インタビュー&ゲストコラム

シンプルライフガイド金子由紀子さんに聞く、新しい年を心おだやかに過ごすヒント【後編】

2017年01月06日更新

生きるのを楽にするには「減らす」、楽しくするには「選ぶ」

All About「シンプルライフ」ガイド、
ライターの金子由紀子です。
2017年を心穏やかに過ごすヒントに
ついてお届けしているコラムの後編です。

新年を心おだやかに過ごすヒント【前編】
―「今やろうとしていること」が明日の
自分をつくる― はこちらからどうぞ

どうして私は魚をさばくのが遅いのか

海なし県の栃木出身なので、
三方を海に囲まれた千葉県に移って
きたとき、魚が新鮮で豊富なのに
感激しました。

最初は、一本しかないステンレスの
文化包丁でがんばっていましたが、
魚料理を楽しみたくて、「鯵切り」と
呼ばれる小出刃を手に入れました。

素人のこと、決して上手なわけでは
ありません。
魚の身を少しでも多く残そうとする
あまり、骨がたくさん残ってしまい、
大きな毛抜きのような骨抜きでいちいち
取り除かなければならなかったり、
血合いが残ってしまったり、
けっこうな時間がかかります。

そこで、行列のできるの魚屋さんの
厨房を覗いて研究することにしました。
人気のあるその店は、職人さんの
手元が売り場からも見えるのです。

本職の手さばきはさすがです。速い!
鯵も鯖も鯛も、小気味よいスピードで
解体され、美しい切り身や刺身に
加工されていきます。
速いから、鮮度を損なうこともありません。

見ていると、私のように身を惜しんで
ちまちまと骨を薄くそぎ落とすようなことは
していません。かなりたくさん身を残して
骨を断ち落とし、ザクッ、ペラリと素早く
三枚におろしていくようです。
小骨や血合いをちまちま取り除いたりは
していません。

プロは捨てるから速い!

そうか!あえて食べられる身を多めに
捨てることで、魚屋さんは処理速度を
上げ、かつおいしい切り身をお客さんに
提供しているのだなと、やっとわかりました。

そしてこれは、私たちの暮らしとも
共通するな・・・と思い当たりました。

まだ使えるのに、もったいない・・・
高かったのに、もったいない・・・

確かに、せっかく手に入れたものを
捨ててしまうのはしのびないことです。
食べられる身を骨と一緒に断ち落とす
のはいかにももったいない。

でも、使うことのないたくさんのモノに
囲まれて暮らすことは、片付けや
掃除の手間を増やすし、そもそも
生活空間を窮屈にする。
暮らしを便利に楽しくするために
手に入れたものを、もったいないからと
とっておくことで、かえって暮らしを忙しく、
つまらなくしているかもしれない・・・。
身を捨てることを恐れて小骨取りに
汲々とする私のよう。

私の魚料理は、だいぶ進化しましたよ。
骨を厚めに削ぐようになりましたから。
まだまだ遅いし、へなちょこですが、
切り身しか見たことのない海なし県生まれ
としては、上出来の進化だと自己満足
しています。

これは、文化包丁一本で無理していた
時にはできないことでした。

5

身の丈に合った道具を選んで、楽しんで使うこと

とはいえ、自分に扱えるかどうか
自信のない大きな出刃包丁が欲しい
とは思いません。研ぐのも大変だし、
そこまで大きな魚だったら、魚屋さんで
さばいてもらえばいいもの。

「持たない」ことはものと向き合うこと

これは自分に必要なものか?
これは暮らしにプラスになるものか?

その判断は難しいものです。
いっそ、何も持たなければ考えずに
済み、ラクかもしれません。
ものは増やせば暮らしをつまらなく
しかねませんものね。

でも、私は暮らしを楽しみたいのです。
全部魚屋さんで調理してもらう
のではなく、さばける魚は自分で
さばきたいのです。

ものは少ない方がいい。
同時に、大好きなものと暮らしたい。

両立するのはけっこうタイヘンなこと
ですが、最高に楽しいことでもある
のです。


All About 「シンプルライフ」ガイド
金子由紀子さんに聞く、2017年を
心穏やかに過ごすヒント

【前編】
―「今やろうとしていること」が明日の自分をつくる―

【後編】
―生きるのを楽にするには「減らす」、楽しくするには「選ぶ」―

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