hickory03travelersさんとのコラボ その9:デザインとのご対面・・・「はじめまして」


連載ものも第9回になりました。バックナンバーは以下です。

前回(その8)は、経糸をつなぐ(前回の経糸と今回の経糸を結ぶ)ところまででした。
今回は、その結び玉を、先に送り、綜絖(そうこう)、筬(おさ)を通して織れるようにするところです。
そして、切れていた糸を結び直し、全ての経糸をつなぎます。


正直なところ、今回もやっていることは、いかにも単純なことなのですが、糸が細いため慎重に行わないと、大変なことになります。5感を研ぎ澄ませ、手で感じ、目で感じ、音で感じ、さすがに舌や匂いでは感じませんが、とにかく気が抜けない最後の大一番です。

言葉で説明しがたいので、いつものように写真に少しコメントをつけていきます。

前回終了時点です。

まず、糸のテンションと切れている糸を確認。的確に現状把握を行います。凝視!

その後、経糸を先に送るために引っ張りつけを行います。
引っ張る側の布に生地を結びつけていきますね。

最初は手で少しずつ生地を送ります。こちらはまだ前回の経糸部分ですね。

前回の織り終わりの部分(緯糸をいれた部分)をカットします。

引っ張りつけをするために、生地を所定の間隔でまとめ縛ります。

まとめた後はこんな感じ。

それを布地にくくりつけます。

仕上がりはこんな感じ。ほぼ均等にバランスがとれています。丁寧な仕事はいいですね。
ここから、前回その8で結んだところの結び玉を先に送っていきます。

少し巻いて、結び玉が綜絖の手前まで来ました!。勝負はここからですよ。

今一度、状態確認!

さらに、状態確認!!

綜絖のすぐ手前というかぶつかるところまで経糸を送り、トントンとテンションを少し与えて、穴を通していきます。やさしくやさしく、でもすばやくね。

赤ん坊をなでるかのようにやさしく抑えつつ、軽くトントントントン。

第1段の穴を通り抜けましたよ。

ちなみに、綜絖(そうこう)ってこんな感じです。穴が開いていてそこを経糸が通過します。今回、経糸は糸一本使いなので、この綜絖が1万本以上あります。綜絖1本に対し、経糸が一本です。

また、経糸を少し巻きます。いろんなところで糸のテンションを確認します。お医者さんの診断みたいですね。触るだけで分かるものかと思ってしまいます。

段々と先に進むと、見えないので手の間隔だけになります。

うまく通らないところは丁寧に扱う。切れている部分は慎重に結ぶ。繰り返しです。

ゴールが見えてきました。最終の綜絖です。でも気は抜けません。
そして、また糸の状態の確認。そして、今度は筬を通過させます。
やりました、筬を結び玉が通過しました。
そして、糸が切れたところを修復していきます。切れている糸を見つけ、広い、綜絖を手で通し、経糸を結ぶ。この繰り返しです。

おおよそ、修復完了!!今度は、試しに織ってみて状態の確認です。
今回使う緯糸。糸の種類や本数は企業秘密で言えませんが、言えるのは「濡れ緯(ぬれよこ)」という五泉産地の伝統技術で織る、ということです。

少し織ってみました。状態を確認します。

ライトを当てて織柄の確認。糸は全て結んだと思っていても実際の柄に影響がでては何にもなりません。「~はず」ではなくしっかり現状確認と、対処が基本です。
前回の柄。どうやら問題はなさそうですね。よっしゃ!とテンションあがります。

ヒッコリーさんのデザインで織ってみましょう♪ついにです。
担いでやぐらの上に登り、紋紙を交換します。
お客様のデザインを生地に織り込ませて頂くことは、とても光栄なことです。心をこめて。

やぐらの上から下をのぞいてみます。

一番ドキドキ・ワクワクする瞬間です!!
きちんと柄はでるのか?細かい部分は表現できているのか?形が歪まないか(経・緯のバランスが悪いと思った形にならないので・・)心配でなりません。興奮と不安が入り混じった状態。
そして、こんな感じに織柄がでてきました。か、かわいい雪だるま!
産まれたよ!

表情の違う雪だるまが並んでいますよ。小紋のようになっているので、一体何体の違う雪だるまがいるのか?探したくなります。

ちなみに、これは織り表ですが、生地としては裏となります。
朱子織りなので表と裏で柄の出方が違います。
そして、これはまだ生機(きばた)の状態。
精練処理されていないのでガチガチですし、光沢もありません。(この辺は次回に説明しましょう)
これから皆さんが目にする絹の姿に変化します。


なんだか生まれたての赤ん坊に出会ったような気分でした。私も自分の子の出産立ち会いましたが、赤ちゃんも最初はしわくちゃで、お世辞にもすごく綺麗な状態で出てくるわけではありません。
でも、とても、愛おしく、ありがとう、はじめまして、よろしくね、と心の底から言ってしまう。
すごく幸せに満ち足りた気分になる。
比較できるようなものではありませんが、なんだかそんな心境になる瞬間でした。

次回は、どうしましょう??
まだ精練処理されていないので、その辺でしょうかね。

hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)
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白生地に、みらいをのせて。
株式会社 横正機業場(YOKOSHO)
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全国三大白生地産地として栄える五泉。良質な絹糸を丹念に操って織り上げる絹織物。200年余の間、大切に培われてきた五泉の伝統産業です。水清らかな繊維のまち五泉に伝わる『伝統の技術』と『織りの心』でお客様に感動の華を咲かせる白生地をつくります。
取扱:紗、絽、羽二重、塩瀬、綸子、襟、等

Web : http://yokosho.co.jp

横野 弘征
つくり手
横野 弘征
よこの ひろゆき
プロフィール
㈱横正機業場(YOKOSHO)専務取締役。新潟県五泉市で絹織物白生地製造を行っています。2013年に36歳でシステムエンジニアから兄と共に家業を継承するため転職。『伝統継承と革新への挑戦』がテーマ。製品(素材)の素晴らしさはもちろん、「100年企業」として培ってきた歴史を支えた職人さんこそが最大の商品として魅力を発信していきます。経済産業省認定 ITストラテジスト取得。