東京生まれのファッション雑貨。台東区周辺の企業による、こだわりの靴・バッグ・財布・ベルト・帽子などを販売します。

素朴な質感を大切に ハンドメイドで作られる革小物

Kanmi.の革小物は日本の職人の手により、ひとつひとつ丁寧に作られています。 大量生産にはない魅力があるそれらは、持っている人を楽しくさせる魔法があるようです。

がま口の丸いフォルムが特徴 マルシェシリーズ

滑らかでしっとりした風合いの、オイルレザーを使用しているマルシェシリーズは、ボストンバッグ、長財布ともに、がま口の丸いフォルムが特徴です。

【インタビュー】日本の職人が手作業で丁寧に仕上げる革小物

浅草はものづくりの街。そこにアトリエを構え、活動するKanmi.(カンミ)。イベントになれば、商品目当てのお客様の長い行列ができるほど人気のブランドです。
立ち上げから18年、一般的にはブランドを続けるだけでも大変な事。それなのに、どんどんファンを増やし、実店舗までオープンしたブランドの成功の秘密をデザイナーの石塚さんに聞いてみました。

ファッションやザッカ、デザイン関連のデザイナーやクリエイターを支援する施設「台東デザイナーズビレッジ」。ものづくりにこだわった個性的なデザイナーを数多く輩出する施設、通称「デザビレ」が運営を開始したのは2004年のこと。

楠:石塚さん、デザビレの一期生なんですね。ものづくりをする若手のブランドたちからは、「一期生は伝説」とよく聞きます(笑)。当店でもおなじみのm+(エムピウ)村上さんやCoquette(コケット)の林さんもこの施設の一期生と聞いているので、みなさん同期生なんですね!

石塚さん:はい。みなさん本当に知識が深くて優しいので、当時は色々と教えてもらいました。

革小物ブランドのKanmi.が人気アイテムでもあるバッグを作ったのは、実はデザビレに入居してからのこと。
専門学校で彫金やアクセサリー制作の勉強をしてきたこともあり、立ち上げ当初はアクセサリーのブランドとして活動していたそうなんです。

石塚:主人の父が浅草で靴の抜型の職人だったので、工房にはたくさんの革のはぎれがあったんです。その中から好きなものを選んで、コツコツとヘアゴムとかを作ってましたね。ブランドが少しづつ軌道に乗ってきて、一人で作り続けるのが厳しくなったタイミングで、デザビレに入居。そこからはラインナップも増えていきました。

Kanmi.のアイテムはどれもデザインやフォルムが独特。丸みのある優しいフォルムと使うたびに味の出てくる革使い。そしてきちんと使いやすさも考えられている。すべての要素が詰まっている商品は他にありそうで無いものだし、ファンが増えるのもわかる気がします。

とはいえ、個人で活動するブランドがラインナップを増やし続けるのは至難の業。それがやれているのは、職人さんたちとの出会いも大きかったようです。

というのも、当時、国内の大手バッグメーカーはコストを下げる目的で、生産を海外で行うようになっていました。それによって、今まで忙しかった浅草の職人さんの手が空き始めた頃だったのです。

台東区はものづくりの町。道を歩いていて、気になる工房やパーツ屋があれば、飛び込みで職人さん達にアタックしていったといいます。そんな彼女を動かしていたのは、「自分のデザインを形にしたい!」というものづくりへの情熱。これが、面倒見のいい江戸っ子気質の職人達に伝わったんですね。

石塚:当時Kanmi.が作っていた裏地のないラフな革バックを作っているブランドは少なかったんです。経験も知識も少ない私達のデザインを面白がって、みなさんが協力してくれたのが大きかったと思います。革を使ったものづくりの基礎を学校で学んで無いからこそ、私達のデザインはオリジナルだったのかもしれないですね。時代、というかタイミングもよかったんですよ。

立ち上げから順調にお取り扱い店も増え、2007年には浅草にお店も構えたKanmi.。一人で始めたブランドも、今では9名のスタッフ(+1匹)が仲間です。これまでも、お店を出す時など、ブランドとして転機となるような重要なことは、みんなで集まって話し合って決めてきたという石塚さん。

石塚:ものづくりの大変さはあるけど、 今まで大きな挫折がなくここまでこれたのは、周りのスタッフに助けられているのもあるかもしれないですね。13年間働いてくれているパートさんもいますし、社員1号となったスタッフも少しお休みした後、復帰してくれました。私の不得意なところをきちんと担ってくれる等、スタッフの役割分担が明確になってきたんです。

石塚さんのものづくりへの情熱と、明るい人柄に惹かれたのは、職人さん達だけではなく、ともに働くスタッフさん達もなんですね。

デザビレの卒業生といえば、一番最初に名前が上がるというKanmi.。多くの人が「成功したブランド」として見ていると思いますが、石塚さん自身は未来をどう描いているのでしょうか。

石塚:Kanmi.は「日本の職人さんが手作業で丁寧に仕上げる革小物」。これを、もっともっと多くの人に知ってもらいたい。まだまだこれから!!今はそういう気持ちです。

浅草で生まれたブランドは今、その土地でショップを開き、活動しています。まだ小さな規模のブランドだった頃から手助けをしてくれた職人さん達、スタッフ達とともに、これからもありそうで無い革小物を作り続けていくのだと思います。

中村穣

Profile石塚 由紀子いしづか・ゆきこ

東京生まれ
東京デザイン専門学校 工芸アクセサリー科卒業後、
アクセサリーメーカー デザイナーとして勤務。

2000年に自宅でアクセサリー作家活動を始める
2004年 台東デザイナーズビレッジ入居
2007年 卒業後、浅草 雷門にお引越し
2017年 Kanmi.SHOPをオープン