インタビュー&ゲストコラム

銘木のお椀が生まれる、山と田園に囲まれた工房を訪ねて(後編)

2018年01月04日更新

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銘木(めいぼく)のお椀のつくり手
薗部産業さんのものづくりへの思いや、
どんな風に作られているのかを
ご紹介しているこちらのコラム。

前編では薗部さんの歴史を中心に
お伝えしてきました。

ここからは、当店限定の銘木のお椀を
職人の親方が挽いて下さっている様子や
工房の中をご案内しますね。

いざ、現場へ!

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まず工房に入る前に圧倒されたのが、
敷地内に高く積み上げられた
たくさんの木の板や角状の棒。

薗部さんのお椀は、その年の冬に
伐った分だけを、無駄なく使うように
心がけて作られています。

木材は現在製材所から仕入れているそうで、
仕入れ後にここで乾燥させ、
加工が始まるまで出番を待っています。

工房の中へ進むと

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工房に入ってすぐに遭遇したのが、
木材を切るための大きな機械。
ここで作るもののサイズにあわせて
カットされます。

内側と外側を削る荒木取り

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木取りした四角い木片は、その奥の場所で
ざっくりとした器の形になります。

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この荒木取りをしてから乾燥させると
薄くなった分早く乾燥し、割れにくい
のだとか。

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こちらはメンテナンスしたり、
改造を加えながら長年使っている
機械たち。

この他にも、同業者の方が使わなくなった
機械や部品を大切に保管し、使えるように
することもあるそうです。

乾燥は、使った時に長持ちするようにしっかりと

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荒木取りしたものは、2-3カ月の間
外に置き、木の収縮がおだやかに
なるまでゆっくりと乾燥させます。

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さらに、大きな乾燥室に入れて
数週間に渡って温度を管理
しながら機械で乾燥します。
(ちなみに、木片を燻して
燻製乾燥している機械もありました)

機械管理といえども、乾燥の度合いは
最後は人の経験によって判断するの
だそうです。

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置き方にも注目。乾かす時に、どの角度で置いたらバランスよく乾かせるのか見極めているそう。しっかり乾かしたい面は空気が触れやすい外側に、比較的乾きやすい面は器同士が近い方に・・・など。徹底されています。

その後、さらに半年にも渡って乾燥させ、
木の状態が落ち着いて準備万端に
なるまで待ちます。

乾燥すること約10カ月。
この時間を決して端折らず、
木の状態をしっかりと見極めて
辛抱強く待つことで、つかい手の
暮らしの中の一員となった時に、
割れにくく長持ちするのですね。

親方が削る現場へ

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そして、ついに削りの現場へ
やってきました。

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その国内最高といえる技術の高さから、
薗部さんも全幅の信頼を寄せているのが、
この道40年の職人の親方・池谷貞男さん。

池谷さんの、美して早く、正確な
その仕事をぜひ動画でご覧ください。

 

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積みあがったこれらも、池谷さんが削ると
あっという間に器になっていきます。

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削り出した直後のうつわたち。
摩擦熱でしばらくはあたたかく、
まさに出来立て。
この後、内側も削り出され、
ウレタン塗装+乾燥して梱包後、
スタイルストアへやってきます。

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こちらは道具の数々。
道具は職人さん自らが使いやすいように
自作し、メンテナンスをするのだそう。
工房の外には道具作りのための
鍛冶場もありました。

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これからのこと

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ちなみに、節や木目のシミなどは
挽いてみて出てくるもの。
なので、これだけの歳月を費やして
出来上がっても、10個挽いたうちの
2ー3個しかA品とみなされるものはなく、
残りの7割は、使うのには問題ない
けれども木目の個性が強すぎるとして
B品と判断で、人の手に渡らないことも
多々あるのだそうです。

こういう部分をうまく解決できたら。
当店でも何か一助になるような企画が
できたら良いなと考えています。

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薗部さんの誠実なものづくり、
この機会に少しでも知っていただけたら
嬉しいです。





このコラムを書いた人

中井 明香

スタイルストア バイヤー

中井 明香

いつもの暮らしがちょっと心地良くなるようなものやこと、つくり手の思いやものづくりのストーリー、その地域ならではの話をお伝えしたいなと日々考えています。