久しぶりにグッとくる鞄に出会いました。
グローブレザーといって、手袋用に
作られた革を使った巾着型のバッグです。

とてもやわらかく、なめらかな質感で、
指先に吸いつくような感触の革。
雰囲気のある革でありながら、
大変軽いという特徴もあって、
オールレザーにしてもとても軽い
バッグに仕上がります。

そのやわらかさゆえ、キズが心配・・・
という方もいらっしゃるかもしれませんが、
そもそも手袋用の革なので、
キズだらけになってみすぼらしくなる、
ということはありません。
いい感じに経年変化する、という意味で
「育ちやすい」革で、使うにつれて色艶が
増し、むしろ半年ほど使った後のほうが
いい雰囲気になります。

このやわらかな革を使って、
女性の身体にしなやかに寄り添うような
バッグを作りたい、とデザインされたのが
この巾着型ショルダーでした。
女性を引き立たせるミニマムデザイン
細部に配されたクールビューティ
私が感動したのは、2つの金具です。

まずはこの紐の先端の細い金具。
この絶妙な細さと微妙な長さなんですよね。

もう一つがショルダー紐の金具。
シャープなラインで、薄いんですよ。
一般的なバッグの金具と比べて
厚みがないから、シュッと美しい。
両方オリジナルで作られたそうです。
こういう細部に手を抜かない姿勢に
私は心からの拍手を送りたい。
しかも、紐はあえて長めになっていて、
口を閉じても、開いて使っても、
大丈夫なように配慮されている!

先端の金具が「おもり」にもなり、紐が
常にまっすぐ下に落ちるのもポイント。
ゴールドの金具が意外と目立ち、
繊細な美しさを添えてくれます。

ちなみに、口をキュッと縛らずに使っても
開閉部はボタンで閉じられるので
安心ですね。
小振りに見えますが、長財布が縦に
収納できるサイズです。
マチも約15センチありますし、
革のやわらかさも手伝って意外と
収納力の高いバッグです。

デザイナーの檜山さんが、
大切にした点は2つ。
まずは、グローブレザーならではの
やわらかな質感と表情を生かすこと。
もう一つは、女性に似合うデザインの
バッグにすること。
金具を特注で制作したこと、その一方で
金具を極力使わないようにしたこと、
紐の細さと長さにこだわったこと。
持ち姿の美しさと実用性のバランスを
絶妙に着地させたこと。
すべてが、その2点を実現するべく、
緻密に計算されたデザインでした。

紐を通す部分には「ハトメ」と呼ばれる
金具が使われることが多いのですが、
革の風合いを生かすため、
このバッグには敢えて使わなかったそう。
そんな細部へのこだわりがあったからこそ、
革のやわらかな印象が、そのまま
伝わってくるんですね。

女性の傍らに寄り添うやわらかな革。
時代も世代も問わず、使う人を
引き立てるミニマルな美しさです。