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SHOES bakery(高進製靴)代表取締役/高橋吉行さん

「街のパン屋さんのように互いの顔が見える関係でコストパフォーマンスにすぐれた婦人靴を作りたい」

皮革製品にかぎらず、地場産業では作り手の高齢化が進み、技術を継承することが難しくなっている。婦人靴メーカーの高進製靴は2003年ごろ、待ったなしの状況に追い込まれた。苦渋の決断から10年。一度は閉鎖した工場を地道な努力で、若い作り手が集う活気あふれる工場へと再建したのが、2代目社長の高橋吉行さん(51歳)だ。

自社工場でこそ高い品質が保てる

高橋さんはいわゆる「バブル入社組」だ。
父の経営する高進製靴に入社したのが1985年。
得意先からひっきりなしに入る注文で、
生産が追いつかない状況が続いていた。

次男である高橋さんは家業を継ぐつもりはなく、
高校卒業後は専門学校で工業デザインを学び、
文具メーカーの企画部で働いていた。

「兄によばれて、父の会社に転職したのですが、
いやになったらやめればいいと思っていました(笑)。
景気もよかったですし、ずっとフリーランスの
デザイナーになりたいと思っていましたから」

社内には男女2名の専属デザイナー(パタンナー)がおり、新しい製品の企画・開発に日々取り組む。

その後の日本経済の浮き沈みはご存じの通りだが、
「まさか将来、工場を閉鎖することになるとは、
夢にも思わなかった」と当時を振り返る。

「最盛期は20数名の従業員がいて、
その半数が生産にたずさわっていました。
職人の平均年齢が65歳をこえたとき、
『これ以上、生産は続けられない』と思い、
委託生産へシフトすることにしたんです」

苦渋の決断をしたのは2003年の夏。
先代はその3年前に他界し、
自分以外に頼れる人間はいなかった。

しばらくは外注のネットワークを駆使して
生産を維持していたが、リーマンショックを機に
世の中の消費動向が変わり、以前にまして
得意先からの要望が厳しくなってきた。

「不況で物が売れなくなり、食品業界などで
メーカーの偽装事件が何度も起きたこともあって、
得意先が求める品質基準がいっそう厳しくなりました。
外注への委託生産では対応できなくなったんです」

このままでは遅かれ早かれ経営危機が訪れる。
起死回生の策として高橋さんが取り組んだのが
自社工場の再建だった。

本社工場の様子。30代を中心とする少数精鋭の職人が、エレガントなハイヒールシューズを作り出す。

物作りが好きな若者がマイスター的な靴作りに挑む

いま高進製靴の工場には、最盛期に近い、
15人前後のスタッフが働いている。

以前と異なるのは職人の年齢だ。
最高齢の工場長が45歳。そのほかは20〜30代が中心。
いずれもほかの製靴工場で働いていた若者たちだ。

高橋さんは工場再建にあたり、分業制をやめて
ローテーション方式の生産に変えた。
靴作りの工程をひと通り経験することで、
仕事にやりがいと創造性が生まれ、
工房的な難易度の高い靴作りも可能となった。

新生、高進製靴の象徴であり、希望ともいえるのが
2007年に立ち上げた婦人靴のオリジナルブランド、
「シューズベーカリー」だ。

「商店街のパン屋さんのように、
作り手と買い手の顔が見える範囲で靴を作って、
店頭で直接販売したいと思ったのがきっかけです」

ハイヒールシューズ作りのノウハウがつめこまれた新作のパンプス。微妙なラインが足元を美しくみせる。

一方でコスト制約が厳しい、
OEM(相手先ブランド生産)の仕事から脱却し、
いい材料を使い、良心的な価格の靴を提供したい
という経営者の切実な思いもあった。

「例えば靴の内側。いまは合皮を使うことが
多くなりましたが、シューズベーカリーでは
昔ながらに肌ざわりがいい馬革を使っています」

若い社員を中心とした、社会的な取り組みもはじめた。
ゴミを削減するため、革の端材を再利用した小物を作り、
シューズベーカリーのラインナップに新たに加えた。

「自社ブランドをやりはじめたおかげで、
工業デザイナーを目指していた、
20代のころの気持ちがよみがえってきました。
おじさんがこんなことをいうのは恥ずかしいけど、
いま仕事が一番楽しいですね」

高橋さんが年齢よりもずっと若く見えるのは、
遅咲きした青春のまっただ中にいるせいかもしれない。

取材・文/菅村大全、撮影/権藤和也
高橋吉行

[Profile]高橋吉行 たかはし・よしゆき

1962年東京都生まれ。千代田区の高校を卒業後、都内の専門学校でインダストリアルデザインを学ぶ。文具メーカー勤務を経て、1985年に高進製靴へ入社。以降、一貫して婦人靴の企画・OEMに従事。1997年に35歳の若さで代表取締役社長に就任。

メッセージ

女性の足元を美しく見せる、シンプルできれいなパンプスをスタイルストアのお客さまにお届けしたいと思っています。靴の本体は内側にハギのない一枚革で設計しました。靴の裏側(底面)から見ても、きれいな底型です。ぜひ弊社のパンプスを一度お試しください。

[Brand]SHOES bakery シューズベーカリー

ハイヒールシューズ専門メーカー、高進製靴が2007年にスタートしたオリジナルブランド。ファクトリーの強みを生かし、良質な自然素材を使いながら手ごろな価格の婦人靴を提案している。価格は1万円台が中心。ヒールの交換や傷の補修も工場が対応するので、長く使える。生産途中で生まれた革の端材を再利用し、バッグや革小物も展開している。

[Products]PickUpアイテム

 当店で販売するのは、高進製靴の高度な製靴技術を生かして作った、ヒール高2cmの「ポインテッドトゥ プレーンパンプス」です。考案したのは同社のシューズデザイナー、宮川良江さん。彼女が妊娠中に「ヒールの低いパンプスにはエレガントな物がほとんどない」と困ったことから本品の企画を思い立ったそうです。
 ヒールは低めですが、足指のつけ根が見えるくらいにトップラインを浅くし、サイドのラインも微妙なカーブをつけることで、ハイヒールのようなエレガンスな雰囲気を強調。「今日はおしゃれして外出したいけど、たくさん歩くからハイヒールはやめようかなというとき、このパンプスならドレスダウンしなくてすみます」と高橋さん。
 内装は合皮ではなく馬革を採用。本底はやわらかいゴム製で、さらに中底にも低反発クッション材を入れてあるため、足のあたりがやわらかく、長時間歩いても足が痛くなりにくいのが特徴です。
 当店が高進製靴に別注した限定モデルなので、他店では購入できません。

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