の置かれた江戸でも粋なものを好む人々の間でその人気は高く、「江戸印伝」として技術と歴史が積み重ねられてきました。こちらは江戸印伝の長財布です。 一般的に印伝の革小物というと、通好みで特に年輩の方々に好まれるものという印象がありました。が、三紅の多田さんがつくる印伝は「えっ、これ印伝!?」と思うような新さとかっこよさがあります。彼の代表作「変わり市松」のグラフィカルで、漆の美しさを引き立たせるデザインが、印伝の持つ伝統美の力強さを教えてくれました。 この財布が最もかっこよく見える瞬間は、漆に光りが当たって、柄がぐっと浮き出て見えるとき。なので、使っている本人よりも、使っているところを見た周りの人に褒められる財布かもしれません。ぜひ若い方にも使って欲しいと思う一方、40から50代ぐらいの、ブランド物も含めいろいろな財布を一通り使ってきた、という大人な方々におすすめしたい。こういう雰囲気の財布はなかなかないので、通にこそご紹介したいなと思うのです。

カード入れ28ヵ所！仕様も大充実

最後に、こちらの財布は仕様もかなり充実しています。カード入れは全28ヵ所、そして小銭入れは大きく開いて取り出しやすいボックスタイプです。お札も分けて収納でき、領収書などを分かりやすく入れておけるオープンポケットも装備。 それと鹿革に漆をのせた印伝、というと使ううちに漆が剥離するのではないかと気にされる方もいらっしゃるかと思います。が、ちょうどスタッフが印伝の名刺入れを使っていたので見せてもらったところ、5年使ったものでしたがまったくといっていいほど漆ははがれていませんでした。強いて言うなら角とかよくあたるところがすこーし剥がれたかなーという程度。多田さんにもお聞きしたとこと、キズを入れると剥がれやすいそうですが、普通に使う分には心配要らないそうです。なので爪や尖った指輪など、またバッグから取り出す際にファスナーの金具でひっかける、などに気をつけてお取扱い頂けると、長くきれいな状態でお使い頂けます。