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YOSHIKAWA knit hat works(吉川帽子)/専務取締役 高橋理恵さん

「老舗ののれんを守るのは大変なことだけど、重圧に負けず、ニット帽の可能性を追求したい」

天職は自分で探し出すものだ。高橋理恵さん(32歳)の話を聞くとそう思う。ファッションの仕事を目指して北海道から上京。専門学校でニット帽子作りの楽しさに開眼し、専門メーカーへの進路も自ら開拓した。献身的な働きぶりが評価され、入社11年目で役員に昇格。そんな彼女が自身初となるファクトリーブランドを立ち上げようとしている。

素材もデザインも自由度が高いのがニット帽の魅力

高橋さんはニット帽子生産のスペシャリストとして
アパレル企業のデザイナーから一目置かれている。
だが、もともとは靴の職人を目指していたという。

「いまの姿からは想像できないかもしれませんが、
高校時代は金髪。ファッションもド派手でした(笑)。
好きな洋服を買うだけじゃ満足できなくて、友だちと一緒に
地元の古着店で手作りの服や帽子を販売したこともあります」

靴作りを学ぼうと思ったのは、
「靴は素人に作れない」という単純な理由から。
道内には靴作りを学ぶ学校はなかったため
東京の専門学校に進学することにした。
専攻したのはファッション工芸科。
靴、バッグ、帽子、アクセサリーなどの製作技術を
3年間かけてみっちり学ぶコースだ。

ニット帽はコンピューター制御された編み機を使って作られるが、デザインや仕様書はいまでも手書きが主流。

「専門学校に入ってひと通り実習を受けてみたら、
帽子作りのほうがずっと楽しくなったんです(笑)。
帽子はデザインの制約も少ないし、ひとりで作れます。
極端な話、生地から自分で作ることもできますしね」

中でも魅せられたのがニットの帽子だった。
在学中の大半をニット帽の実習に当て
就職先もニット帽のメーカーと決めていたが、
先生からは「専門メーカーはない」といわれた。
そこであきらめなかったところが高橋さんらしい。

「当時はホームページなんてないメーカーがほとんど。
就職課にある過去の求人票を片っ端からチェックして、
ようやく見つけ出したのが吉川帽子だったんです」

「アルバイトでいいから働かせてほしい」と
ダメもとで電話してみたところ、
たまたま先方が繁忙期だったこともあり、
夏休みの1ヶ月だけ受け入れてもらえた。

札つけや検品という地味な内容の仕事だったが、
「アットホームな雰囲気で、異なる世代の人と
交流できたことが何より楽しかった」と高橋さん。

夏休みが終わると、すぐに手紙をしたため、
自分の思いを当時の専務に託した。
翌春、吉川帽子に新しい机が用意されていた。

工場生産が間に合わない場合は、社内で帽子の一部を製作することも。「つい時間を忘れて没頭してしまう」と高橋さん。

現場の職人が生き生きと仕事できる環境を作りたい

念願の会社に入社できたとはいっても、
待っていたのはアルバイトのときと同じ仕事。
委託先の工場から届いた出荷前の帽子を、
目視と機械でチェックする作業を1年間続けた。

思い描いていた世界とギャップを感じなかったか聞くと、
「それはないですね」ときっぱりと否定する。

「専門学校には行きましたが、現場の知識はないですし、
縫製の仕方ひとつとっても先輩のほうがうまいわけです。
逆に『検品に関しては自分が一番になろう』と思い、
毎年自分なりの目標を決めて仕事にのぞみました」

研修期間を終えてからは、企画・営業担当となり、
OEM(相手先ブランド生産)の仕事に明け暮れた。
こうした不断の努力の結果、32歳の若さで専務となり、
社長とともに経営にも参画するようになった。

ペルー産のアルパカで編んだ「アランニット」柄のキャップ(左)とハット(右)。目深にかぶると耳まで隠れて暖かい。

「ヨシカワ・ニットハット・ワークス」は
高橋さんが初めてプロデュースする自社ブランドで、
吉川帽子の今後を占う試金石でもある。
メンズ中心で展開する予定だが、コンセプトは固めず、
高度な技術に挑戦できる実験的ブランドにするつもりだ。

「弊社には全国に20前後の協力工場があります。
どこも腕ききの職人がいますが、高齢化も進んでいます。
会社が存続していくには、まず工場が活気を取り戻し、
技術を次の世代に残さなければなりません」

初シーズンとなる2013年の冬に提案しているのは、
希少なアルパカやブリティッシュウールを使い、
一部に手編みを組みあわせたニット帽や手袋などだ。

「職人の技を引き出すのもメーカーの腕の見せ所です。
素材も作り方も少しこだわりすぎかもしれないけど、
価格も含め、他社ではできない難しい仕事をするのが
吉川帽子だってことを、商品を通じて伝えたいですね」

取材・文/菅村大全、撮影/権藤和也
高橋 理恵

[Profile]高橋 理恵 たかはし・りえ

1981年北海道生まれ。函館市内の高校を卒業後、文化服装学院ファッション工芸科に進学。2003年に国産ニット帽子専門メーカーの吉川帽子に入社。企画・営業担当として数多くのOEM製品を手がける。2013年5月に専務取締役に就任。同年10月、「YOSHIKAWA knit hat works」をプロデュース。

メッセージ

メーカーとしての仕事の中で高品質なマテリアルに出会い、国内生産ならではのコミュニケーションから生まれた、たしかなテクニックを武器にすることができました。通常のOEM製品ではなかなか実現できないようなこだわりの商品とともに、日本の物作りのすばらしさを世界に発信し続けていきたいです。

[Brand]YOSHIKAWA knit hat works ヨシカワ・ニットハット・ワークス

1934年に創業した老舗ニット帽子メーカー、吉川帽子が2013年に立ち上げたオリジナルブランド。シンプルだが素材感のあるニット帽子を中心に、手袋やマフラーなどの小物も充実。男性にも手にしてもらえるユニセックスなデザインが多い。

[Products]今回のご紹介アイテム

 ヨシカワ・ニットハット・ワークスの第1弾となる、2013年ウィンターコレクションは、アイルランドやシェットランド諸島に伝わる伝統的なセーターがモチーフ。それでいてカジュアル感があるので、世代を問わず着こなせます。
「アランニット」シリーズは、ワークスタイルのキャップ、ハット、ネックウォーマー(スヌード)の3アイテム(グレー・ブラックの2色)があります。素材にはペルーのアルパカ協会が認定したアルパカの原毛を使用。アルパカの特徴は「軽さ、温かさ、肌ざわりのよさの三拍子を備えながら、カシミヤよりも値段が手ごろなこと」。高橋さんは「アルパカはアンデス地方の高山に生息する動物で、飼育のための環境負荷も少ないエコな素材」であるところも気に入っているそうです。
「フェア・アイル」シリーズは、ワークキャップ、ハット、マフラー、手袋の4アイテム(グレー・ブラウン・ブラックの3色)があります。フェア・アイルとはシェットランド諸島の南にある小さな島に伝わるニット類のこと。素材には野趣のある英国産のブリティッシュウールを使用。使いはじめはやや肌ざわりが固めですが、次第になじんできます。マフラーは肌ざわりをよくするためにセンター部分にシルクを編み込んであります。
 作り方もこだわっています。キャップとハットはすべて頭頂部とツバに手編みの生地を採用。「手編みにすると芯材を入れずにすむため、使わないときはくるくると丸めて折りたためる」と高橋さん。クリスマスプレゼントにすれば相手の心まで暖めてくれそうです。

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