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トーキョーカケン(東京靴研) デザイナー 恒次弘幸さん

「大手メーカーで6年間働いていたからこそ、ローカルなもの作りに今、醍醐味を感じる」

好きな仕事をやると本気で腹をくくった人の目は、本当に輝いている。自分の手の中でもの作りをしたいと、大手ジーンズメーカーの商品企画部をあっさりと退職。祖父がおこした会社で、職人兼デザイナーとして歩みはじめた。それだけではなく、地元の活性化にも取り組もうとしている。皮革産業の産地、台東区のホープともいえる存在が恒次弘幸さん(32歳)だ。

頭の片隅に、いつも祖母の言葉があった

東京靴研は1970年に創業した婦人靴メーカー。
恒次さんの祖父で、靴職人の宏さんが独立、
台東区竜泉に工場をかまえたのがはじまりだ。

「生まれ育った自宅の1階が工場だったので、
幼いころから靴作りは身近な存在でした。
でも、家業を継ぐつもりはぼくにはなくて
父も無理に継がせる気はなかったようです。
ところが、祖母がそうは思っていませんでした(笑)。
祖父の会社がなくなるのはいやだったんでしょう、
ことあるごとに跡取りになれといわれていたんです」

高校時代、洋服に興味があった恒次さんは、
大学在学中に専門学校の夜間コースに通いはじめた。
専門学校を卒業後、大手ジーンズメーカーへ入社。
デニムやレディスウェアの企画を手がけるようになる。
順風満帆だったが、30歳を区切りに勤務先を退職。
2012年10月に東京靴研へ入社した。

革漉きの機械を操るのは弘幸さんの父、勝利さん。家族総出で愛情を持って靴作りに取り組んでいる。

「会社勤めがいやになって辞めたわけじゃないんです。
ファッションの仕事は好きでしたし、
海外の展示会や工場視察に何度も行かせてもらって、
仕事内容にも満足していました。
でも、職人の仕事にもずっとあこがれていました。
個人の作り手として独立するよりも、家業と並行して
自分のブランドを作るほうが自由な気がしたんです」

アパレル業界の経験、デザイナーとしての感性を生かし、
「従来の商品とは違う、付加価値のある商品で勝負しよう」
と思ったそうだ。

最初に手がけたのは、なんと花瓶型のオブジェ。
「会社にあるものを生かして新製品を作ろう」と、
不要になった靴の木型をリユースした作品を発案。
さらに、革の端材を再利用した置き時計を作るなど、
若者らしい、遊び心のある雑貨を生み出した。

「前職でもある程度は好きなもの作りができました。
今は会社の規模は小さくなりましたが、
自由の度合いが以前とはまるで違います。
どんな仕事にもチャレンジできるかわりに、
失敗したときの責任も全部自分にのしかかってくる。
企画から生産、販売までぼくがひとりでやっていますが、
自分で手を動かして作ることが、今一番楽しいんです」

右の花瓶型オブジェと置き時計は、弘幸さんが入社早々に手がけたもの。左は当店のオリジナルシューズ。

ローカル、シンプル、オリジナル。がモットー

婦人靴メーカーの枠をこえた、
もの作りに挑戦している恒次さんだが、
ブランド名はあえてつけず、社名のままにしている。
その理由を本人にたずねてみた。

「単純に東京靴研というネーミングが好きなんです。
今の時代、逆に新鮮に聞こえるし、
何より会社名をまず知ってもらいたいと思いました」

婦人靴作りの技術は、父や職人から日々教わっているが、
さらに腕を磨くため、恒次さんは会社の仕事が終わると、
靴の専門学校に自主的に通っている。
そんな彼が、今回初めて挑むのが、
マニッシュな女性用のレースアップシューズだ。

いわゆるレディスの"オジ靴"は、
形はよくても靴ひもが安っぽかったり、
履き心地がそれほどよくなかったり、
「いい靴が市場にない」というのが開発理由だ。

「デザインだけではなく、サンプル製作もぼくが担当しました。
今回は、履けば履くほど足になじんでくれる革底を採用して、
かかとの一部は、張り替えができるようゴムを使いました。
目利きのバイヤーにも納得してもらえるものができました」

ロングブーツの革のシワをとる立体型のアイロンは30年物。こちらは弘幸さんの母が作業を担っている。

東京靴研のコンセプトは、「ローカル、シンプル、オリジナル」。
「ずっと海外を意識してきた」というが、家業を継いでから、
台東区という町のおもしろさにあらためて気づいたと話す。
ちなみに「ローカル、シンプル、オリジナル」という
キャッチコピーは、「Local,Simp:Re,Orignal」と表記する。
"Re"は、廃材をリユースすることを強調するためだという。

「ぼくは今まで地元をないがしろにしてきたかもしれません。
でも、ふと足元を見てみると、なんておもしろい町なんだろうと思って。
地場産業としての皮革産業を中心に、台東区を支える担い手になりたい。
そのために祖父がおこした、この会社をいつか引き継ぎたいですね」

布と革という違いはあるものの、
アパレルメーカーで経験を積んできた恒次さんは
一枚の平らな革を、おもしろいように立体的な靴へと変ぼうさせていく。
恒次さんは今日も、工房の一角でミシンに向かっている。

取材・文/増村江利子、撮影/吉崎貴幸
恒次弘幸

[Profile]恒次弘幸 つねつぐ・ひろあき

1982年東京都生まれ。都内の大学を卒業後、大手ジーンズメーカーの企画営業部に配属。デニムパンツやレディスウェアの商品企画を6年間担当。2012年に父が経営する東京靴研に入社。木型や革の端材をリユースしたオリジナル雑貨をリリース。その後、婦人靴のオリジナル製品開発にたずさわる。

メッセージ

「トーキョーカケン」は「Local,Simp:Re,Orignal」をキーワードに、地場産業としての皮革産業を中心として台東区を盛り上げつつ、シンプルかつオリジナリティのあるデザインで、履きやすい靴を取りそろえています。「結局、いつも履いてしまう」、そう思っていただける履き心地をお楽しみください。

[Brand]トーキョーカケン

東京靴研は婦人靴の専門メーカーとして1970年に台東区竜泉で創業。設立したのは弘幸さんの祖父、恒次宏さん。長らく問屋向けのOEM製品を手がけていたが、2013年から自社オリジナル製品も展開している。創業時から「履きやすく、ちょっと小洒落た靴」がモットー。

[Products]PickUpアイテム

 履くほどに自分の足になじんで味わいが増す、レースアップシューズです。本革を使用し、靴底はヌメ革、ステッチは出し縫いと、製作工程に手間ひまをかけて仕上げています。また、中底に低反発素材スポンジを入れているため、足入れもよく、長時間歩いていても疲れにくいのが特徴です。
 シンプルな形なので、スカート、デニムなどのパンツなど、どんなファッションにも合わせやすく、オンオフ問わず履くことができます。メンズライクな"オジ靴"ですが、その形とロウ引きのひもの印象も手伝って、マニッシュでありながらも、武骨すぎないキレイ目な印象。
 すり減りやすいかかとの一部は、ゴムになっているため、修理が容易で、メンテナンスを繰り返して長く履くことができます。きちんとしたレースアップシューズを探していた人にぜひおすすめしたい一足です。

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