ご紹介するのは、この「へら」。
桜の木でできた、調理べらです。

ブーメランを思わせる、独特の形。
これが実際に使ってみたら、
使いやすいのなんの。

ものが溢れる時代とよく言いますが、
こういうものに出会うたびに、
つくづく思います。
自分が出会ってない名品って、
まだまだあるんだ。
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このへらは、池のないジャムスプーン
おなじみ、長野の木工作家
大久保公太郎さんの作品です。

料理の師匠、江口さんに聞いてみた

開口一番「これすごいね、びっくりした」

大久保さんの作品の中でも
象徴的なものの一つがこのへら。
今でこそだいぶ見慣れたけれど、
最初は本当にこの形に驚きました。

でも、使い始めたらこれがすこぶる
使いやすい。実際に料理をしてみて、
これは「炒める」という行為に馴染む
形状なんだと分かりました。

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しかし、他の人もそう感じるだろうか?
私個人は、何種類もの調理べらを使い比べる
までに料理を極めていないので、ここは一つ
師匠の意見を聞いてみることにしました。

当店ではおなじみ、江口師匠です(笑)

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へらを使って10日後の江口さんと
お会いしたところ、開口一番の台詞が
「このへら凄いね、びっくりした」でした。

でね、次の台詞が大変印象的で、
「(つくり手の)大久保さんは、
ご自分で料理をする人でしょう?」
と言われたのです。
料理のことを分かっている人が作る
カタチだなと思いましたよ、と。

「炒める」という行為は「返し」が重要

チャーハンでも野菜炒めでも実感する快適さ

大久保さんといえば、製作道具の「鉋」を
自分の作品に合わせて自作する人。
作るものにあわせて最適化された道具で、
絶妙な曲線が削りだされます。
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このへらを「使いやすい」と感じるのは、
江口師匠の言葉を借りると、
「他のどのへらよりも『返し』がしやすい」
ところにあります。

炒めるという行為は、食材を
平行移動させて火を通すのではなく、
「返しながら火を通す」こと。
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このへらの絶妙なカーブが
食材をすくいやすく、鍋肌にきれいに
沿うので、玉ねぎの微塵切りのような
細かいものも逃さず「返し」ができます。
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使って、作って、また使う、を繰り返して

つかい手との丁寧な対話が育てた道具

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このへらが世に出て2年。
大久保さん自ら販売した本数も数十本になり、
つかい手の声を聞く機会ができたことで、
より良い作品作りができるようになったそうです。

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例えばこの持ち手。
大久保さんは、人に会うたびに、へらを
どんなふうに持つか聞くようにしていて、
その結果、みんなそれが普通だと思いながら、
様々な持ち方をしていることが分かったそう。

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だから大久保さんのへらは、結果的に
どんな持ち方でも違和感のない形に
なりました。

さまざまなつかい手との対話が、このへらを
育てたわけですが、大久保さん曰く、
「つかい手として一番厳しいのが自分の奥さん」
だそうで(笑)、ご夫婦二人三脚で作り上げた
へらと言えるかもしれません。

商品ページには、大久保さんの制作風景を
ご覧頂ける動画があります。
彼が無心でへら作りに向き合う様子は、
見ていてなんだかこちらの心が落ち着きます。

桜の木のこっくりとした質感が手に優しく、
用の美をたたえた美しいへら。
料理を愛するすべての人に捧げたい一品です。

※桜の木のへらは左利き用もあります。
ご希望の方はshop@enfactory.co.jpまで
お問合せください。